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2015/05/23
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今日のコラムでは医師がキャリア選択をする際に、出来る限り「大失敗を避けて」、より良い医師人生を歩む事が出来るように、医師が転職(≒医局を退職、退局する事)を検討する際に気を付けるべき事を考えてみたい。
既に医局人事に依らず自分で今の病院へ転職(就職)したものの何らかの不満があり再度の転職を考えている医師や今まさに医局を辞めようかどうしようか悩んでいる医師など、医局人事を離れて自力での病院探し(医師転職)を始める事を考えている先生にはこのコラムを読んでもらって、失敗しない転職を行う為にも参考になる点があれば幸いである。
現状に何らかの不満を感じて日々を過ごしている医師は多い。 (医師に限らず、人はそれぞれ不満や不安、悩みを抱えながらも目の前の仕事や課題に向き合って一生懸命毎日を生きていると思う・・・。)
例えば、殆ど年中働いている、殆ど休みが無い、国立病院(or公立病院、大学病院etc.)で給与が少ない、外勤(バイト)をしないと生活が成り立たない、少人数のチームなのでオンコールから解放されない、緊急手術・急患が多い、主治医制なので実質的な休みが殆ど無いetc.
そんな時に、ふとネットサーフィンをしていると、魅力的なキャッチコピー(例えば・・・、当直なし、年俸2,000万円、部長待遇で◯◯センターの立ち上げをお任せします!など)で甘い誘いを掛けてくる医師求人広告が目に飛び込んでくる。 今やネット上には医師求人、医師募集の情報が溢れかえっている。 大小問わず全国各地に数多ある病院ホームページの採用情報を覗いてみると、各科の医師募集情報を幾らでも見つける事ができる。 どこかの大学医局のジッツとなっている病院でも科によっては公募OKのところも散見されるし、医局員引き上げにより医師不足に陥り、好条件で医師を求める病院も珍しくない。 そもそも大学から医師を送ってもらえるような恵まれた環境の病院の方が絶対数としては少ないのが実態であろう。市中病院の中には自前で医師を招聘する事が様々な事情から困難で、恒常的に医師不足の状態に置かれている施設は日本全国津々浦々、数知れず存在する。
そんな医師不足の病院が、医師を確保したい時に頼るのが、医師求人広告や医師紹介会社である。 広告とは良くも悪くも人間心理を巧みに利用して、対象物(この場合、病院の医師求人情報)をより魅力的に(時には実態よりも遥かに良く)見せるような仕掛けがなされているものである。 そんな事は誰もが頭では分かっているのだが、広告というものは不思議なもので(仕掛けている側からすると不思議でも何でも無いのだろうが)、現状に不満があり能動的に医師の転職情報を探してネットサーフィンをしている医師から見ると、上述したようなキャッチコピーはとても魅力的に映ってしまう事が少なくない。 普段は冷静沈着な医師の判断能力を瞬時に麻痺させてしまう破壊力を持つ場合もあるようだ。
広告なんかに引っ掛からないよとみんな思っているが、それでも広告が巷に溢れているのはそれ相応の効果(費用対効果)があるからに他ならない。それに中には本当に好条件の求人もあるので広告が悪いという訳でもないが、医局からの転職における失敗が多いのは、このような広告会社や営業会社の煽りがキッカケの一つとも言えるかもしれない。
医局での処遇に不満を感じている医師が、(あまり後先考えずに)医局を辞めてしまって、市中病院へ転じたものの、理想と現実のあまりのギャップに、短期間で転職を繰り返し、失敗するケースが珍しくない。青く見えた隣の芝が実は全く青くなかったのである。医局を辞めた後に後悔するのでは遅い。辞める前にしっかりと準備すべきである。そうしなかった医師は、また次の「理想の病院」を求めて果てしない病院探しの「失敗の転職旅」が始まるのである。 大学病院や医局人事の立派な病院(中核病院や公的病院)のみでずっと勤務してきた真面目な医師ほど民間病院に転じて良くも悪くもそのギャップに驚き、或いは失望するケースが多いように感じる。
医局(や教授)となかば喧嘩別れで退局した場合や、義理や礼節を欠く辞め方をしたような時には、残念ながらそのしっぺ返しという形で、医局関連のジッツは勿論の事、その医局の影響力が及ぶ病院や地域で理想の職場を見つける事に大きな困難が立ちはだかる事を覚悟しないといけないだろう。 その段階に至って初めてこの転職が失敗だったと気付いてもそれを挽回するのは大変なのである。ただ、これからはずっと(医者を引退するまで)医局にいるという医師は減少するだろうから、要は辞めると決断した時に気を付けるべき点を頭に置いて行動した方が良いだろうという事である。
医局や学閥、人間関係という目に見えない壁は今も昔も今後も存在し続けるであろう。 従って、医師人生のどこかのタイミングで医局を去る場合には、礼を尽くして出来る限り円満に、快く送り出してもらえるように、そして困った時にはいつでもまた連絡を取り合えるような関係を維持して医局を離れる事ができれば言う事は無い。 その為の努力は決して惜しむべきではないと思う。医局を辞める選択肢を選んだとしても良好な関係を続けていく事はもちろん出来るのである。
医師の世界に限らず、世の中は不条理や理不尽な事で溢れている。 いつまでも無邪気な子供のままでいられれば良いが、幸せな医師人生を送るためには、適切なキャリア選択やスキルアップに加えて、組織で生きる以上は戦略的な世渡り(上手な人付き合い)が必要な局面もあり、不条理を甘んじて受け容れる事が(今は損をしていると思っても)、長い目で見ると実は良かったのだという事も往々にしてある。 医局での修行期間というのは、ある面でそういう捉え方をする事ができるかもしれない。給料は安く、休みがあまり無くとも、かけがえの無い経験や人脈、同門の仲間などはそこでしか得られない貴重な財産と言えるかもしれない。
そして、医局を離れ自分の身一つ、医者としての腕と人脈を頼りに生きていく場合は、転職で失敗しない為にも転職候補となる病院の実態を出来る限り慎重に調べる事をオススメしたい。辞める前にしっかりと準備すべきである。 症例数や患者層、常勤医師、理事長、院長、学閥、医療設備、病院の評判、更には経営状態、経営母体(医療法人)、経営方針など、入職前にチェックしておくべき項目は多い。 目先の年収やポジション(役職)も大切だが、仕事にやりがいを感じて長く勤められる病院かどうかを吟味して病院選びを慎重にしないと後で後悔する事になりかねない。 ただし、どれだけ調べたとしても実際に勤務してみないと外から見えない事は沢山あるので、ある程度の段階で決断する必要があるが、事前に調査できる事はしておくに越した事は無い。
年収や給与、お金はとても大切なものであるが、多くの医師にとっては、それ以上に大切にしている事や優先度が高いもの(仕事のやりがいやプライドを満たしてくれる何かなど)がある。 それを満たしてくれる病院かどうか、それが優先確認事項であり、その次に種々の条件交渉に移るべきだと私は思う。
転職を考えているが、医局からどうしたら上手に離れられるのか分からない医師や誰かに相談したい医師、或いは外勤アルバイトを探したいといった時には、我々医師転職コンシェルジュに気軽に連絡をいただければ何らかのお手伝いができると思う。医局の辞め方、今後の関係性を悪くしない方法のお手伝いが出来ると思う。
医局からの転職で失敗しない為に、医師転職コンシェルジュのサービスを是非ご活用頂きたい。
安易に医局を辞める事や頻回の転職を勧める事はしないが、既に転職を決意している医師や転職先を探す必要がある医師には精一杯のサポートを以って、その想いにお応えしたいと思う。医局を辞める事が出来ないという理由だけで自らが強く望む働き方が出来ないという話を聞く事がある。医局との円満な関係はとても大切であるが、他人の顔色を常に窺う事に終始して自分の人生を制限するのはもったいない様に思う。
医局からの転職をお考えの医師の方は、医師転職コンシェルジュの転職サービスをご利用頂いた医師の方々の転職成功事例も是非ご覧ください。次はあなたを成功させる為に私どもが力になれれば幸いです。
著者:三木正孝
医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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