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2018/03/13
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今回は「外科医」(外科系医師)について見ていきたい。 日本の医師総数は319,480人(※厚生労働省2018年3月の公表統計データより)。 2年前の前回調査時から8,274人増加。統計上、医師は毎年4,000人程度純増している。
医師総数319,480人のうち、「医療施設に勤務する医師」は304,759人。95%以上の医師は医療施設で勤務している訳だ。ちなみに医療施設以外の医師というのは、「介護老人保健施設の従事者」3,346人、「医療機関の臨床系以外の大学院生」627人、「医療機関の臨床系以外の勤務者」3,004人、「医療機関以外の教育機関又は研究機関の勤務者」1,582人、「行政機関の従事者」1,740人、「産業医」1,128人、「保健衛生業務」976人、「その他の業務の従事者」642人、「無職」1,659人、「不詳」17人となっている。
前置きが長くなったが、「医療施設に勤務する医師」304,759人の中で、「外科系医師」はどのくらいの人数になっているのか、外科をスペシャリティとする医師を診療科目別(主たる診療科名別)に医師数(医療施設勤務の医師数)が多い順に列挙してみよう。
「外科系医師」の中では「整形外科医」が21,293人で医師数全体の7%を占め最多。 「整形外科医」に続いて「外科系医師」を総数の多い順に列挙すると、 「外科医(一般外科医)」4.7%、「脳神経外科医」2.4%、「泌尿器科医」2.3%、「消化器外科医・胃腸外科医」1.8%、「心臓血管外科医」1.0%、「形成外科医」0.9%、「呼吸器外科医」0.6%、「乳腺外科医」0.6%、「小児外科医」0.3%、「美容外科医」0.2%、「肛門外科」0.1%と続く。
上記の「外科系医師」を合計すると「医療施設に勤務する医師数全体」の約22%を占める。
参考まで、最も医師数が多いのは「一般内科医」20%で、その次が、「整形外科医」7.0%、「小児科医」5.6%(ちょっと意外な印象だったが・・・女性医師比率が高い)、「臨床研修医」5.5%、「精神科医」5.1%、「外科医」4.7%(数年前から激減・・・)、「消化器内科医」4.7%、「眼科医」4.3%、「循環器内科医」4.1%、「産婦人科医」3.6%、「麻酔科医」3.0%、「皮膚科医」3.0%・・・と続く。
医師全体の平均年齢は49.6才。診療科により平均年齢は相当開きがある。最も医師数が多い「一般内科」は58.0才、「整形外科」は51.1才、「外科(一般外科)」は52.9才、「泌尿器科」49.5才、「消化器外科・胃腸外科」46.2才、「心臓血管外科」45.3才、「形成外科」43.2才、「呼吸器外科」44.8才、「乳腺外科」47.2才、「小児外科」44.5才、「美容外科」45.9才、「肛門外科」58.5才となっており、一般内科や一般外科の平均年齢が高い一方、サブスペシャリティの専門診療科は平均年齢が低く若手医師のサブスペシャリティ特化(専門特化)傾向が読み取れる。
診療科目の構成割合を男女別に見ると、 「男性医師」は「内科」が最も多く、「外科」、「整形外科」がそれに続く。 「女性医師」も「内科」が最多で、「小児科」、「眼科、「皮膚科」、「研修医」がそれに続く人数となっている。「外科系」は男性医師が多数を占めているというのが実態と言えそうだ。
「外科」は医師の中でもメジャー科目として「内科」と並び称される位置付けであるが、激務のイメージもあり、医師総数に占める割合はやや減少傾向で、特に女性医師は外科系よりも内科、小児科、眼科、皮膚科といった専門領域を選択する傾向が強い。
医師転職市場において「外科系医師」に対する求人募集案件数は、「内科系医師」と比較するとやや少ないが、日本全国どの地域でも求人需要があるのは「整形外科」が筆頭格に挙げられるだろう。そして、「脳神経外科」、「消化器外科」などが続き、やや求人需要は減るものの「外科(一般外科)」も特に地方においてニーズが強い状況が続いている。
上述の通り、「整形外科医」の総数は「内科医」に次いで全診療科の中で2番目の多さとなっている。
医療機関からの医師求人募集でも「整形外科医」に対するニーズは恒常的に多い状況が続いており、高齢化の進展による「整形外科医」への社会的ニーズの高まりと共に整形外科医の総数も増えている。
人工関節部門、外傷部門、手の外科などのセンター化が最近の流行で、部長クラスのポストを用意して即戦力の中堅~ベテラン医師を招聘するケースや専門医取得を目指すような若手医師を積極的に募集する医療機関が全国に多数存在する。都市部のみならず地方やへき地など高齢化率の高い地域医療でも「整形外科医」は求人優先度が高くなっている。
脊椎・脊髄、関節、手の外科、マイクロサージャリー、足の外科、骨軟部腫瘍、スポーツ整形、外傷整形外科、骨代謝・骨粗鬆症、小児整形外科、運動器リハビリテーション・・・、急性期病院、ケアミックス型病院、療養型(慢性期)病院、クリニック、訪問診療、老健施設などありとあらゆる医療機関から医師求人が寄せられる。
「外科医」(一般外科)は数年前と比較して総数が減少傾向にある。「内科」と比べると医師求人募集案件も少ないのが現状。特に都市部の医療機関では「外科医師」求人は充足傾向にあり、地域中核の基幹病院クラスの外科は大学医局と繋がりがあるケースが多い。
中小規模の病院からの「外科医」求人募集は見られるものの、症例数や設備、スタッフ面など制約がある点は否めない。外科のオールラウンダーと言えるこの「一般外科」は内科における「一般内科」、「総合内科」と似た位置付けで「外科系医師」の中では平均年齢が高くなってきている。
「脳神経外科医」の医師求人募集傾向は大きく以下の2つに大別される。
日本全国で進む高齢化から「脳神経外科医」の求人募集も恒常的なものとなっており、医師側の売り手市場と言える状況が続いている。
高度急性期病院や脳神経外科専門病院からの医師求人募集案件では、脳血管障害の治療で、脳動脈瘤クリッピング手術・バイパスの手術等、脳血管内治療(ステント・コイル塞栓術)の他に 透析シャント手術、経皮的血管形成術など可能な脳外医師を求める案件などが寄せられている。
ケアミックス病院では慢性硬膜下血腫術の対応可の脳神経外科医歓迎(当直無し可)といった医師求人案件が見られる。
リハビリテーション病院(回復期リハビリテーション病棟)からの求人が案件数としては多く、リハ専従医、リハ指導医、管理医師やリハ専門医を目指す若手医師(転科OK)と「脳神経外科医」に対する求人ニーズは強い。
「泌尿器科医」も高齢化により医師求人ニーズが強い「外科系診療科」のひとつである。 外来、病棟管理、手術対応、救急対応、検査等が一般的な業務内容となっている。
「泌尿器科」の手術は病院の体制によるが、腎癌・腎盂癌・尿管癌・膀胱癌・前立腺癌・精巣癌など、尿路性器全般腫瘍手術加療、内視鏡手術・尿路上皮の抗がん剤加療も高度急性期病院では行っている。尿路結石については、尿管鏡手術による結石治療など。
地方都市の総合病院では積極的な「泌尿器科」の医師求人募集を行っていなくても地域や患者さんからの潜在的な需要は存在する印象。
「消化器外科」は高度急性期の地域中核・基幹病院クラスは大学医局の関連病院が多く、消化器外科、肝胆膵外科、胃腸外科といった専門特化の医師求人は都市部ではやや限定的。
都市部では民間大手医療機関などで腹腔鏡手術など可能な医師を求める専門特化した「消化器外科医師」求人も見られるが、案件として多いのは、中小規模の病院や地方の総合病院からの内視鏡検査やジェネラルな外科対応を期待する「消化器外科医師」求人募集案件が案件数としては多い。
「消化器外科」に専門特化した医師求人では腹腔鏡手術を導入する施設が増加、手術適応患者の造影検査などで「消化器科・消化器センター」といった体制で「消化器内科」の医師と一緒にチーム医療を行う医療機関が増えている。
また、非常勤医師の求人案件は多く、内視鏡検査、当直、日当直で「消化器外科医」を求める医療機関は多い。
「心臓血管外科」も高度急性期の地域中核・基幹病院クラスは大学医局の関連病院が多く医局派遣の医師を中心に「ハートセンター」、「心臓血管センター」などのチームが構成されているケースが多い。心臓手術症例は中核病院や専門病院に集約化されていく傾向にある為、開業等で医師が退職した場合の欠員補充の医師求人が急募で不定期に発生したり、体制強化目的で若手の「心臓血管外科医」を募集する案件が散見されるが、心臓手術が中心の専門特化した医師求人は決して多くはないのが実態。
そのような状況であるが、年間100例程度の心臓大血管手術、50~70例のステントグラフト手術と60~80例の末梢血管手術を実施する地方の中核病院などではTAVI(経カテーテル大動脈弁植込術)も実施できる体制を目指した心臓血管外科医求人が寄せられている。
心臓手術に拘らなければ、「血管外科」や「循環器科」(心カテや循環器外来)を担う医師としてキャリアの転換をしていく「心臓血管外科医」の実例も多い。
「形成外科」も常勤医師求人が少ない外科系専門診療科目のひとつである。
「形成外科」は標榜している病院がそもそも限られている事と、大学医局からの派遣医師で充足している医療機関が多い為、医師転職市場のパイ自体が小さいという事が挙げられる。
「形成外科医」の医師求人募集で中心となる求人元は、主に民間大手医療グループ病院や300床以上くらいの市中急性期病院や地方の基幹病院で特定大学医局からの医師派遣を受けていない施設など。欠員補充や新規立ち上げを目的に「形成外科医」の医師求人募集を掛けるといった案件となる。
そろそろ自由に動きたいと大学医局を離れる年代になると一般病院での「形成外科医」の常勤ポストが決して多くはない事もあり、「形成外科医」のキャリアパスのひとつの選択肢として「美容外科」分野へと向かう医師が少なくない。
「呼吸器外科」の医師転職市場もあまりパイが大きいとは言えない。専門特化した案件としては高度急性期病院からの医師求人募集にほぼ限定される外科系専門診療科である。
肺がんの手術は大学病院やがんセンター、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院など地域中核の基幹病院が専門診療を主に担っている為、大学医局を辞めて「呼吸器外科」に特化した診療をしたい場合、職場となる医療機関はやや限定的となる。
とは言え、都市部や地方の中核病院クラスからもタイミングによっては部長クラスのポストで医師招聘案件が出たり、若手医師なら増員検討可能という医療機関も散見される。
ある程度の年齢になりメスを置く決断が出来れば「呼吸器科」として「呼吸器内科」を中心とした外来・病棟管理主体の医師求人募集まで対象を広げれば案件数は多い。
「乳腺外科」も医師転職市場のパイ自体は決して大きくはないものの、最近は常勤医師求人募集が増えてきている外科系専門診療科のひとつである。乳がん患者の増加や乳がん検診など予防啓発が活発になっているといった社会的需要の増大から体制強化を目的に「乳腺外科」の医師求人が増加しているのが最近の状況となっている。
求人元の中心となるのは、大学医局との繋がりが無い(か少ない)300床以上くらいの急性期病院で、都市部から地方都市まで「乳腺外科医」に対する求人ニーズが見られる。
乳癌治療の細分化・専門化に伴い乳腺外科を乳腺センターとして独立させる医療機関もあり、対象疾患は乳癌に代表される乳腺の悪性疾患および乳腺炎や乳腺症,女性化乳房などの乳腺の良性疾患まで対応可能な病院では、乳房再建は「形成外科」と、放射線治療は「放射線腫瘍科」と、緩和治療が重視される際には「緩和ケア科」など、他科との連携が行われている。
「小児外科」は医師数が少ない。日本全国で「小児外科医」は802人、「小児外科専門医」は僅か600人程の外科系専門診療科であり、医師転職市場のパイもかなり限定的。
「小児外科」を標榜する医療機関が大学病院や高度急性期病院、こども病院など大学医局が医師の人事に大きな影響力を持つ関連病院が中心となる為、一般市中病院からの「小児外科」医師求人は全国を見渡しても数える程しか見当たらないのが実情である。役職ポストの空きが出た時に急募で欠員募集の「小児外科医師」求人が不定期に発生する事があり、そういった時にタイミングがうまく合えば転職を考えている「小児外科医師」にとっては数少ない転職チャンスとなる。
以上の通り、本日は外科系の医師転職市場について専門診療科ごとに簡単に概要を見てきました。常勤での転職相談/非常勤アルバイト探しなどご相談希望の外科系医師の方は下記までお気軽にご連絡ください。
医師転職コンシェルジュ 事務局 メール:info@doctor-concierge.jp フリーダイヤル:0120-297-488
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著者:三木正孝
医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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