海外で医師として働く

かなり限定的ではあるが、日本の医師免許プラス該当国現地での医師免許申請手続きと労働ビザ取得等の比較的簡易な手続き、そして、これらに掛かる3ヶ月～半年程度の準備期間で（現地国の医師国家試験をパスしなくとも）医師として働くことが可能な国・地域がアジア圏を中心にいくつか存在する。

主に在留邦人（日本企業の海外駐在員とその家族など）を対象患者としたクリニックが主な職場となり、家庭医・掛かりつけ医（GP=General Practitioner） のようなプライマリー医療が中心となる。

昨今、海外で働くことを希望する医師が増加傾向の為、海外で医師の求人が出ても応募者が複数現れ、直ぐに充足してしまう といった状況にあるが、着任したものの現地に馴染めず、直ぐに退職してしまうといったケースも少なくない為、 海外に興味のある医師は情報収集と現地に馴染めるかどうかも含めてよく検討・準備し、チャンスを逃さないようにしておくことが肝要だろう。

海外では国によって日本人医師に対する求人状況や診療許可・免許の要件が異なる。日本の医師免許と比較的簡易な手続きで（とは言え煩雑な関係書類の準備など相応に大変ではあるが）医師として働ける国（例えば中国、シンガポール、ベトナム、UAEドバイ等）もあるものの日本の医師免許がそのまま通用する訳では無いのが実情。また上記の中国、シンガポール、ベトナム、UAEドバイ等の日系クリニックには近年、海外移住や海外での勤務を希望する日本人医師の応募が増え、医師の総数規制等もあり、なかなかポストの空きが出ない為、日本人医師の求人自体が少ない傾向にある。繰り返しになるが、上記の国や地域で一般的に求められる医師はプライマリケア中心の所謂GP（General Practitioner）と呼ばれる総合診療医、家庭医、総合内科医のような医師である。患者さんの多くは現地在住の日本人や日本人駐在員の家族やお子様なので、小児科医や内科系医師でも、ある程度の小児科対応が可能な医師は歓迎される。また国によって医師として働くことができる年齢に制限があったりもする（例えば中国上海であれば一般的には60歳までとなっており、求人側としては55歳くらいまでの医師からの応募しか受け付けない傾向が見られる）。 日本人が患者の大半を占める日系クリニック（日本人医師が経営者だったり雇われ院長だったり）では現地語ができるに越したことは無いが、日本語ができる現地スタッフがいる職場もあるため現地語はできなくとも、むしろ日本語で患者さんと良好なコミュニケーションを取ることができる医師の方が重宝される傾向も無いとは言えない。しかしながら、やはりそこは海外。シンガポールやUAEドバイでは現地ライセンス申請時に英語力（現地の外国人医師による英語での試問インタビュー）や前職場からの推薦状などを求められることがあるので英語で円滑なコミュニケーションが取れる能力のブラッシュアップを念頭に置いてしっかりと準備をした方が良いだろう。