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形成外科の医師と美容外科についての考察~その2

形成外科の医師と美容外科についての考察

さて、前回の形成外科の医師と美容外科についての考察に引き続いて美容医療の業界について見ていきたい。
前回は日本の美容医療業界には「一般社団法人 日本美容外科学会」という全く同名の団体が2つ存在するという事などを見てきたが、
そのうちのひとつ、略称JSAPS(=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)の方の日本美容外科学会が母体となって厚生省(当時)の指導や日本医師会の支援を受けて設立された「内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)」が通称「マル適」という認定医制度を設けている。

前回のおさらいになるが念の為、繰り返すと、JSAPSは『「形成外科医を中心とする開業医」、「大学、一般病院勤務の形成外科医」で構成される日本美容外科学会』の方である。

このJAAMが認定する「適正認定医(マル適)」は、日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師に、審査のうえ適正認定医(マル適)として認定証を交付する、というものである。

日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師の条件とは?

■認定の条件は下記の通り(JAAMのHPより内容を抜粋、転載)

○当協会の正会員として3年以上経過していること
※当協会の正会員資格には、日本医師会の会員で、美容医療に関する経験を6年以上有することが必要。
○日本美容外科学会(JSAPS)専門医であること、ないしはこれに準ずる資格(日本形成外科学会専門医等)を有していること
※日本美容外科学会専門医には、3年以上日本美容外科学会正会員(日本形成外科学会認定専門医)で、学会が定めた所定の点数を取得し、所定の経験症例を有することが必要。
○過去3年に医師法に違反していないこと
○過去において刑事罰を受けていないこと
○協会の講習会、学会に出席していること
○広告の規制を守っていること
○一定基準の設備を有した施設があること

この適性認定医(マル適)となっている医師はJAAMのHP情報によると日本全国で僅か39名しかいないようである。この人たちは形成外科医を中心とした美容医療界の重鎮という感じだろうか。
地域別に見ると下記の通りである。

北海道・東北2名(全て札幌市)、関東23名(東京都16名、茨城県牛久市1名、千葉市1名、横浜市2名、神奈川県鎌倉市、相模原市、埼玉県川越市1名)中部2名(岐阜市、名古屋市)、近畿5名(全て大阪市)、中国・四国2名(広島市、岡山市)、九州・沖縄4名(福岡市2名、北九州市1名、那覇市1名)

やはり大都市圏に集中しており過半数が東京都内である。

「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している大学病院、総合病院

次に大学病院や著名総合病院などで「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している主なものを下記に地域別に列挙する。全て網羅出来ていないかもしれないがその辺りはご容赦願いたい。

【北海道・東北】
・北海道大学病院 形成外科「整容・美容外科」(北海道札幌市)
・岩手医科大学病院 形成外科(岩手県盛岡市)

【関東】
・東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科(東京都文京区)
・東京女子医科大学 形成外科(東京都新宿区)
・東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック(東京都荒川区)
・東京医科歯科大学附属病院 形成・美容外科(東京都文京区)
・昭和大学病院 形成外科(東京都品川区)
・東邦大学医療センター大森病院 形成外科(東京都大田区)
・杏林大学医学部付属病院 形成外科・美容外科(東京都三鷹市)
・日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科(東京都文京区)
・国際医療福祉大学三田病院 形成外科(東京都港区)
・聖路加国際病院 形成外科(東京都中央区)
・東京警察病院 形成・美容外科(東京都中野区)
・北里大学北里研究所病院 形成・美容外科(美容医学)(東京都港区)
・医療法人財団健貢会 総合東京病院 形成外科・美容外科(東京都中野区)
・医療法人財団健貢会 東京クリニック 形成外科・美容外科・美容皮膚科(東京都千代田区)
・千葉大学医学部附属病院 形成・美容外科(千葉県千葉市)
・自治医科大学附属病院 美容外科(栃木県下野市)
・北里大学病院 形成外科・美容外科(神奈川県相模原市)
・東海大学医学部付属病院 形成外科(神奈川県伊勢原市)
・聖マリアンナ医科大学病院 形成外科(神奈川県川崎市宮前区)
・横浜市立大学附属病院 形成外科(横浜市金沢区)
・埼玉医科大学病院 形成外科・美容外科(埼玉県入間郡毛呂山町)

【東海・北陸】
・愛知医科大学病院 形成外科(愛知県長久手市)
・金沢医科大学病院 形成外科(石川県川北郡内灘町)

【関西】
・神戸大学医学部附属病院 美容外科(神戸市中央区)
・近畿大学医学部附属病院 形成外科(大阪狭山市)
・近畿大学医学部奈良病院 形成外科・美容外科(奈良県生駒市)

【中国・四国】
・川崎医科大学附属病院 形成外科・美容外科(岡山県倉敷市)
・社会医療法人全仁会 倉敷平成病院 総合美容センター(岡山県倉敷市)
・徳島大学病院 形成外科・美容外科(徳島市)

【九州】
・福岡大学病院 形成外科(福岡市城南区)
・久留米大学病院 形成外科・顎顔面外科(福岡県久留米市)

以上、本日のコラムでは形成外科を基盤とした美容医療を行っている主な大学病院などの施設を見てきましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、各科目の医師の方々から転職やアルバイト探しのご依頼をいただき、出来る限りのお手伝いをさせていただいております。
仕事を中心に医師の様々な悩みに寄り添い、時には仕事以外の話もしながら解決策を一緒に考えさせていただいております。

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前回の記事形成外科の医師と美容外科についての考察はコチラ

形成外科の医師と美容外科について考察

形成外科の医師と美容外科についての考察

最近の事だが親しい形成外科医からアルバイト探しの相談を受けた。彼は大学の形成外科医局に籍をおいて形成外科医としての修練を続けており、現在は関連病院の形成外科で勤務医として働いている。今いる一般病院の形成外科で勤務を続けながら、将来を見据え美容外科も勉強する為に外の世界(自由診療の美容外科)も見てみたいという。

そして、ほぼ時を同じくして美容外科クリニックの経営企画やマーケティングの担当者の方ともお話しをする機会があった。形成外科医のアルバイトや転職支援をスムーズにサポートできるように私自身が美容医療界について確り理解しておく必要があり、現状を把握してみようと思い立ったので、このコラムで何回かに分けて見て行きたいと思う。

美容医療分野の団体について

まず、美容医療分野の団体を確認しておこう。

◎内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)

この協会は、「形成外科医を中心とする開業医、大学、一般病院勤務の形成外科医で構成される日本美容外科学会(JSAPS⇒後述)が母体となり、厚生省の指導と日本医師会の支援により平成3年4月20日に厚生省より設立許可され、発足から20年以上にわたる活動の実績が認められ、平成23年3月29日には、美容分野で唯一、内閣府より公益社団法人の認定を受けています。」という公的色合いの濃い(公的なお墨付きのある?)団体のようである。

更に『日本美容外科学会』というものがあるのだが、これが何と同じ名称で2つの団体が存在するのである。

◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
昭和52年設立、会員数 約1,200名
◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS=Japan Society of Aesthetic Surgery)
昭和41年設立、会員数 約1,012名

うーん、これは一般人や患者が混乱しかねない非常にややこしい状況にある。
美容外科医療の分野に進もうと考える若手の形成外科医や転科して美容外科医になろうという医師、更にはこれから自分の専門科目を決めようとする研修医や医学部学生も混乱する同じネーミングの学会が並立(乱立?)しているのである。

JASPSのHPには、自分達の団体は「国際美容外科学会(ISAPS)から認められた、日本で唯一の美容外科学会である」という事を主張すると共に下記の記載がある。

2つの日本美容外科学会

ここでお話しておかなければならないことがあります。美容外科に関してはその歴史的成り立ちや物の考え方の違いなどから、「日本美容外科学会」という同名の団体が2つ存在しています。

英文名は、私共の学会はJapan Society of Aesthetic Plastic Surgery(JSAPS)であり、他方はJapan Society of Aesthetic Surgery(JSAS)と違うのですが大変似た名前です。このホームページはこのうち、日本美容外科学会(JSAPS)の公式サイトです。検索していただければ原則として日本形成外科学会の専門医認定証を持ち美容外科に精通している「日本美容外科学会(JSAPS)の正会員の名簿」が登載されています。当学会の美容外科医をお探しの場合には、この公式ホームページに加え、学会事務局には名簿がありますので、電話にてお問い合わせも可能です。
※各医院やクリニックでおこなっている治療内容やクリニックのご紹介はいたしかねます。

という内容である。

一方のJSASの方もHPで、

現在の日本美容外科学会の懸案事項は、二つの同名の学会をどうするか、さらに専門医制度、事故調査委員会問題などを中心に山積しています。

という記載をしており、同名の学会が併存している状況を問題視している。

同じ名前の学会組織が2つ存在する為、どちらも「日本医学会」にも「日本医師会」にも加盟する事が出来ないという困った現状にあるようだ。
どっちが本物かみたいな、どこかの帆布カバン屋さんの本家争いのような様相を呈しているのである。

どちらがどうというのはここでは差し控えるので、詳細を知りたい医師の方は、自分で各々のHPを確認するなどして判断して欲しい。

まだ他にもある美容外科の団体

この2つの「日本美容外科学会」の他にも下記の団体もあり、ややこしい(と言うと関係者の方からお叱りを受けそうだが・・・)。

◎特定非営利活動法人 日本美容外科医師会

この団体の所属会員(医師)を見てみると、TVコマーシャルなどで有名な全国チェーンのクリニックを展開している美容外科医が多いが、必ずしもそれらTVCMなどで著名な美容外科医が例外無く名を連ねている訳でも無いから、それぞれの主義主張があるのだろう。

やや乱暴な分類かもしれないが現在の日本の美容外科の世界は、
・「(主に大学の)形成外科を基盤に発展してきたグループ」
・「美容外科として独自に発展してきたグループ」
・「美容外科の新たなグループ」

が異なる立場や考え方で、互いに相容れず、別々の道を歩んでいるといった感じであろうか。

少し長くなってしまったので今日はこの辺りにして次回コラムで美容医療界についての話題を続けて見ていきたいと思う。

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医師とクルマ(車)の関係性

医師とクルマ(車)の関係性

親しくなった医師と仕事以外の話しでよく話題に上がるものの一つがクルマ(車)である。
一般論だが(或いは私の個人的見解かもしれないが)、車が好きという医師は多いように思う。
電車やバス、或いはバイク、自転車で職場の病院やクリニックに通勤する医師も多くいるが、車を日々の足として使う医師は多い。
常勤先での仕事に加え、外勤アルバイトをしていると移動の足として車の方が移動時間を短縮できて便利、或いは公共交通機関が動いていない夜間や早朝でも移動が可能という事もあるだろう。
それにも増して、日々忙しい医師にとっては数少ない(?)娯楽の一つが車(モノとしてそれ自体、或いはdriving pleasureとして)なのかもしれない。

私の周りの医師が乗っている車のブランド傾向について

私の周囲の医師たちが乗っている車で多いものを車種やブランドから見ていくと、
趣味の車として、或いは移動の安全性、或いは所有感を満たしてくれるモノとして、など様々な選択理由があるのだろうが、やはり輸入車比率が高く、とりわけ(日本全体の傾向と言えるが)ドイツ車の割合が高いような気がする。

メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、VW(ゴルフ、ビートル、トゥーラン・・・)など。
ドイツ車以外ではイギリスのレンジローバーをはじめとしたランドローバー、ジャガーなどの高級車が続く。
スウェーデンのボルボ(特にステーションワゴン)も高い安全性や質実剛健なイメージが好まれているようだ。また、アメリカのハマーといった超大型のSUVに乗っている先生も私の知る範囲だけでも数名いらっしゃる。
輸入車と同じような立ち位置でレクサスを選択する医師も増えているように感じる。内装の豪華さに加え品質に対する絶大なる信頼感でレクサスは一歩抜きん出ているようだ。
その他、国産高級車では長距離移動が楽なGTカーやクーペモデル(フェアレディZなど)、そしてフーガなど高級セダン、走行性能やエンジンへの拘りからスバル(レガシー、WRXなど)を愛用している医師もチラホラ見受ける。家族が多い医師の中にはアルファードなど高級ミニバンに乗り換えた先生もおられる。
他方、意外にイタリア車(アルファロメオやフィアットなど)やフランス車(シトロエン、プジョー、ルノーなど)に乗っている医師は(私の周囲には)少ないようで、これらは過去のイメージから来る工業製品としての品質に対する漠然とした不安に加え、やや趣味的な嗜好が強すぎるのかもしれない。フェラーリやポルシェなどもあまり見掛けない。この辺りは仕事柄あまり派手に出来ないという事情もあるのだろう。

一方、輸入車ばかりではなく日本車を愛用している医師も当然多いが、こちらは輸入車を選択するのとは少し意味合いが異なり、低燃費(燃費が良い)など経済性を重視しての選択という印象。
病院への通勤の足としてトヨタプリウスに代表されるハイブリッドカーを使っている医師は多い。家族がいる医師の場合は、2台持っていて、(例えば専業主婦の)妻はメルセデス・ベンツで中高一貫校に通う子供の送迎やお買い物、(例えば勤務医の)夫はプリウスで病院へ通勤という具合。日本という国は嫉妬社会という面もあり、余計な事で目立ってもあまり良い事は無いという理性的判断から病院への通勤であまり派手なクルマというのも憚られるという事があるのだろう。

乗る車でまわりに与える印象は変わる

私の伯父は田舎の開業医であったが、地域医療にその生涯を捧げたといっても過言ではなく(と私は思っている)、自宅(兼医院)のガレージにはマツダのファミリアが停まっていた。
その大衆車ファミリアで伯父はよく往診に出掛けていたらしい。
偉ぶらずとても優しい良いお医者さんだったと周囲の人々からの評判は上々だった事を今でもよく覚えている。
私が小学生時代、夏休みにその伯父の家へ遊びに行った時、伯父は忙しい仕事の合間を縫って車で従兄弟と私を海へ連れていってくれた。今でも楽しい思い出でその伯父の事は大好きだ。自分の事は後回しで常に患者さんや周囲の人の為に尽くした、人としても医師としても本当に素晴らしい人物だった。
恐らく他の車に乗っていた時代もあるのだろうが、私が知るのは唯一上述したマツダのファミリアなのである。車というのは移動の足であると同時にある種のファッションアイテムとしての役割やその人のライフスタイル・主義主張の一端をそこから垣間見る事ができると思っている。
経済的には趣味のクルマ(車)というものを楽しめるだけの財力は十二分にあったと思うが、医師としての仕事が忙しく、それどころではなかったのか、或いはそういったものには興味が無かったかのどちらかだろうと思う。
この伯父が違う車に乗っていたら、私のこの伯父に対する印象もまた少し異なったものになっていたのかもしれない。もしも派手な車に乗っていたら、医者というのはお金持ちになれて、周囲の人から尊敬されて、あんなにカッコイイ車に乗れるのかと単純に思うと同時に派手好きな伯父さんという印象に変わっていたかも知れない。

また、別の人物(この人物は医師ではない)の話になるが、私が子供の時分にオレンジ色のシボレーコルベットスティングレーに乗っていたおじさんが近所に居た。ある日そのシボレーに乗せてもらった私は満面の笑みでシボレーと共に写真に収まったなんて事もあったなあと今でも覚えている。このおじさんは今なお自分の中では「シボレーのおじさん」なのである。
外見や所有物のみでその人を判断すると時に人を見誤るが、人というのは結構単純なもので、表面的なものや第一印象に大きく左右されてしまうという気がする。

私は子供の頃(スーパーカーブームの頃)からクルマ(車)が好きなので、車が好きな医師の方と仕事以外の話しで盛り上がるのも楽しいひとときである。
車を乗り換えたという話を聞くと機会があれば実車を見たい、できれば同乗させていただきたいと思うくらいである。

ライフスタイルによって、その時々で乗れる車というのはどうしても様々な制約から限定されてしまう。例えば、自分以外の家族も運転する車だとマニュアルミッションはダメだとか、2ドアはダメとか、燃費の悪いクルマはダメとか・・・。
可能な範囲で自分が乗っていて楽しい、欲しいと思えるクルマ(車)を選びたいものだ。
車は贅沢品という一面もあるが、車好きの人にとっては、誰かと一緒にドライブして楽しい時間を過ごしたり、趣味として車そのものを楽しんだりして人生を豊かにしてくれるアイテムの一つだと思う。

さて、今日は全くの独断と偏見、私の子供時代の回想も含め車の話題を取り上げましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、転職やアルバイトをお考えの医師の方々からの転職相談のお問い合わせやアルバイト探し、仕事の話のみならず車談義なども大歓迎です。車好きの医師の方もそうでない医師の方も医師転職コンシェルジュへどうぞお気軽にお問い合わせください。

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病院のM&A、売却について

病院のM&A、売却について

埼玉県にある下記2つの病院が経営不振により他の医療法人に売却される事になった。
・久喜総合病院
・熊谷総合病院
いずれもJA埼玉県厚生連(埼玉県厚生農業協同組合連合会)の病院であるが、この程、久喜総合病院は一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)に、そして熊谷総合病院は社会医療法人北斗(北海道帯広市)が経営を支援し埼玉県に新設する医療法人に、それぞれ譲渡する事で基本契約を締結したようだ。

病院売却の背景について

病院売却に至った背景は、「経営難」や「慢性的な医師不足」との事で、休業はせず病院機能もそのまま新法人へ引き継がれる模様。

特に久喜総合病院は今から僅か5年前の平成23年(2011年)春に新築移転して開院したばかりの病院である。元々は昭和9年に組合病院として設立された幸手総合病院が老朽化した為、同一医療圏内で移転を模索、増床(192床→300床)の上、現在地に新築移転し、病院名も久喜総合病院に一新したもので、その際に誘致元自治体である久喜市から35億8,000万円の補助金(施設整備費)を受けている。現在も1日あたり約500人の外来患者と約200人の入院患者受入、災害拠点病院認定など地域医療の中核を担っている。
(本日現在、JA埼玉県厚生連のHPには久喜総合病院の新築概要や工事開始を知らせるページがまだ残っていたのでご参考までキャプチャ画像をアップしておく。)
JA埼玉・久喜総合病院

5年前の新病院オープン前の事業計画と現在の業績の乖離があまりに大きく自主再建も困難と判断し、JA埼玉県厚生連としては病院事業を手放さざるを得なくなったのだろう。

今回の病院譲渡に際し、久喜市は3億7,000万円の和解金を受け取り、少なくとも向こう10年間は譲渡先が病院を継続する内容で合意したとの事。地域住民の皆さんや市の担当者は総合病院としての機能が維持される事でひとまずは安堵した事だろう。

M&Aによる病院売却に伴い、オーナーが変わる事で経営方針も変わるのか?

今回のM&Aでは病院機能はそのまま維持されるとの事だが、常勤医師をはじめスタッフの方々は不安であろう。病院オーナーが変わる訳であるから自分達の待遇や処遇はどうなるのか、経営方針も激変するかも?など・・・、未来の事は誰にも分からない。
雇用の維持を約束してはいても、これまでと同じ事をしていたのでは、業績向上は恐らく望めないだろうから事業の再構築=Restructuring(巷では“リストラ”と否定的な響きがあるが・・・)は必至であり、それが上手く進めば経営内容が盤石な病院として生まれ変わるかもしれない。

資金力があり経営手腕のある病院オーナーに変われば、財務面の不安は後退し、医師にとって魅力的な雇用条件と勤務環境を整備し、積極的な医師採用で常勤医師が増えれば好循環に入るかもしれない。逆に、病院M&Aの過程で優秀な医師や医療スタッフがひとりふたりと抜けていけば立派な箱(綺麗な病院病棟建物)だけが残る事になり病院の経営再建は容易ではなくなるだろう。この辺りが事業M&Aの難しいところである。
やはり事業は人なのである。

さて、今日は病院譲渡(売却、M&A)の話題をお届けしましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、医師の転職サポートや医師採用支援は勿論の事ですが、病院やクリニックの事業売却、事業買収、M&Aの支援も手掛けております。
転職やアルバイトをお考えの医師の方々や病院やクリニックを売りたい、或いは買いたいというお話しがあれば些細なお問い合わせやご相談も大歓迎です。
医師転職コンシェルジュへどうぞお気軽にお問い合わせください。

病院のM&A、売却に関心のある医療法人の方はコチラよりお問い合わせください。

JALと日本医師会との提携について思うこと

JALと日本医師会との提携について思うこと

「お客さまの中にお医者様はいらっしゃいませんか?」
航空機内で急病人が出た際にキャビンアテンダントが乗客に対して現在行っている呼び掛け(ドクターコール)である。私はこれまでそういった場面に居合わせた経験は無いが、TVドラマや映画などで誰もが一度や二度は見た事がある光景となっている。これがなくなるかもしれないという事で多くの医師の方々も注目したニュースだと思う。

JAL DOCTOR登録制度について医師からの評判は?

今回の取り組みの中身はこうだ。日本医師会が発行する医師のICカード情報をJALへの登録(私は医師です、急病人発生の時にはお手伝いしますという意思表示)を希望(というより志願?)する医師はJAL(日本航空)のホームページから事前登録をする事で、急病人発生という不測の事態にキャビンアテンダントがその医師の座席を予め把握できている為、直接その医師に協力を求める事ができるというものである。
航空機の乗客の中に医師がいるか否かを事前に把握できる為、これまでのようなドクターコールが不要になるかもしれないという触れ込みで、この「JAL DOCTOR登録制度」を2月15日から運用開始する事になったようだ。
しかし、肝腎の医師からの評判は芳しくない。

診療に従事する医師には応召義務(医師法第19条 第1項)があるとはいえ(応召義務の是非についてはここでは触れない)、専門分野や力量を無視して全ての「医師」を一括りにしている点や日本における法制度の不備(災難に遭ったり急病になったりした人など窮地の人を救うために「無償で」「善意の行動」をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができる事をしたのなら、たとえ力及ばずともその結果につき責任を問われないという趣旨の法、これが日本では整備されていない、或いはグレーゾーンとなっている。)などから不安感を抱いた医師たちが多いであろう事は容易に想像できる。

医師であれば全くの素人よりはマシなのは確かだろうが、一般人が医師に過剰に期待し、過度な負担を強いるのは医師の疲弊や逃散を招きかねない。
必要な環境が整備される事無く、義務と結果責任だけを押し付けられるとしたら、みんなそんなところからは逃げ出すか近寄らなくなってしまうのは自明の理である。

医師の使命感と善意のみに依存する制度には少々無理があり、今回のJALの施策は問題提起や理想論としては有りだろうが実効性の面からは残念ながら片手落ちの印象を受ける。

JAL DOCTOR登録制度について医師からの声を集めてみた

以下、不安を感じる医師の声を集めてみた。

・医師といっても全知全能ではなく専門外の対応は困難な事を理解して欲しい。
・善意で最大限の協力をしても結果が悪ければ責任問題や訴訟に発展するリスクがある。
・限られた医療キットしかなく、検査もできない飛行機の中では医師も殆ど何もできないのが現実。過度な期待をされても困る。
・看護師や救急救命士の資格を持ったCAを養成する方がより実効性があるのでは?
・善意や使命感で助けようとしても救命出来なかった場合、訴えられるかもしれない。
・ER担当医であれば、ある程度対応できるかもしれないが、例えば皮膚科や眼科の医師にAMIや脳梗塞などの処置を求めるのは無理があり、酷な話しだ。
・法整備(善きサマリア人の法)が無ければ、現実的な運用は困難。最近も救助ヘリからの転落事故に対する訴訟があったばかり。
・勿論出来る事は全力で協力するが、既往歴が不明な急病人や専門外のケースなど期待に沿えない事もある。
・登録する医師にメリットが見当たらない。プライベートや休暇、或いは学会の移動中など勤務時間外くらいはゆっくり過ごしたいというのが本音。その場に居合わせれば出来る事は勿論協力するが飛行機の中でもオンコール待機状態の緊張感を強いられるのは正直辛い。
・そもそも医師会に入っていない医師が多い。

それに対して日本医師会の考えはどうなのだろうか。JALとの今回の取り組みが最初の一歩で、今後ANAや他の航空会社へと同様の取り組みを拡大していくのだろうか。
もし、JALとだけという事であれば、JALを利用する医師は恐らく減るだろう。
今後はJALへの搭乗を避けて、新幹線での移動に切り替えたり、どうしても飛行機に乗らなければならない場合はANAを選択するという医師が増えるだろう。
良い悪いという話しではなく、個人の選択の問題なので、第三者がとやかく言うべきものでもないだろう。

自分が出来る事は使命感や善意から出来る限り協力しましょうという医師は多いと思うが、医師も普通の人間である限り、誰しも自信が無い事や専門外で対応困難という事は当然ある訳で、医師免許を持っているというだけで、突然過酷な(不慣れな)緊急を要する現場に放り込まれ、重過ぎる責任を背負わされるリスクは避けたいというのはある意味で当然の心理と言える。

航空機内の突発的な急病人にオールマイティに対応できる医師のみ登録してくれれば良いという主旨であれば、それはそれで一歩前進といえるだろうが、闇雲に医師のみに重い責任を背負わせるようなものにならなければ良いのだがと感じたニュースである。

今回と対照的なDoctor on boardプログラム

今回のJALとは対照的に、ルフトハンザドイツ航空は同様の制度に対して協力してくれる医師へのインセンティブを設けているようだ。
「Doctor on board」プログラムというのがそれで、以下にLufthansaのHPから該当箇所を引用させていただく。

機内で医療援助が必要となった場合、「Doctor on board」プログラムにご登録の医師の方に援助をお願い致します。ご登録いただいた皆様にはルフトハンザより謝礼を進呈いたします。

・Miles & Moreの5,000アワードマイル
・「Handbook of Aviation Medicine: and In-Flight Medical Emergencies(航空医学・機内医療援助ハンドブック)」1冊
・プログラム参加者用にデザインされた特製バッゲージタグ「Doctor on board」
・次回のフライト予約でご利用いただける50ユーロ分のプロモーションコードを1回分、および定期的なキャンペーン
・ルフトハンザにてDeutsche Akademie Fur Flugmedizin(航空医学ドイツアカデミー)との提携による、ルフトハンザ医療サービスが提供するセミナー(有料)への参加。その際にはCMEポイントも取得できます。

ご登録時にMiles & Moreに医療専門分野の情報が登録されますので、緊急医療が必要な事態が発生した場合、客室乗務員が医師の方に援助をお願い致します。機内に医師の方が複数いらっしゃる場合には、様々な専門分野の協議が可能です。

【賠償責任と保険】
医療援助を行った医師の方は法的に保護されます。ルフトハンザドイツ航空がそのような事態に備え契約している責任保険の範囲で治療を受けた搭乗客からの賠償請求に対しては填補されますので、医師のお客様ご自身が責任を問われることはありません。ただし、故意による過失は除外されます。この免責は医師の方ならびに医療関係の援助者の方にも適用されます。

ルフトハンザの「Doctor on board」であれば登録する医師はかなり多いと思う。
人間心理をよく理解した仕組みで(センスというか、これが至極当然だろう)、これなら医師も安心して登録ができ、緊急の際には出来る限りの処置を行ってくれる事だろう。
医師たちも納得の上、使命感と善意を以って援助協力が出来るフェアな制度のような気がする。
日本のナショナルフラッグキャリア(今はJALなのだろうかANAなのだろうか?)も頑張ってもらいたいものだ。

さて、今日は医師転職とはあまり関係のない(しかし医師には重大な関心事と思われる)テーマを見てきましたが、
「医師転職コンシェルジュ」では、医師の皆様とできるだけフランクにお付き合いをさせていただき、人としての信頼関係をベースとした転職のお手伝いやキャリアを中心とした悩みの解決を微力ながらサポートさせていただく事を心掛けています。
転職やアルバイトをお考えの医師の方々は、些細なお問い合わせやご相談も大歓迎です。
医師転職コンシェルジュへどうぞお気軽にお問い合わせください。

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