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心臓病治療の現状について考察。

心臓病治療の現状について考察。

前回のコラムではハイブリッド手術室について簡単に見てきたが、今日は心臓病の現状を少し見ておこうと思う。

超高齢化社会が到来している我が国においては、生活習慣病が増加しているのは周知の事実であるが、この生活習慣病が悪化した結果として発症するケースが多い病気のひとつが心臓病である。

心臓病は大きく3つに大別される。1つ目は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、2つ目が心臓弁膜症、3つ目が大動脈の病気(大動脈瘤、大動脈解離など)である。
(他にも拡張型心筋症など専門的には様々な心臓病と呼ばれる病気が存在するが・・・。)

これら心臓病の治療の選択肢として、内科的治療と外科的治療があるが、病気の種類や患者の状態、合併症の有無に加え、施設の方針や心臓血管外科、循環器内科の体制によって治療法が選択されているのが実態のようである。
最近では内科的治療、即ち心カテ治療(PCI=経皮的冠動脈形成術)が増加しており、心臓血管外科を標榜している病院・施設でも実際には心臓血管外科手術を行える体制が整っておらず、実態は循環器内科のみという施設が多く、心臓手術の症例は特定の施設に集中する傾向が強まっている。

心臓血管外科手術が行える施設では、外科的治療、例えば、冠動脈バイパス手術などが行われている。詰まった血管の迂回路(バイパス)を患者自身の体内から採取した血管(グラフト)を使って作り、血流を確保する手術である。
いくつもの血管が詰まっている、或いは他の心臓病を合併しているような場合には外科手術(開心術、開胸手術)が選択される事が多いようである。

他方で、外科手術が第一選択となるのは、弁膜症であり、弁置換術や弁形成術が代表的である。しかしこの弁膜症の治療でも内科的治療と言えるTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が保険適用となった事から今後はこの治療法が増加してくるのかもしれない。
TAVIのメリットは、手術が困難だった患者でも治療を受けられる可能性が開けた事である。

また、心臓病ではないが、血管外科の範疇で心臓血管外科医の守備範囲と言える末梢血管疾患の治療においては心臓血管外科医が活躍するフィールドが多く存在している(それを生粋の心臓血管外科医が望むか否かは別として、社会的ニーズは存在している)。
第二の心臓とも言われる足の動脈、静脈が詰まる病気は動脈硬化を抱えている高齢の患者を中心に多く見られ、その治療ニーズから心臓血管外科医を求める市中の病院は多い。

次回コラムでも引続き、循環器領域、心臓病手術に関するトピックなどについて見ていきたい。

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ハイブリッド手術室? 心臓血管外科・循環器内科領域の医師求人情報をお探しの方と共通言語でお話ができるように・・・。

ハイブリッド手術室? 心臓血管外科・循環器内科領域の医師求人情報をお探しの方と共通言語でお話ができるように・・・。

ハイブリッド手術室について、私自身の理解を深める意味でも少し見ておこうと思う。
心臓血管外科医や循環器内科医にとっては常識かもしれないが、ハイブリッド手術室とは、X線透視装置が設置された手術室の事である。つまり外科手術とカテーテル治療を行う事が出来る手術室の事をこう呼んでいる。
X線透視装置と手術室が組み合わさったという意味でhybrid(融合、雑種などの意)なのである。
手術と同時並行で、X線透視ができるので、カテーテルを使った血管内治療や血管内から心臓へアプローチする大動脈弁置換術などでは必要不可欠な手術室とされている。

循環器領域では近年、患者にとって、より低侵襲な治療、即ち、カテーテルによる血管内治療を治療法として選択するケースが増えている。主に循環器内科医が心カテ室でPCIなど心カテ治療を行うが、患者の状況によっては治療中に緊急手術(開心術、開胸手術)に移行せざるを得ない事態も想定される。
そういったケースで、感染症リスクを避ける為、空気清浄レベルのより高い手術室に患者を移して外科手術を始めるといった従来型のやり方から一歩進んだのが、このハイブリッド手術室における治療という事のようである。
ハイブリッド手術室の仕組みは従来型の手術室に高精度のX線透視装置を据え付けたもので、外科手術や血管内治療とX線撮影を同時並行で実施する事ができるのが特徴である。
手術台も全方位から患者のX線透視が可能となる万能手術台となっており、撮影画像は3D処理された立体画像としてモニターで確認する事ができる。

ハイブリッド手術室の普及により経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)も増加しており、(TAVIを行うにはハイブリッド手術室があり、冠動脈のカテーテル治療を年間100例以上実施している施設でハートチームとして治療に当たる事などが条件として義務付けられている。)
こういった流れからも、循環器内科医と心臓血管外科医がタッグを組むハートセンターやハートチームの体制が整った病院や循環器専門病院(クリニック)などの施設に心臓病の症例が集中する傾向が今後益々進むものと思われる。

次回コラムにて、もう少し循環器領域、心臓病などについて見ていきたい。

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医師が離島で働く事で得られる幸せについて考えてみた

医師が離島で働く事で得られる幸せについて考えてみた

沖縄県の伊江村立診療所を訪問する為に、伊江島(いえじま)にやってきた。
伊江島は人口約5,000人の比較的大きな島であるが、廻りは360度海に囲まれた離島である。

ここで働く医師の仕事内容は、外来診療、検査、救急対応、在宅医療、特養老人ホームへの訪問診療、学校医(健康診断)など一般的なものが並ぶが、これらを常勤医2名でほぼこなしている。「ほぼ」というのは常勤の医師が所用や休暇で休む際には、沖縄本島から応援でやってくる非常勤の医師もいるからである。また本州から離島医療を学びにくる若手医師も毎年3名ほどいるそうである。

勤務は月曜から金曜の午前9時~午後5時。夕方には診療が終わる訳であるが、この島には医療機関は此処しか無い為、島民の健康を守る為に急患があれば24時間365日対応する必要がある。
その為、午後5時以降はオンコール当番の医師が、呼ばれればすぐに駆けつけられるような体制を敷いている。急患が無ければ呼ばれない訳だが、遠くに行く訳にも行かず、当然行動は制約される。診療所は伊江村の中心部にあり、医師もだいたいはこの近くに住んでいる。
このオンコール当番は常勤医師が均等に、公平に分担している。今は常勤医2名なので2日に1回、常勤医が3名になれば3日に1回でよくなり、医師のフリーな時間が単純計算では1.5倍に増える事になる。
オンコール待機などの手当も手厚い為、伊江村で働く医師の年収はかなり高い。

東京や大阪などの都市部の大病院で、臓器別に専門特化した診療を行うのとは異なり、島ではGeneralに全身を診る事ができる医師が求められるが、対応困難な場合は、沖縄本島の総合病院へドクターヘリや船で搬送される体制が整っているので、あまり心配する必要は無い。

沖縄県の伊江村立診療所は離島医療と言っても、設備、スタッフともかなり整備されている。
透析センターも新設され、救急車も配備されている。
従って、ドクターコトーのような感じでは全く無く、むしろ普通の病院をイメージしていただいた方が実態に近いと思う。

島に数軒ある寿司屋や飲み屋、中華料理屋、沖縄そば屋、居酒屋、コンビニ、ガソリンスタンドなど生活に必要なお店もほぼこの付近に集まっており、仕事が終われば、行きつけの寿司屋や居酒屋などに島の人達が自然と集い、グルクン(タカサゴ)など沖縄の旨い魚や島らっきょうの天麩羅を泡盛と共にワイワイ楽しむのがここ伊江島の仕事終わりの過ごし方のようだ。
カラオケスナックもあり、歌好き踊り好きの島民も多いらしい。とにかく陽気な人が多いのが印象的。
やはり南国、明るい日差しが陽気な人を育むのだろうか。

休みの日には、釣りに興じるも良し、ダイビングスポットもあり、海が好きな人にはたまらない環境である。伊江島のシンボル城山(ぐすくやま)は現地では「たっちゅー」の愛称で親しまれており、ここからの眺めは沖縄八景のひとつにもなっている。この「たっちゅー」は沖縄本島の美ら海水族館からも見る事ができ、すぐに伊江島だと判る。

伊江島と沖縄本島とはフェリーで30分、1日往復4便の大型フェリーを伊江村が就航させている。やはり財政力のある島である。
ゆったりとした時間が流れるこの島でしばらく暮らせば誰でも人間本来の体内リズムが取り戻せるのではないかと感じさせる。

今回の伊江島での滞在は1泊2日。伊江村立診療所(伊江村福祉保健課)のはからいで伊江島を代表する白亜のリゾートホテル(YYYイエリゾート)に宿泊させていただいた。
目の前は白砂の美しいビーチが広がる素晴らしいホテルであった。

いつか再訪したいと思える場所がまたひとつ増えた今回の伊江島訪問であった。
伊江島の皆様、今回は温かいおもてなしを本当にありがとうございました!

伊江村立診療所の医師求人募集要項はコチラ(終了求人)
その他の離島関連医師求人はコチラ

沖縄県伊江村立診療所の知られざる魅力とは?離島の医師求人情報をお探しの方必見!

沖縄県伊江村立診療所の知られざる魅力とは?離島の医師求人情報をお探しの方必見!

沖縄本島の本部港(もとぶこう)からフェリーで30分。伊江島(いえじま)が近付いてきた。
この海域は運が良ければ鯨に出会えるそうだが、今回は遊びに来た訳ではないのでホエールウォッチングはまたの楽しみに取っておく事とする。

伊江島の玄関口、フェリーターミナルに到着すると、笑顔で出迎える人達の姿があちらこちらに。青い空、青い海とあいまって人々の明るい笑顔はまさに南国特有の雰囲気である。
そして、私達を出迎えてくれたのは伊江村福祉保健課の亀里さん。電話で話した印象通りの温かい人柄がすぐに伝わってきた。診療所の車でフェリーターミナルから2~3分の伊江村立診療所に向かうのかと思いきや、診療所の前を素通りして、診療所の30m程先にある村役場へと直行した。伊江村立診療所は村立ゆえ、先ずは村長さんにご挨拶を、という訳である。
村長さんと言ってもそんじょそこらの小さい村ではない。人口5,000人あまりの伊江島の行政の長であり、恰幅の良さと威厳を感じさせる風貌の村長さんである。しかし、話し始めると島袋村長も気さくなお人柄で温かい。「先生、是非ともお力をお貸しください。伊江島においで下さい。」とにこやかな笑顔である。

伊江島は沖縄の離島であり、白砂の美しいビーチを擁するリゾートアイランドとしての一面がある一方、太平洋戦争末期の沖縄戦では大変な激戦地となった島でもある。現在も島の西部には米軍施設(伊江島補助飛行場)が存在している。但し、補助飛行場ゆえ常駐機は無く、伊江島の人に話を聞くと普段は殆ど気にならないとの事である。

伊江島には米軍施設受入に伴う基地交付金があり、他の産業収入(観光やサトウキビ、ハイビスカス、タバコ生産、修学旅行生の民泊受入れなど)に、これがプラスされる形となり財政的には豊かな村となっている。
当たり前の事であるが、この島の「今」は過去から繋がっているのだという歴史をしっかりと認識しておく必要性を感じた。
こういった財政的な裏付けもあり、この島で働く医師にとっては、働きやすい環境と高待遇が用意されているのである。

訪問時点の伊江村立診療所の常勤医師は2名のみ。
そこで今回、常勤医を1名増員して3名体制にして、医師ひとりひとりの負担を軽減したいというのが医師募集の背景である。

診療所長は離島医療や救急医療の経験が豊富な阿部先生、56歳。頼りがいがあって懐の深そうな先生ですっかり伊江島の人たちに溶け込んでおられる。
また、今回の訪問時にはお会いできなかったが、もう一人の先生も沖縄本島と伊江島を行き来しておられる離島医療の経験豊富な40歳代の男性医師。

伊江村立診療所は土日祝はお休みだが島唯一の医療機関である為、急患は24時間365日対応(オンコール当番の医師が対応)。対応困難な重傷患者は沖縄本島へ搬送しており、日中はフェリー、あるいはドクターヘリMESHで、夜間は地元・伊江島の漁船で搬送している。現在新しい搬送専用船を建造中で更に環境はよくなる由。やはり財政面で豊かである事を感じさせる話しである。

ここで今回の医師募集の条件面を少しご紹介しておこう。
年俸は上限3,000万円程度(諸手当込み)まで可能。
(参考)年齢35歳から55歳 年収1,600万円~3,000万円(所得税込)
・伊江村給与等の条例規定に基づく
・給与、期末手当(年2回)
・その他手当(特殊勤務手当、研究費、土日祝祭日オンコール手当、オンコール手当源泉徴収税助成、扶養手当、児童手当、急患搬送手当等)

詳しい勤務内容については次回コラムにて。

沖縄県伊江村(いえそん)の医師求人募集案件で沖縄県の離島・伊江島(いえじま)に行ってきた。

沖縄県伊江村(いえそん)の医師求人募集案件で沖縄県の離島・伊江島(いえじま)に行ってきた。

先日(2015年3月初旬)沖縄の離島・伊江島(いえじま)に行ってきた。
伊江島は離島と言っても沖縄本島北部の本部(もとぶ)半島からフェリーで30分の場所にある人口約5,000人の比較的大きな島である。本部半島は沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館がある場所で訪れた事のある人も多いかもしれない。
伊江島は島全体が伊江村(いえそん)という村であり、伊江村唯一の医療機関が伊江村立診療所である。この伊江村立診療所から「医師を紹介して欲しい」との連絡をいただき、何度かの電話とメールでのやりとりを経て今回の初訪問となった。

大阪伊丹空港から空路那覇に飛ぶ訳だが午前11時本部港発のフェリーには朝の大阪―那覇便では間に合わず、已む無く(実は1日多く沖縄に滞在できるので内心は嬉しいのだが・・)那覇のホテルに前泊する事にした。翌朝、今回一緒に伊江島を訪問する医師と那覇空港で合流してタクシーで沖縄自動車道を一路北上。フェリーターミナルのある本部港へ約1.5時間のドライブ。タクシー料金は15,000円で交渉するようにと伊江村の福祉保健課の方(この方が医師採用の窓口をされている)から事前にアドバイスをいただいていたので、運転手さんに交渉してみたところ、沖縄独特の明るいトーンで「うん、いいよ」とあっさりOKが出て、すぐに料金交渉が成立した。

この時期の沖縄は各地でプロ野球のキャンプが行われている。本部港への道中、名護市では北海道日本ハムファイターズがキャンプを張っており多くの報道陣やファンの姿が見られた。
そして、タクシーのフロントガラスの向こうにエメラルドグリーンの美しい海が見えてきた。やはり沖縄は海も空も青く美しい!もうすぐ本部港、時刻は午前10時45分を少しまわったところ。フェリーは乗船のみなら予約は不要で当日その場でチケットを購入するシステム(車を載せる場合は予約が必要)。ちなみにフェリー料金は往復で1,370円と安い。これも伊江村が運営しているフェリーなので安く設定されているのだろう。やれやれ11時のフェリーには何とか間に合いそうだ。11時のフェリーを逃すと、次は午後3時まで便は無く、一日のスケジュールが大幅に狂ってしまうのだ。11時のフェリーに間に合ってホッと胸を撫で下ろす。