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2015/05/12
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前回のコラムではハイブリッド手術室について簡単に見てきたが、今日は心臓病の現状を少し見ておこうと思う。
超高齢化社会が到来している我が国においては、生活習慣病が増加しているのは周知の事実であるが、この生活習慣病が悪化した結果として発症するケースが多い病気のひとつが心臓病である。
心臓病は大きく3つに大別される。1つ目は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、2つ目が心臓弁膜症、3つ目が大動脈の病気(大動脈瘤、大動脈解離など)である。 (他にも拡張型心筋症など専門的には様々な心臓病と呼ばれる病気が存在するが・・・。)
これら心臓病の治療の選択肢として、内科的治療と外科的治療があるが、病気の種類や患者の状態、合併症の有無に加え、施設の方針や心臓血管外科、循環器内科の体制によって治療法が選択されているのが実態のようである。 最近では内科的治療、即ち心カテ治療(PCI=経皮的冠動脈形成術)が増加しており、心臓血管外科を標榜している病院・施設でも実際には心臓血管外科手術を行える体制が整っておらず、実態は循環器内科のみという施設が多く、心臓手術の症例は特定の施設に集中する傾向が強まっている。
心臓血管外科手術が行える施設では、外科的治療、例えば、冠動脈バイパス手術などが行われている。詰まった血管の迂回路(バイパス)を患者自身の体内から採取した血管(グラフト)を使って作り、血流を確保する手術である。 いくつもの血管が詰まっている、或いは他の心臓病を合併しているような場合には外科手術(開心術、開胸手術)が選択される事が多いようである。
他方で、外科手術が第一選択となるのは、弁膜症であり、弁置換術や弁形成術が代表的である。しかしこの弁膜症の治療でも内科的治療と言えるTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が保険適用となった事から今後はこの治療法が増加してくるのかもしれない。 TAVIのメリットは、手術が困難だった患者でも治療を受けられる可能性が開けた事である。
また、心臓病ではないが、血管外科の範疇で心臓血管外科医の守備範囲と言える末梢血管疾患の治療においては心臓血管外科医が活躍するフィールドが多く存在している(それを生粋の心臓血管外科医が望むか否かは別として、社会的ニーズは存在している)。 第二の心臓とも言われる足の動脈、静脈が詰まる病気は動脈硬化を抱えている高齢の患者を中心に多く見られ、その治療ニーズから心臓血管外科医を求める市中の病院は多い。
次回コラムでも引続き、循環器領域、心臓病手術に関するトピックなどについて見ていきたい。
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著者:三木正孝
医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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