さて、このイギリス、漢字では英国とも略称されるが、その正式名称は「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」。 クイズで出題される事などもあるが、医師の方は受験時に覚えた人も多いかもしれない。正式名称が示す通り4つの国(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)から構成される連合王国(United Kingdom)であり、現在の国家元首はエリザベス女王である。元々別々の国だったものがイングランド王国によるウェールズの併合(1543年)、イングランド王国とスコットランド王国の連合条約(1707年)によりグレートブリテン王国成立(グレートブリテン島が統一)、更に西隣のアイルランド島(アイルランド王国)を併合(1801年)するなど紆余曲折を経て連合王国となり、1922年にアイルランドの6分の5がイギリスから分離独立し、現在の形になってから約100年。 その間に第二次世界大戦などの反省から1973年にEC(欧州諸共同体European Community)、そして1993年に今回離脱を決めたEU(欧州連合European Union)が創設されイギリスも主要国のひとつとしてヨーロッパ大陸側の諸国との経済連携(関税撤廃や自由な往来など)を進めてきた。 経済格差や民族・文化・宗教などの違いを乗り越え、微妙なバランスの上にEUは成り立っている訳だが、アラブの春に端を発した中東・北アフリカ諸国の政情不安や内戦などの影響でシリアや地中海を隔てたアフリカ諸国などから多くの難民・移民が欧州各国に流入しており、イギリスにも職を求める移民が欧州各地から海を越えて渡ってきた結果、地元民との様々な摩擦が顕在化していたようである。EU加盟国間では労働者の移動の自由があるらしく、その流れを止める為にはEUから離脱する必要がある、或いは真の独立国家の姿を取り戻したいという国民が過半数を超えたというのが今回のイギリスの国民投票結果から見えてくる一面であろう。 元々イギリスは通貨統合(ユーロEURO)には参加せず、自国通貨のポンドを現在も使用し続けているが、そのポンドもドル、円など主要通貨に対して今回の動向を受け大暴落している。