menu
2017/07/18
Contents
我々医師転職コンシェルジュが10年以上に亘り事業として医師の転職をサポートしている中で、これまで様々な医師とお会いしてきた。
年齢は20代から80代まで、性別問わず、専門科目も多岐に渡る様々な医師との出会いが有った訳だが、今回のコラムでは医師が転職を考えるに至った動機や退職理由など、医師の本音が見え隠れする医師転職事情について「医師の転職理由ランキング」と題してざっと見ていきたい。
我々医師転職コンシェルジュ調べ(弊社が関わった医師転職事例)では、医師の転職動機、転職理由として最も多いのは、「キャリア」、「キャリアアップ」、「仕事内容」、「スキルアップ」に関するものである。
大多数の医師は「医者としての向上心」や「仕事に対するモチベーション」、「(医者として、人としての)プライド」が最優先事項で、上述した動機がお金(年収、年俸)に勝るという人が多い傾向である。
臨床医としてスキルを磨きたい、患者を助けたい、最先端の治療や自分が興味のある症例で論文を書きたい、○○専門医・○○指導医を取得したい・・・。
といったような仕事内容や医師としての在り方に、何よりも重きを置く医師が多いという事である。
医師の世界では一般的に大病院ほど名誉や世間体は良いが、逆に年収は低いという傾向がある訳だが、正にこういう医師達(特に若手~中堅で体力的にも無理が効く年齢層の医師達)のモチベーションや労働に支えられて、大学病院や基幹病院といった大病院の臨床現場は薄給、激務でも何とか回っているというのが今の日本医療の現状だろう。
そして、ある程度医師としてのスキルと経験を積んで、専門医や学位(博士号)を取得した段階に至ると、また違った転職動機や転職理由が増えてくる。
仕事内容やキャリアアップの次に多い転職理由(退職理由)は、「年収アップ」である。 今よりも稼ぎたい、稼ぐ必要に迫られている。
自分を高く評価してくれて、それを年収アップという目に見える形できちんと示してくれる病院へ転職したい。
こういった常勤転職に加え、非常勤アルバイト(外勤)で高い日給(時給)を効率よく稼げる案件も医師には人気が高い。
そして、特に外勤アルバイトの場合は、効率を重視し時間的拘束が少ない事を優先する傾向が強い。私の実感としては仕事内容≧お金(給与、年収)といった感じだ。
いくら報酬が高くても意に沿わない業務はやりたくないというのが医師の本音ではないだろうか。
業務内容や役職ポジションが自分のプライドを満たして、尚且つ満足いく年収を提示してくれる病院であれば転職候補先として検討できるという医師は多い。
次に多いのは人間関係が理由で転職をするケースである。
上司とそりが合わないとか理事長の方針についていけないとか、病院全体或いはスタッフのレベルや意識が低くそこで働く事に医師として危険を感じる、儲け主義で患者の事を考えていないような病院ではもうこれ以上働けない、疲れた、事務方や医局秘書の言動が我慢できないといったものまで様々だが、いずれも日常の業務で関わらざるを得ない人達との人間関係の悪化が大きなストレスとなっているケース。
仕事へのモチベーションを削ぐ要因となる人間関係の悪化は、医師にとっても病院にとっても大きなデメリットであり、医師本来の仕事以外の事に振り回されて疲れてしまっている医師が少なくない。
医師の転職理由は様々な要因が複雑に絡み合って「よし、転職するぞ」、「もう我慢できない」となる為、そう単純ではないのだが、続いて転職(退職)理由として多いのは普段の業務内容や業務範囲(業務の幅)に関する不満が引き金になるケースである。
多くは病院側の事情(例えば医師の急な退職など)により(事前相談無く)業務量を一方的に増やされてしまったり、医師以外でも出来る仕事(いわば雑務)が多くて医師本来の診療業務に集中できない、他科から何でもかんでも患者を押し付けられるといった不満が我慢の臨界点を超えてしまうと転職へと舵を切る。
一度病院に対して不信感が芽生えてしまうと、いろんな短所やデメリットがやけに目に付くようになってしまうものだ。
こうなってしまうと、その病院の長所やそこで継続して長く働く事が自分の今後の医師人生にとってメリットになるという中長期的な視点を持ちづらくなってしまい、近視眼的に転職を焦るという事にもなりがちなので、少し冷静になって自分が置かれた環境について客観的に眺めてみる事も必要だろう。
そして、次に多いのは子供の中学・高校・大学受験などに関連する教育的な理由からの転職である。
医師の家庭は総じて子供の教育に熱心であり、私立中高一貫校や国公立の進学校から医学部をはじめとした難関大学受験(合格)を目指し子供が小さいうちから準備をしているケースが多い。教育費が嵩むのである。
授業料のみならず塾や家庭教師の費用を稼ぐ必要があり、年収アップを目指しての転職や、子供の教育環境を考えて地方から都市部へ家族で転居を考えているという転職動機を持つ医師が結構多いのだ。
また、出産や育児によるキャリアチェンジや産休、復職といった転職理由も多い。
我々医師転職コンシェルジュは、いわゆる転職エージェントとして医師の代理人的な立場で病院と条件交渉(年収、労働条件、役職ポストなど・・・)を行なったり、医師に転職候補先病院の調査、提案を行ない、個人的なご相談もお受けしたりしているが、医師の方々から転職相談やアルバイト紹介のご依頼をいただく場合、その医師に何らかの価値を提供する事を基本方針としている。
特に医師にとっての重大事である転職においては、目先の事だけではなく、その転職が将来プラスになるのかどうかを当然の事だが重視して助言を行なっている。
客観的に見て、今は転職を踏み止まった方がベターと考えられるケースではそのように進言する事を厭わないスタンスで医師の方々とお付き合いさせていただいている。
非常勤(定期・スポット)については日給や時給の高さのみならず、時間効率やアクセスの良さ、スキルアップや症例アップに繋がるバイトなど総合的に勘案しての提案を心掛けている。
医師が転職する場合は、自分自身の人脈で動かれるのもひとつ。そして、いくつかの転職エージェントに相談されるのもひとつ(転職エージェントはうまく使い分ければ良い)。
役に立つ転職エージェントは独自情報を持っていたり、優良医療機関とのコネクションを保有していたりするものだ。
その中から相性の合う人間を選び、転職活動を二人三脚で行う事で、長く勤務できる病院での就業チャンスに巡り合う可能性が高くなる。
医師の方には良い病院で安定して出来るだけ長く勤務していただく事が我々の喜びであり、短期間で転職を繰り返してしまい転職回数だけが増えてしまうような事は医師にとっても医療機関にとってもデメリットが多いと考えている。
そういう訳で手前味噌ではあるが、医師にとっては医師転職エージェントと付き合う事はデメリットよりもメリットが多いと思うので、転職を考える際には是非上手にご活用いただきたい。
著者:三木正孝
医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
< 前の記事 |お知らせ・コラム一覧へ戻る| 次の記事 >
関連記事はありませんでした