医師転職コンシェルジュでは日本全国を対象に主に勤務医の先生方が別の病院へ常勤転職したり、非常勤アルバイトを希望する医師の方に外勤先をご紹介したり、採用サイドでは医師を募集している医療機関に医師をご紹介する事を中心とした医師採用支援事業をビジネスとして行っている。
埼玉県でご活躍中の多くの医師の方々や医療機関ともお付き合いをさせていただいている中、自然発生的に「医師の開業」というお話が出てくる事が増えてきた。開業を考える医師や転職に悩む医師からのご相談であったり、既に開業している医師からの引退(或いは勤務医へ戻りたいという転職)に伴う事業承継の話しであったり、或いは医療モール・医療ビルのオーナーさんや運営会社さんからのご相談だったり、ともかく医師の開業にまつわる話が増えてきているのである。
そういう訳で、新たに「医師の開業」というページを、この医師転職コンシェルジュのサイト内に設けて医師の開業物件情報やクリニック(テナント)募集や開業医(管理医師)募集といった情報発信を都道府県別、市町村別に行っていく事にした。
埼玉県での医師の開業、クリニック・医院開業
厚生労働省の「都道府県-指定都市・特別区・中核市(再掲)別にみた施設数及び人口 10 万対施設数(2014)」によると、埼玉県の一般診療所(クリニック、医院)の数は4,148(うち有床クリニックが244)で、これを人口10万対で見ると57.3施設となり、首都圏の東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県で比較すると人口当たりのクリニック数が最も少ないエリアが埼玉県となっている。医師転職コンシェルジュの埼玉県ページでも取り上げている通り、人口10万対医師数でも埼玉県は全国最少であり、医師不足が深刻な埼玉県ではクリニック・医院に対する医療需要は旺盛という事がこの数字から読み取れる。
医療需要は多いのに、競合クリニックが少ない(=成功しやすい?)のが埼玉での医師開業
上述した通り、関東(特に首都圏)の4都県で見ると、医療需要が多いのに、競合医院、競合クリニックは少ないというのが埼玉県での医師開業における優位性として挙げられる。つまり競争の激しい東京でクリニックを開業するよりも埼玉で開業した方が需給バランスの観点で見ると成功しやすいという事である。
埼玉県の県庁所在地・さいたま市(浦和・大宮・与野の3市合併で誕生、後に岩槻市も編入)は人口125万人を擁し、日本の内陸県で唯一の政令指定都市であり、内陸県で最大の都市でもある。
○埼玉県は西部(秩父地方)に山間部が多いが、それ以外は関東平野の一部を成し、平地が多い。東京に隣接する県南部ほど人口が密集し(東京のベッドタウン)、北部は農地が多い。
○埼玉県の医療機関数は、一般病院292、精神科病院49の合計341施設(病院)、一般診療所4,148(うち有床診療所244)となっている。(2014年度)
埼玉県の県庁所在地・さいたま市(人口122万人)や人口上位の川口市(同56万人)、川越市(同34万人)、所沢市(同34万人)、越谷市(同33万人)など埼玉南部は東京のベッドタウンとしての役割も有しており交通網が整備されており各地への交通アクセスは良好なエリアである。
地価が東京よりも総じて安い事から医師がクリニックを開業するに際して、不動産(土地)を購入するにしても、テナントとして医療ビルや医療モールに入居するなどして賃貸するにしても初期投資や固定費を抑える事ができる点は埼玉での医師開業の優位性として大きなポイントだろう。
そして、医師数が少なく、病院もクリニック・医院(診療所)の数も少なく、人口は多いのが埼玉である。従って数字で見る限り、埼玉での医師開業は他の首都圏(東京、神奈川、千葉)よりも競合クリニック・競合医院が少なく成功できる可能性が高いと言って良いかもしれない。
関東で開業を検討している医師の方は埼玉県エリアをクリニック・医院開業の候補地のひとつとして診療圏調査や競合医院・競合クリニック調査など行ってみては如何だろうか。
県庁所在地さいたま市(政令指定都市)での医師の開業、クリニック・医院開業
埼玉で医師開業候補地として人気の高い県庁所在地・さいたま市(政令指定都市)の状況を少し見ておこう。
厚生労働省の「都道府県-指定都市・特別区・中核市(再掲)別にみた施設数及び人口 10 万対施設数(2014)」によると、さいたま市の一般診療所(クリニック、医院)の数は879(うち有床クリニックが39)となっており、これは埼玉県全体(4,148施設、うち有床クリニック244施設)の21%ほどを占めている。また、人口10万対で見ると69.8施設となり、この数字は同じく政令指定都市である千葉市とほぼ同じ数字になっている。これは埼玉県全体の57.3より大きい数字であり、さいたま市での医師開業は埼玉県の他のエリアよりも医師が開業地と選ぶ傾向があり(人気が高い)、コインの裏側から見ると競合医院が多い為、クリニック同士で集患の競争が激しいという事を意味する。
さいたま市の診療科目別・開業医(クリニック、医院、一般診療所)の数
クリニック開業をお考えの医師の方には、クリニック・医院を安定経営していく為にも、ご自身の診療科における専門領域・得意分野の見極めのみならず、開業前の事前調査として競合医院・競合クリニックの調査や診療圏調査、医師数調査など総合的な経営戦略をしっかりと立てた上でクリニックの物件選定(不動産・テナント物件選定)を進められる事をおススメしたい。
埼玉県の県庁所在地・さいたま市の開業医(施設数)を診療科別に見ておくと以下の通りとなっている。さいたま市で開業しているクリニック・医院の施設数は全部で
- 内科
- 32
- 呼吸器内科
- 8
- 循環器内科
- 17
- 消化器内科(胃腸内科)
- 15
- 腎臓内科
- 2
- 神経内科
- 11
- 糖尿病内科(代謝内科)
- 4
- 血液内科
- 2
- 皮膚科
- 23
- アレルギー科
- 4
- リウマチ科
- 6
- 小児科
- 15
- 精神科
- 14
- 心療内科
- 4
- 外科
- 23
- 呼吸器外科
- 3
- 循環器外科(心臓・血管外科)
- 7
- 乳腺外科
- 3
- 気管食道外科
- 1
- 消化器外科(胃腸外科)
- 7
- 泌尿器科
- 17
- 肛門外科
- 8
- 脳神経外科
- 17
- 整形外科
- 23
- 形成外科
- 10
- 美容外科
- 3
- 眼科
- 12
- 耳鼻咽喉科
- 12
- 小児外科
- 2
- 産婦人科
- 6
- 産科
- 1
- 婦人科
- 3
- リハビリテーション科
- 20
- 放射線科
- 14
- 麻酔科
- 15
- 病理診断科
- 3
- 救急科
- 2
医師にとって、クリニック・医院を開業する事は病院で勤務する勤務医の立場とは違い、経営者となる事で経営責任が発生する。経営の成功も失敗も全て自分自身に返ってくる。院長自身が給料を取れるのは一番最後で、まずはスタッフへの給料支払いや医薬品卸など仕入れの支払い、家賃支払いなどが先行する。クリニック経営がうまく行けば勤務医時代の年収よりも経済的に恵まれる事になるだろうが、地元医師会や医薬品卸など様々な関係者とのお付き合いや利害調整など診療以外の仕事も多い。
そして地元医師会からの斡旋で市町村などの健康診断や予防接種など、初診で出会う患者さん一人一人と誠実に向き合っていく事が地域での良い評判を生み患者さんからの信頼を集め「かかりつけ医」として選んでもらえるクリニック・医院として発展していく鍵となるだろう。繰り返しになるが、開業する前の事前調査はどうか怠りなく。