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実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな

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標題のタイトルはある病院のベテラン事務局長さんがしみじみと私に語った言葉である。
自院の医師たちを話題に上げ、うちの先生方は「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という諺が当てはまる人が本当に多いんですよと。
私にはこの事務局長さんの話が、自院の医師たちに親しみと敬意を込めて、本心から出た言葉と感じられたので強く印象に残った。

スタッフの定着率が高い病院の医師

この病院は医師も看護師も他の専門職の人たちも極めて定着率が高いと言う。
その理由をこの事務局長さんは「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という諺を使って、自院の医師たちが医師としてのみならず人としてもとても素晴らしいという話(ある種の自慢話)を始めたのだが、これが実に微笑ましく、全く嫌味に感じる事が無かったのである。

今回訪問した事務局長さんの思う「良い医師」とは

人生の大先輩であるこの事務局長さんは、これまで多くの医師と関わってきたと言う。
その長いご経験から、あくまでご自身の主観と前置きをされた上で、下記のような事を私におっしゃられた。

  • ・良い医師ほど謙虚で偉ぶらない。
  • ・良い医師ほど仕事熱心。仕事に取り組む姿勢から、黙っていても周囲に良い影響を与える。
  • ・良い医師ほど準備を怠らない。
  • ・良い医師ほど履歴書が綺麗(転職回数が少ない)。
  • ・良い医師は人の悪口を言わない。誰に対しても穏やかに優しく接する。
  • ・良い医師ほど自分が大変な状況に置かれていても、決して人の所為にせず自分でその現状を引き受ける。

本当に医師としての実力があれば誰に対しても偉ぶる必要などなく、また、自分に自信があれば虚勢を張る必要もない、という事なのだろう。

誰もが何がしかの挫折経験やコンプレックスを持っている事があるだろうし、全ての医師が上述のような素晴らしい人格者になれる訳ではないと思うが、しかし、日々少しばかりの心掛けや良い習慣の積み重ねがダイレクトにその人の未来を形作っていくと考えれば、周囲や社会に対して少しでも良い影響を与え得る存在になるよう意識して毎日を過ごす事はとても大切な事だと感じる。

転職先での働き方と仕事に対する考え方について

人を履歴書だけで判断する事には異論を持つ人もいると思うし、私もその一人だが、この事務局長さんは経験測から統計的に「良い医師」は上記のような傾向が強いという考えに至ったとも仰っておられた。
転職回数が多い医師の方は、採用側からは書類選考の段階でそのように見られるという事を頭に置いて、ご縁あってその施設で医師として働くチャンスを得られた場合は、まず自身のプライドや流儀、こだわりは少し脇に置いて、マイナスバイアスが掛かった先入観を覆すだけの仕事ぶりや、周囲の人々(他の医師や医療スタッフ、患者さん・・・)から応援されるような日々の行動を通して(かと言ってあまり焦り過ぎず、独りよがりにならずに)、地道に信頼を勝ち得ていく事が肝要かもしれない。

履歴書にマイナスポイントがある場合

履歴書上のマイナスポイントはこれまで自分が行動してきた結果であると自分自身甘んじて受け容れるより他なく、過去を変える事はできないが、今と未来は自分自身の取組次第で変えられるという事、これは誰にとっても等しくチャンスが与えられていると思う。
郷に入れば郷に従うという事はある程度必要だろう。そして、組織人であるという自覚と大人の一般的なバランス感覚があれば大抵の組織でうまくやっていく事ができるだろう。
そんな風に感じた今回の事務局長さんの話しであった。

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医師にとってのWorkとJob

医師にとってのWorkとJob

今日は医師の仕事について大局的な観点から考えてみたい。
と言っても外科系、内科系、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、産科、婦人科、皮膚科・・・といった各診療科目・専門領域の仕事内容を見ていくという訳ではなく、全ての医師の方々に関係するであろう仕事観・人生観のようなものを見ていきたい。

さて、医師の皆さんはWorkとJobの違いをご存知だろうか。
英語の辞書によると下記のような意味との記載がある。

Work
(ある目的をもって努力して行なう)仕事、労働、作業、努力、勉強、研究、(なすべき)仕事、任務、仕事、務め

Job
仕事、手間仕事、職、勤め口、地位、任務、役目、機能、大変難しい事

どちらも日本語に訳すと「仕事」になる訳だが、その意味合いは異なる。
例えば転職を考えている医師は「給料を貰える仕事を探している」状態であり、この場合の仕事はJobである。
Jobとは即ち日常業務であり、その労働に対して(成果に関係なく)お金(給料・報酬)が貰える仕事の事である。

一方、Workは直ぐにはお金にならない(悪くするといくら努力してもお金にならないかも知れない)が将来への投資といった意味合いの大切な仕事である。
Homework(宿題)という言葉があるが、これは子供にとっての家での仕事(将来への大切な投資)なのである。
プロのアスリートは一流のプロになるまでに報酬が貰えないWork(練習)を積み重ねてきたに違いない。試合や本番で良いパフォーマンスを発揮する為には、家での練習(Homework)が欠かせない。

医師になった人々は受験においてHomeworkをしっかりやってきて偏差値最難関の医学部に入学、そして医師国家試験を突破した。そして、医師というJobに就く事ができた。
医師不足と言われる日本において医師免許があれば医師のJobにあぶれる事はあまり無いだろう。
しかし、いつまでも体力勝負のJobをずっと続けられるという訳でもない。
外科医であれば目が悪くなったり手が震えたり体が言う事をきかなくなると手術が辛くなるという事もあるだろう。当直回数も年齢と共に減らさざるを得なくなるだろう。

では、医師にとってのWorkとは何だろうか

病院やクリニックでの診療業務(Job)以外の仕事、例えば、専門医資格の取得や学会への参加、研究会やセミナー、目的を持った勉強、研究、医師としてのスキルアップの為の外勤アルバイト(Jobならば報酬重視、Workならば仕事内容重視だろう)、医師人脈、人格形成、信用・信頼、医師としての良い評判の蓄積(患者さんを想う人柄、医師としての確たる技量・腕)、開業志向の医師ならクリニックの開業準備、資産形成、産業衛生での顧問医師(産業医)etc.・・・、
将来、大きな果実を実らせる為の種蒔き仕事は全てWorkと言えるのではないだろうか。

このWorkとJobの違いは「金持ち父さん、貧乏父さん(Rich Dad Poor Dad)」というロバートキヨサキの大ベストセラー書籍からの受け売りであるが、「金持ちは職場で金持ちになるのではない、家で金持ちになるのだ。」という金持ち父さんの言葉に集約されるWorkとJobの本質的な違いなど、なかなか示唆に富んだ本なのでまだ読んだ事が無い人は一読される事をお奨めする。

医師は他の職種以上に年齢や体力、個々の置かれた状況によって働き方を変えていく必要がある職業かもしれない。
・Jobをしっかりやる時期、
・Jobをやりつつも将来の為に目的を明確にした(Home)Workを怠りなくやる時期、
・そして、Job(当直や手術)の比重を減らして、Workによって築いてきた「資産」に稼いでもらう時期
・指導医として部下を育成・指導する、世の中に貢献する時期、
といった感じであろうか。

日常が忙しくJobに追われる医師の方々が多いと思うが、たまには自分にとって大切なWorkについて考えてみるのも悪くないと思う。
我々医師転職コンシェルジュは、医師の方の求める働き方の実現をサポートする為の転職先の支援を行っております。現状の職場環境でお悩みの医師の方は是非一度ご連絡頂ければ、将来の可能性の広がる働き方、勤務先について一緒に語り合えたら幸いです。

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新しい医師の専門医制度について(2)

新しい医師の専門医制度について

前回コラムで来年2017年度からのスタートを目指している医師の「新・専門医制度」について少し見てきたが、ここに来て制度設計を進めている関係者の間で「開始時期の延期」を求める意見や議論が活発化している。

・準備不足で医療現場や地域医療に混乱が生じる。
・専門医養成プログラムの策定を急ぐ病院の中には期限が迫り慌てている施設もある。
・地域・診療科による医師偏在が更に進む懸念がある。
・第3次医療崩壊を招く懸念がある。
※医療関係者の間では第1次医療崩壊が新臨床研修医制度、第2次が小泉改革との声がある。これについては様々な意見があると思う。

といったような「延期」派の意見がある一方で、

・(新・専門医制度への移行を準備している)現場に混乱が生じないよう、予定通り来年2107年4月からの養成開始に移行したい。
・新・専門医養成プログラムの申請を行っている病院などでは、専攻医の受け入れ体制の整備を進めている。もし延期すれば病院の計画が大きく狂い、経営にも悪影響を及ぼす可能性がある。
・予定通りスタートして動かしながら改善すべき点があれば改善すれば良い。

といった「予定通り開始」すべきと主張する人たちもいる。

新専門医制度の開始時期とその内容を巡る議論は平行線を辿っているようである。
さて、どうなるのか・・・、引き続き推移を見守りたい。

この新・専門医制度は国民や患者に対して、より良い医療(質の高い医療)を提供する事が目的であるが、大学病院、大病院、中小民間病院、開業医など様々な利害が交錯する為、なかなか合意形成が難しいだろう事は容易に推測できる。

新専門医制度に移行すると専攻医(専門医を目指す若手医師)に研修プログラム(新専門医制度下の専門医養成プログラム)を提供できる大学病院や有力病院に、専門医取得を目指す若手医師が当然の事ながら集中する事が予想される。
そして、指導医クラスの医師たちの間でも当然それら施設の(少ない)ポストを巡って熾烈な椅子取りゲームが展開されるようになるかもしれない。転職を検討する医師も自分の診療科、専門領域に若手医師が充実しているかどうか、はたまた自分の上司になる医師は?、部下になる医師は?といった観点から病院の優勝劣敗が益々進むかも知れない。
若手医師が多く在籍していれば指導医や医長クラスの医師は部下を多く持つ事から(指導は大変かもしれないが)、雑務や当直の回数など業務負担は少なくなるだろうし、何より症例が多く集まる都市部のブランド病院に勤務したいと考える医師が益々増えるのではないか、というのが「新・専門医制度延期」派の意見のひとつである。

そんな中、都道府県別・診療領域別の定数枠を設定してはどうか、という意見も出てきておりまだまだ新・専門医制度は開始時期もその中身も流動的なようだ。

仮にだが、新・専門医制度が延期されるとしても既存の(学会主導)の専門医制度が存在しているので、専攻医の方は目指す領域の専門医取得に向けて、そして既に専門医をお持ちの医師の方々はご自分の専門医資格の維持について基本領域及び各専門領域(sub-specialty)の学会HPなどで情報収集をして、必要な準備と手続きを怠らなければ問題は無いだろう。

専門医資格は医師にとって一つの重大関心事であり、医師が転職を検討する際に病院側が提示する医師求人募集条件や年俸提示にも専門医資格の有無が多少なりともその医師に対する評価を左右する傾向がある事は否めない。
新専門医制度の動向を見守りたい。

専門医資格の有無に関わらず、転職を検討している医師の方は我々医師転職コンシェルジュへ気軽にお問い合わせください。

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新しい医師の専門医制度について

今日は新しい専門医制度について見ていきたい。
日々各科の医師の方々とお話をする中で、「専門医資格の維持」という課題(悩み)が話題として上がる事が少なくない。
現在の専門医制度は各学会が独自に認定しているものだが、これを第三者機関である「一般社団法人日本専門医機構」(日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、がん治療認定医機構、18基本診療領域学会の代表などで構成)が一元管理する「新・専門医制度」へ移行させようという検討が進んでいるのである。

各学会と密接に連携を図りながら新しい専門医制度への移行を進めつつあるという話は多くの医師が知るところであるが、その中身についてはよく知らないという人も多く、専門医資格の維持や取得を考えている医師の方々の心配の種ともなっている。

この新・専門医制度は来年2017年度からの開始(新制度による後期研修開始)を目指しており、その3年後の2020年度に新制度に切り替わって最初の専門医が生まれるというタイムスケジュールのようである。

新・専門医制度について

新・専門医制度の骨子・概要は以下の通り。

○専門医制度は二段階制とする(基本領域とサブスペシャルティ領域)。
○専門医の認定は各学会ではなく、中立的第三者機関で行う。
○専門医育成は研修プログラムに従って行う。中立的第三者機関では研修プログラムの評価・認定、研修施設のサイトビジットを行う。
○総合診療専門医を基本領域に位置づける。

新・専門医制度の流れ
初期臨床研修(2年間)修了→19の基本領域から1つを選択・研修(3年間 or more)→専門医資格取得

29領域(現時点)のサブスペシャリティ(sub-specialty)専門医取得には更に3年間(or more)の研修が求められる。

○19領域の基本診療科
・内科
・皮膚科
・外科
・産婦人科
・耳鼻咽喉科
・脳神経外科
・麻酔科
・小児科
・精神科
・整形外科
・眼科
・泌尿器科
・放射線科
・救急科
・リハビリテーション科
・形成外科
・病理
・臨床検査
・総合診療科 ←これまでの18基本領域に新たに追加される

新・専門医制度が浸透するまでには相応の時間を要すると思われるが、2024年までの移行期間(学会・領域により2025年、2026年も有り)の間はsub-specialty専門医を含め現在の専門医を「学会認定専門医」、そして新・専門医を「機構認定専門医」と呼び区別するようである(専門医としての扱いは同等)。そして移行期間経過後は「機構認定専門医」が唯一の「専門医」資格となる見通し。
既存の学会専門医は一定の移行期間(救済措置)を経て、新専門医(機構専門医)に収斂されていくという事らしい。

専門医資格は医師にとって一つの重大関心事であり、医師が転職を検討する際に病院側が提示する医師求人募集条件においても専門医資格の有無が多少なりともその医師に対する評価を左右する傾向がある事は否めない。
新専門医制度のsub-specialty専門医については次回コラムで見ていきたい。

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日本は、そして医師は本当に豊かなのか?(その2)

日本は、そして医師は本当に豊かなのか?(その2)

前回コラムの話題を続けたい。
日本は今後若い労働力人口(支える側)が減少していき、逆に年金や医療、福祉を必要とする高齢者人口(支えられる側)はどんどん増加していく。高齢になれば必然的に病院に掛かる人が増えるので医師の方々も益々忙しくなって大変だ。国の経済力を示す指標のひとつとしてよく引き合いに出されるGDP。日本は2009年に中国に抜かれるまで米国に次いでGDP世界第二位の経済大国と自認してきた訳だが、あっという間に中国に抜き去られて以降、その差は毎年大きくなるばかりである。
ついこの間まで世界第二位の経済大国だと思っていたのがもう7年も前の昔話になっている事に少々驚いてしまった訳だが、今日はGDPをその国の人口で割った「一人当たりGDP」について少し考えてみたい。

国民一人当たりのGDPは?日本は豊かなのか?

人口が日本の10倍以上もある中国と全体のGDPを単純比較してもあまり意味が無いというのは負け惜しみかも知れないが、やはり国民ひとりひとりの豊かさという観点から言えば、「一人当たりGDP」の方がしっくりくる指標だと思う。
さて、この「一人当たりGDP」。IMFや世界銀行、国連など様々な国際機関が統計を出しているがIMFが公表した2015年の順位を見てみると以下のようになっている。

1位 ルクセンブルク USD101,994
2位 スイス USD80,675
3位 カタール USD76,576
4位 ノルウェー USD74,822
5位 マカオ USD69,309
6位 アメリカ USD55,805
7位 シンガポール USD52,888
8位 デンマーク USD52,114
9位 アイルランド USD51,351
10位 オーストラリア USD50,962
11位 アイスランド USD50,855
12位 スウェーデン USD49,866
13位 サンマリノ USD49,847
14位 イギリス USD43,771
15位 オーストリア USD43,603
16位 オランダ USD43,603
17位 カナダ USD43,332
18位 香港 USD42,390
19位 フィンランド USD41,974
20位 ドイツ USD40,997
21位 ベルギー USD40,107
22位 フランス USD37,675
23位 ニュージーランド USD37,045
24位 UAE(アラブ首長国連邦)USD36,060
25位 イスラエル USD35,343
26位 日本 USD32,486
27位 イタリア USD29,867
28位 クウェート USD29,363
29位 プエルトリコ USD29,236
30位 ブルネイ USD28,237
31位 韓国 USD27,195
32位 スペイン USD25,865
33位 バハマ USD23,903
34位 バーレーン USD23,510
35位 マルタ USD22,829
36位 キプロス USD22,587
37位 台湾 USD22,288
38位 サウジアラビア USD20,813
(中略)
75位 中国 USD7,990
※IMFが公表する順位ではマカオ、香港、台湾、プエルトリコなどは国ではなく地域という扱いで順位から除外されている為、上記順位とはやや異なる。

さて、どうだろうか。日本は26位にようやく顔を出している。
私の実感としてはこの順位は妥当な気がする。日本より上位にランキングされている全ての国・地域に行った経験がある訳ではないが、旅行や出張などの短期間とはいえ、それらの国の幾つかに滞在した際に垣間見た限りであるが日本よりもずっと豊かだと感じさせる国はいくつもあった。
逆に日本よりも下位にランキングされている国、例えばイタリアやスペインといった南欧(ラテン)の国、そして韓国や台湾など東アジアの国の一人当たりGDPを見ると妙に納得感がある数字に落ち着いている。実感に近いのである。

全体のGDPが大きくなれば一人当たりGDPも大きくなるが、人口減少トレンドに入って今後稼ぎ手が少なくなる日本がGDPを増やそうと思うと、一人当たりの付加価値を今よりもずっと大きくする必要がある。
しかし、ただ闇雲に働いても限界があるし、無理が祟ってみんな疲弊してしまうだろう。ではどうすれば良いのかと言われれば私にも分からないし、日本の舵取りをしている人たちの意見も様々だろう。しかし規模の拡大や数字上の(ハリボテの)豊かさをひたすら追い求めるのはいつか来た道で周辺国との摩擦を生む事になるだろう。

先週、「世界一貧しい大統領」と言われるウルグアイの前大統領ホセ・ムヒカ氏が来日した。
環境問題を各国が話し合うリオ会議(Rio+20)で「ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星は一体どうなるでしょうか?」など、「過剰な消費生活に警鐘を鳴らし、それよりもむしろ、より良く生きる事を重視すべき」という大演説で一躍有名になった人物である。

南米ウルグアイの一人当たりGDPの順位は45位(USD15,748)であるが、この「環境資源に恵まれている小さな国」の代表者曰く、「ウルグアイには300万人ほどの国民しかいません。しかし、世界で最も美味しい1,300万頭の牛が私の国にはいます。羊も800万から1,000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。こんな小さな国にも関わらず国土の90%が資源に恵まれています。」

更に、「私の同志である労働者たちは8時間労働を求めて戦いました。そして今では6時間労働を勝ち取った者もいます。しかしながら6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。何故か?バイク、車などのローンを支払わないといけないからです。毎月2倍働き、ローンを払い終わって気付いた時には私のような老人になっているのです。」

長くなるので興味のある方はWebなどで詳細を検索して欲しいが、医師の方々も知らず知らずのうちにこのような人生になっている人も多いのではないだろうか。エリートと言われる人々に見られやすい傾向であり、日本全体がこのようなジレンマに陥っているのかもしれない。

日本と一人当たりGDPが同じくらいのイタリアや、やや下のスペインといったラテン系の国々は経済状況が厳しいと言われているが結構気楽(?)に構えてその日その日を楽しく過ごしているような印象を受ける。生来、きまじめな我々日本人も、そんな彼らの長所(?)を見習って少し肩の力を抜いて、あまり心配し過ぎず不安に駆られずに生きた方が良いのかもしれない。
しっかりと準備をして、やるべき事をやって、「足るを知る」の精神でいれば「何とかなるさ」くらいの気持ちでちょうど良いのかも、そんな風に感じたムヒカ氏の来日であった。
幸い、日本には智慧も人財も社会資本もまだまだ豊富なのだから。
医師の転職の際にもあまり心配し過ぎずに、起こるか起こらないか分からない将来の事に無闇に不安を感じるよりもまずは一歩を踏み出し行動する事がその不安を取り除く最も効果的な方法のような気がする。

医師転職コンシェルジュでは、医師一人一人のライフスタイルに合わせて、転職先をご紹介しております。一人一人、価値観も違うので、もちろんそれに合わせて求める職場環境も変わる。私たちは、そのような医師の方に、オーダーメイドで転職支援を行い、理想とするライフスタイルを得て欲しいと思っています。

転職をお考えの医師の方で求人情報をお探しの方は、一度我々医師転職コンシェルジュにお問い合わせください。あなたの求めるライフスタイルの実現に向けて全力を尽くしたいと思います。