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呼吸器外科の医師転職事情(その2)

呼吸器外科の医師転職事情

今回も前回に続いて呼吸器外科の医師転職マーケットについて見ていきたい。
胸部外科のひとつ、呼吸器外科はそもそも標榜している病院自体が少ない。呼吸器外科を標榜している病院でも呼吸器外科は部長、医長、医員の常勤医3名体制くらいのところか、或いはもっと少ないところが大半で、尚且つ、呼吸器外科も呼吸器内科も充実している呼吸器センター機能を有するような施設というのはかなり限られてくる。
そのような背景もあってか呼吸器外科は医師の絶対数が少ない。呼吸器外科専門医の数は約1,300名ほどである。しかもその大多数は都市部の拠点病院、中核病院に偏在している。
これは肺癌など手術数がある程度集まる病院に所属していないと専門医を維持する事が難しくなるというのが主な要因だろう。

呼吸器外科のQOLは良い?

次に、呼吸器外科の日々の仕事や忙しさについてであるが、呼吸器外科医のQOLは外科系医師の中では比較的良い部類と言えるだろう。
つまり帰宅時間は総じて早く、お休みもしっかり取れて、緊急呼び出しや緊急手術は少ないという印象である。
日本人の死因第一位は癌であり、その中で死亡率第一位は肺癌である。
その肺癌手術が仕事の大半を占めるといっても過言ではない呼吸器外科だが、急患が少ないというのが一つの特徴である。
勿論3次救急クラスの病院になると緊急呼び出しも多いようだが、緊急手術が必要なのはコントロールができない血気胸くらいという話もあり、それ以外の緊急呼び出しは少なく、それ故、外科医としては割とQOLを保ちやすいという側面が呼吸器外科にはあるようだ。

病院によって呼吸器外科と呼吸器内科の棲み分けや仕事の分担も様々で、呼吸器外科医は手術だけしていればOKという施設もあれば、術後の補助化学療法とか再発した場合の抗癌剤治療も呼吸器外科医が担当するという施設もある。
肺癌手術を手掛けていない病院でも呼吸器科(特に呼吸器内科)医師に対するニーズは少なくないが、その場合は呼吸器全般をGeneralに診てもらえる医師を求むという求人である。

呼吸器外科の医師求人ニーズはなくならない

しかし、低侵襲治療や放射線治療、化学療法といった治療手段など選択肢が増え、或いは手術適応外の新患肺癌患者も少なくないとはいえ、やはり手術適応の肺癌患者の手術は呼吸器外科医にしかできないのだから、肺癌手術ができる優秀な呼吸器外科医を求める医師求人募集がなくなる事はないだろう。
言うまでもないが肺癌手術をはじめ外科手術は当然の事ながら呼吸器外科医ひとりで出来る訳ではなく、あくまでチーム医療で行うものである。
大きな病院で呼吸器外科も呼吸器内科も充実していれば手術も呼吸器外科専門医が複数名入るが、そうでない場合は、オペレーター(術者)は呼吸器外科専門医でも助手(介助者)は他の外科医という事も珍しくはない。この辺りの呼吸器外科を取り巻くその施設の人員構成が入職を検討する際の重要チェックポイントのひとつである。

一方で市中の中小規模病院など呼吸器内科医も呼吸器外科医もいない施設に入職する場合は呼吸器外科医であっても肺炎など「呼吸器科」全般をカバーする事を求められるだろう。

医師転職コンシェルジュでは一般市中病院でややゆったりと呼吸器全般の業務に従事したいという医師にも、手術に拘りを持ち呼吸器外科で肺癌手術をメインに仕事をしたいという医師にも、それぞれの先生方のご要望にできる限りお応えできるよう、様々な施設とのパイプを今後も増やしていきたいと考えている。

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呼吸器外科の医師転職事情、肺がん手術ができる施設選びなど

呼吸器外科の医師転職事情、肺がん手術ができる施設選びなど

今回のコラムでは胸部外科のひとつ、呼吸器外科の医師転職事情を見ていきたい。
胸部外科とは本日取り上げる「呼吸器外科」、そして「心臓血管外科」、「食道外科」の3つの専門科目の総称である。
呼吸器外科が扱う最も主要な疾患のひとつは肺がんである。
従って呼吸器外科の医師が転職をする場合、手術をしたい呼吸器外科医は当然の事ながら肺がんの手術ができる施設を探す事になる。
メスを置く決断をする場合や呼吸器科で一般呼吸器の症例を診る医師としてやっていく場合は呼吸器内科で医師を募集している施設も検討対象に入る訳だが、呼吸器外科を標榜し、相応の肺がん手術症例がある施設というのは各都道府県でかなり数も限定され、症例数の多い有名(有力)病院はたいていどこかの大学呼吸器外科の関連施設となっている事が多い。

大学医局や教授と合わず止む無く医局を辞める場合は、その大学の影響が及ぶ施設でポストを得る事は当然できなくなり、また、狭い世界ゆえに、有る事、無い事を実しやかに周囲に言い触らされたりして、謂れのない嫌がらせを受けたりする事もあるかもしれない。
しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、他の大学医局の関連施設や特定の大学医局とは距離を置く施設など、そういった病院に外科医としての活路を見出し、自分に非がないのであれば、人の噂も75日という諺もあるように、堂々と振る舞ってさえいれば、きちんと評価してくれる人は必ずいるものである。
人は大して他人の事など興味は無いのだから、人の言う事など気にしないで自分のやるべき事をしっかりやっていれば良いのである。

誰かの歌にあったが、人と人なんてどうせ違うものだから分かり合う必要は無い、そして、人と人なんてどこか似ているものだから分かり合うなんて必要は無い、という訳である。

呼吸器外科の医師が転職の際に病院を選ぶ際のおすすめチェックポイント

そして、呼吸器外科の医師が病院を選ぶ際に、様々な観点があると思うが、下記項目などが重要なチェック項目になるのではないだろうか。

◯呼吸器内科の常勤医や関連大学の有無
◯呼吸器外科の常勤医や関連大学の有無
◯肺がん手術の年間件数
◯その他の外科手術の年間数(消化器外科、心臓血管外科など)
◯手術室の状況
◯麻酔医の体制
◯胸腔鏡手術が可能か否か
◯気管支鏡検査の年間件数
◯病理診断の体制(迅速病理診断が可能か否か)
◯呼吸器関連の学会認定施設か否か

生体肺移植や脳死肺移植など臓器移植手術に代表されるような高度先端医療に携わりたい呼吸器外科医は岡山大学病院など、それらをリードする大学に籍を置くより他無いと思う。しかし、肺がん手術ができる施設はどんなに少ない都道府県でも片手や両手以上はあるのだから、待遇や仕事内容、年収条件などが全てにおいて希望通りで、呼吸器外科医のポストがタイミングよく空いているなんて幸運はなかなか無いかもしれないが、医師としての志が高く、真摯に仕事に取り組むものの、残念ながら今は不遇で、現状に満足感を感じられず、何かを変えたいと心から思うのであれば、そんな施設を探してみる価値はあるかも知れない。そんな呼吸器外科の医師がいれば医師転職コンシェルジュは総力を挙げて精一杯応援したいと思う。

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形成外科の医師と美容外科について考察

形成外科の医師と美容外科についての考察

最近の事だが親しい形成外科医からアルバイト探しの相談を受けた。彼は大学の形成外科医局に籍をおいて形成外科医としての修練を続けており、現在は関連病院の形成外科で勤務医として働いている。今いる一般病院の形成外科で勤務を続けながら、将来を見据え美容外科も勉強する為に外の世界(自由診療の美容外科)も見てみたいという。

そして、ほぼ時を同じくして美容外科クリニックの経営企画やマーケティングの担当者の方ともお話しをする機会があった。形成外科医のアルバイトや転職支援をスムーズにサポートできるように私自身が美容医療界について確り理解しておく必要があり、現状を把握してみようと思い立ったので、このコラムで何回かに分けて見て行きたいと思う。

美容医療分野の団体について

まず、美容医療分野の団体を確認しておこう。

◎内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)

この協会は、「形成外科医を中心とする開業医、大学、一般病院勤務の形成外科医で構成される日本美容外科学会(JSAPS⇒後述)が母体となり、厚生省の指導と日本医師会の支援により平成3年4月20日に厚生省より設立許可され、発足から20年以上にわたる活動の実績が認められ、平成23年3月29日には、美容分野で唯一、内閣府より公益社団法人の認定を受けています。」という公的色合いの濃い(公的なお墨付きのある?)団体のようである。

更に『日本美容外科学会』というものがあるのだが、これが何と同じ名称で2つの団体が存在するのである。

◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
昭和52年設立、会員数 約1,200名
◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS=Japan Society of Aesthetic Surgery)
昭和41年設立、会員数 約1,012名

うーん、これは一般人や患者が混乱しかねない非常にややこしい状況にある。
美容外科医療の分野に進もうと考える若手の形成外科医や転科して美容外科医になろうという医師、更にはこれから自分の専門科目を決めようとする研修医や医学部学生も混乱する同じネーミングの学会が並立(乱立?)しているのである。

JASPSのHPには、自分達の団体は「国際美容外科学会(ISAPS)から認められた、日本で唯一の美容外科学会である」という事を主張すると共に下記の記載がある。

2つの日本美容外科学会

ここでお話しておかなければならないことがあります。美容外科に関してはその歴史的成り立ちや物の考え方の違いなどから、「日本美容外科学会」という同名の団体が2つ存在しています。

英文名は、私共の学会はJapan Society of Aesthetic Plastic Surgery(JSAPS)であり、他方はJapan Society of Aesthetic Surgery(JSAS)と違うのですが大変似た名前です。このホームページはこのうち、日本美容外科学会(JSAPS)の公式サイトです。検索していただければ原則として日本形成外科学会の専門医認定証を持ち美容外科に精通している「日本美容外科学会(JSAPS)の正会員の名簿」が登載されています。当学会の美容外科医をお探しの場合には、この公式ホームページに加え、学会事務局には名簿がありますので、電話にてお問い合わせも可能です。
※各医院やクリニックでおこなっている治療内容やクリニックのご紹介はいたしかねます。

という内容である。

一方のJSASの方もHPで、

現在の日本美容外科学会の懸案事項は、二つの同名の学会をどうするか、さらに専門医制度、事故調査委員会問題などを中心に山積しています。

という記載をしており、同名の学会が併存している状況を問題視している。

同じ名前の学会組織が2つ存在する為、どちらも「日本医学会」にも「日本医師会」にも加盟する事が出来ないという困った現状にあるようだ。
どっちが本物かみたいな、どこかの帆布カバン屋さんの本家争いのような様相を呈しているのである。

どちらがどうというのはここでは差し控えるので、詳細を知りたい医師の方は、自分で各々のHPを確認するなどして判断して欲しい。

まだ他にもある美容外科の団体

この2つの「日本美容外科学会」の他にも下記の団体もあり、ややこしい(と言うと関係者の方からお叱りを受けそうだが・・・)。

◎特定非営利活動法人 日本美容外科医師会

この団体の所属会員(医師)を見てみると、TVコマーシャルなどで有名な全国チェーンのクリニックを展開している美容外科医が多いが、必ずしもそれらTVCMなどで著名な美容外科医が例外無く名を連ねている訳でも無いから、それぞれの主義主張があるのだろう。

やや乱暴な分類かもしれないが現在の日本の美容外科の世界は、
・「(主に大学の)形成外科を基盤に発展してきたグループ」
・「美容外科として独自に発展してきたグループ」
・「美容外科の新たなグループ」

が異なる立場や考え方で、互いに相容れず、別々の道を歩んでいるといった感じであろうか。

少し長くなってしまったので今日はこの辺りにして次回コラムで美容医療界についての話題を続けて見ていきたいと思う。

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