Tag Archives: 市場&動向

神経内科医が転職する際に重視すべき事とは?

神経内科医が転職する際に重視すべき事

日本における神経内科専門医の数はざっと5,000名程度、これは全医師数の2%弱という少なさ(貴重さ)である。市中病院では神経内科医を求める医師求人、医師募集は多いが、必ずしも急募という感じではなく、どちらかというと潜在的なニーズはあるものの攻めの姿勢で採用を行うというよりもやや待ちの姿勢を感じる。つまり常勤の神経内科医がいてくれればbetterだが、いなければそれはそれで仕方が無いといった感じである。
そして現状としては神経内科の常勤医師が充実している施設は多いとは言い難い状況にある。
神経内科専門医の多くは東大や京大をはじめとした伝統ある有力大学・神経内科教室のどこかに同門として名を連ねておられる先生が多いのではないだろうか。

全国の神経内科指導医数をみてみよう

例えば京都大学神経内科学講座・同門の神経内科専門医の数は300名を超え、日本最多の実績を持つ教室の一つとの事である(歴史・伝統から見てもこれは当然かもしれない。)
神経内科指導医に至っては総数で2,770名、最多の東京都でも僅か434名である(2016年5月19日現在)。エリア別の神経内科指導医の分布(実数)は以下の通り。

◎神経内科指導医数
北海道エリア:104名
東北エリア:202名
青森県17名、岩手県37名、宮城県60名、秋田県18名、山形県27名、福島県43名
北関東エリア:114名
茨城県39名、栃木県38名、群馬県37名
首都圏エリア:818名
埼玉県112名、千葉県108名、東京都434名、神奈川県164名
甲信越エリア:131名
新潟県68名、山梨県10名、長野県53名
北陸エリア:62名
富山県16名、石川県29名、福井県17名
東海エリア:317名
岐阜県25名、静岡県61名、愛知県178名、三重県53名
関西エリア:449名
滋賀県28名、京都府116名、大阪府178名、兵庫県88名、奈良県27名、和歌山県12名
中国エリア:180名
鳥取県28名、島根県20名、岡山県49名、広島県57名、山口県26名
四国エリア:64名
徳島県18名、香川県18名、愛媛県18名、高知県10名
九州・沖縄エリア:313名
福岡県95名、佐賀県13名、長崎県27名、熊本県57名、大分県18名、宮崎県14名、鹿児島県72名、沖縄県17名
海外・その他:16名

そんな貴重な神経内科専門医や指導医であるが、様々な事情やライフスタイル、仕事に対する志向の変化などによって、大学医局人事からは一定の距離を置き、自ら勤務する病院や施設を探す(転職を模索する)医師からのご相談も増えている。
そんな場合、転職候補先病院(施設)の何を重視(チェック)すれば良いのだろうか?

神経内科医が転職先候補を探すにあたりチェックする事

何をやりたいかによって候補先病院は当然変わってくるが、
例えば専門医資格(あるいは指導医資格)で培ってきた専門性を活かした診療をしたい場合は、やはりそれ相応の施設を選ばないとCommon Diseaseは良いとしても脳卒中急性期を経て急性期病院から転院してくる慢性期寄りの患者さんばかりで神経難病などの治療に携わる機会は殆ど無いという施設の方が一般市中病院では多いのが実態だろう。

◎どんな神経内科症例があるのか

脳血管障害、認知症、パーキンソン病、てんかん・・・、神経難病などが集まる病院か否か。

◎近隣(医療圏)病院・施設の状況
大学病院や公立・公的病院など基幹病院や神経内科が強い施設が候補先病院の周辺にどのように分布しているのかを確認

◎外科系が強い病院なのか、それとも内科系が強い病院なのか
神経内科医師を求めるニーズは様々な病院・施設から寄せられるが、業務内容は施設によって様々である。「広く浅く」やりたいのか、それとも「狭く深く」やりたいのか。
神経内科の専門性を深く掘り下げた診療をしたいのか、それとも脳神経外科や整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、そしてリハビリテーションなど神経内科と関連が深い診療領域の中でその病院が強い科目は何なのかによって神経内科医のその病院におけるポジショニングがある程度入職前に予想できるかも知れない。

◎設備面はどうか
MRI、CT、脳波計(12チャンネル、16チャンネルetc.)、更にはRIやPETなどの画像診断機器・・・。

◎院内図書館や文献検索、文献取り寄せサービスなど専門書籍へのアクセスのしやすさはどうか

などなど色々とチェックすべきポイントがあると思う。
常勤の神経内科医が不在の病院では、総合診療科の医師が神経内科症例を診ている場合も少なくないが、いかに幅広くGeneralに診療ができる総合診療科の医師といえども神経難病は専門外であり、例えば脳波の読影に不安があったりするのも事実であろう。そんな時に常勤の神経内科医がいてくれれば非常に心強いという事がある。

また、診療報酬改定の関係から認知症診療体制の整備が課題、或いは神経内科専門医の教育施設、准教育施設を維持したいといった事から神経内科医を求める医師求人も見られる。

神経内科の専門性を活かした働き方ができる基幹病院クラスの施設からの神経内科医師求人の他、脳神経外科病院、リハビリテーション病院など様々な形態の病院・施設で神経内科医の求人ニーズは存在し、医師転職コンシェルジュが病院との密なパイプにより独自に掘り起こした潜在ニーズ(非公開医師求人)もあり、中には神経内科の先生方にお薦めしたい案件(医師求人)もあるので転職を模索しておられる医師の方はご興味があればご連絡をいただければと思う。

神経内科の医師転職市場についてはコチラ

転職をお考えの方の医師登録はコチラ。すぐに転職するかどうかは別にして、一度将来に対してのライフプランやライフスタイルを伺えればご相談に乗りますので、気軽にお問い合わせください。

医師が余る?今後求められる医師像は?

医師が余る?今後求められる医師像は?

今日は4月1日、タイトルの「医師が余る?」はエイプリルフールのJokeではなく、昨日、厚労省が公表したものである。
今から24年後の2040年には医師が34,000人も過剰になるかもしれないという見通しらしい。
今から24年後と言えば現在30歳の医師なら54歳、脂の乗り切った働き盛りの年代である。現在50歳の医師なら74歳、まだまだ現役で医師として働きたいという人も多いかもしれない。そんな近未来の医師需給の推計数字である。
日本の優秀な官僚が様々な統計数値や関連要素から弾き出した数字だろうからそれなりの根拠に基づき未来予測精度は高いかもしれないが、ひとつのファクターが変われば結果も変わる。未来の事など誰にも分らない。

しかし、これを受けて政府は今後医学部の定員削減を含めた検討に入るという。
2000年代に入ってから現在まで「医師不足」が日本全国で社会問題化し、特に勤務医の不足感が今も強いのは周知の通りである。マクロ的な医師数の机上の計算だけでは測れない現実、つまり都市部への医師の偏在や専門科目による医師の過不足などミクロ的な観点からのキメ細かい対応が必要だろう。

最近は段階的に医学部の定員は増加している

医学部定員数 2007年度7,625人→2016年度9,262人
更に医学部新設の予定もある。医師不足と医師余剰が交錯しているのである。
どんな世界でも需給ギャップというのは僅か数パーセントの違いが結果に大きな差異を生じさせる事がある。医師養成には長い時間を必要とするし、医師はロボットでは無いので、養成した医師全員が国の思惑通りずっと医療機関で医師として働いてくれるとも限らない。

医師免許にも匹敵する難関国家資格と言われる弁護士は司法制度改革(法科大学院や新司法試験実施)の結果、現在は弁護士余剰の状況となっている。
弁護士はもはや資格だけでは食えなくなっており収入の面では結構大変な仕事になってしまっているのだ。稼げる弁護士とそうでない弁護士の間に大きな差が生じているようである。
しかし、医師に関しては人のいるところ医療は必ず必要であり、その要たる医師の活躍の場は限りなく存在する事から医師転職や医師のアルバイト、医師求人や医師募集がなくなる事は無いだろうし、その対価の支払いは公定価格(診療報酬)で保険財政から支払われ、安売り競争に晒される事は無い。そういう意味では医師はまだ恵まれていると考える事もできる。

日本全体がマクロで見て医師不足であろうと医師余剰であろうと医師ひとりひとりにとってはそんな事よりも、自分の関わる範囲でまずは充実した仕事を無理なく、疲弊する事なく、バランスよく医師として働く事が出来る方が重大な関心事だろう。

医師に求められる能力は総合的に高くなる

その為にはたとえ医師が余るような時代が来たとしても、どこに行っても必要とされるような医師であれば何も恐れる事はない。
医師としての腕や知識、経験、そして人柄、先輩医師や後輩医師との繋がり、チーム医療で求められる周囲とうまく調和してやっていく能力、患者や病院職員とのコミュニケーションなど、求められる要素は以前よりも遥かに多くなるかもしれないので、そういう意味では大変かもしれないが、人口減少・超高齢の成熟社会に入った日本という国で生きていくとはそういう事なのだろう。
医師の需給だけの話ではなく様々な面で日本は量的拡大の時代から質的向上を目指すべき時代に入ったのだと思う。

医師転職コンシェルジュでは、スキルアップの為に転職したい医師の方の転職支援にも力を入れております。
スキルアップの為に転職をご検討されている医師の方は、是非お問い合わせください。

医師登録はこちら

医師転職成功事例はこちら

呼吸器外科の医師転職事情(その2)

呼吸器外科の医師転職事情

今回も前回に続いて呼吸器外科の医師転職マーケットについて見ていきたい。
胸部外科のひとつ、呼吸器外科はそもそも標榜している病院自体が少ない。呼吸器外科を標榜している病院でも呼吸器外科は部長、医長、医員の常勤医3名体制くらいのところか、或いはもっと少ないところが大半で、尚且つ、呼吸器外科も呼吸器内科も充実している呼吸器センター機能を有するような施設というのはかなり限られてくる。
そのような背景もあってか呼吸器外科は医師の絶対数が少ない。呼吸器外科専門医の数は約1,300名ほどである。しかもその大多数は都市部の拠点病院、中核病院に偏在している。
これは肺癌など手術数がある程度集まる病院に所属していないと専門医を維持する事が難しくなるというのが主な要因だろう。

呼吸器外科のQOLは良い?

次に、呼吸器外科の日々の仕事や忙しさについてであるが、呼吸器外科医のQOLは外科系医師の中では比較的良い部類と言えるだろう。
つまり帰宅時間は総じて早く、お休みもしっかり取れて、緊急呼び出しや緊急手術は少ないという印象である。
日本人の死因第一位は癌であり、その中で死亡率第一位は肺癌である。
その肺癌手術が仕事の大半を占めるといっても過言ではない呼吸器外科だが、急患が少ないというのが一つの特徴である。
勿論3次救急クラスの病院になると緊急呼び出しも多いようだが、緊急手術が必要なのはコントロールができない血気胸くらいという話もあり、それ以外の緊急呼び出しは少なく、それ故、外科医としては割とQOLを保ちやすいという側面が呼吸器外科にはあるようだ。

病院によって呼吸器外科と呼吸器内科の棲み分けや仕事の分担も様々で、呼吸器外科医は手術だけしていればOKという施設もあれば、術後の補助化学療法とか再発した場合の抗癌剤治療も呼吸器外科医が担当するという施設もある。
肺癌手術を手掛けていない病院でも呼吸器科(特に呼吸器内科)医師に対するニーズは少なくないが、その場合は呼吸器全般をGeneralに診てもらえる医師を求むという求人である。

呼吸器外科の医師求人ニーズはなくならない

しかし、低侵襲治療や放射線治療、化学療法といった治療手段など選択肢が増え、或いは手術適応外の新患肺癌患者も少なくないとはいえ、やはり手術適応の肺癌患者の手術は呼吸器外科医にしかできないのだから、肺癌手術ができる優秀な呼吸器外科医を求める医師求人募集がなくなる事はないだろう。
言うまでもないが肺癌手術をはじめ外科手術は当然の事ながら呼吸器外科医ひとりで出来る訳ではなく、あくまでチーム医療で行うものである。
大きな病院で呼吸器外科も呼吸器内科も充実していれば手術も呼吸器外科専門医が複数名入るが、そうでない場合は、オペレーター(術者)は呼吸器外科専門医でも助手(介助者)は他の外科医という事も珍しくはない。この辺りの呼吸器外科を取り巻くその施設の人員構成が入職を検討する際の重要チェックポイントのひとつである。

一方で市中の中小規模病院など呼吸器内科医も呼吸器外科医もいない施設に入職する場合は呼吸器外科医であっても肺炎など「呼吸器科」全般をカバーする事を求められるだろう。

医師転職コンシェルジュでは一般市中病院でややゆったりと呼吸器全般の業務に従事したいという医師にも、手術に拘りを持ち呼吸器外科で肺癌手術をメインに仕事をしたいという医師にも、それぞれの先生方のご要望にできる限りお応えできるよう、様々な施設とのパイプを今後も増やしていきたいと考えている。

呼吸器外科の医師転職市場についてはこちら

呼吸器外科の方で医師転職をご希望の方は、こちらから登録お願いいたします。
ご希望のライフスタイルを得られるような転職先をご紹介させて頂きます。

形成外科の医師と美容外科についての考察~その2

形成外科の医師と美容外科についての考察

さて、前回の形成外科の医師と美容外科についての考察に引き続いて美容医療の業界について見ていきたい。
前回は日本の美容医療業界には「一般社団法人 日本美容外科学会」という全く同名の団体が2つ存在するという事などを見てきたが、
そのうちのひとつ、略称JSAPS(=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)の方の日本美容外科学会が母体となって厚生省(当時)の指導や日本医師会の支援を受けて設立された「内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)」が通称「マル適」という認定医制度を設けている。

前回のおさらいになるが念の為、繰り返すと、JSAPSは『「形成外科医を中心とする開業医」、「大学、一般病院勤務の形成外科医」で構成される日本美容外科学会』の方である。

このJAAMが認定する「適正認定医(マル適)」は、日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師に、審査のうえ適正認定医(マル適)として認定証を交付する、というものである。

日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師の条件とは?

■認定の条件は下記の通り(JAAMのHPより内容を抜粋、転載)

○当協会の正会員として3年以上経過していること
※当協会の正会員資格には、日本医師会の会員で、美容医療に関する経験を6年以上有することが必要。
○日本美容外科学会(JSAPS)専門医であること、ないしはこれに準ずる資格(日本形成外科学会専門医等)を有していること
※日本美容外科学会専門医には、3年以上日本美容外科学会正会員(日本形成外科学会認定専門医)で、学会が定めた所定の点数を取得し、所定の経験症例を有することが必要。
○過去3年に医師法に違反していないこと
○過去において刑事罰を受けていないこと
○協会の講習会、学会に出席していること
○広告の規制を守っていること
○一定基準の設備を有した施設があること

この適性認定医(マル適)となっている医師はJAAMのHP情報によると日本全国で僅か39名しかいないようである。この人たちは形成外科医を中心とした美容医療界の重鎮という感じだろうか。
地域別に見ると下記の通りである。

北海道・東北2名(全て札幌市)、関東23名(東京都16名、茨城県牛久市1名、千葉市1名、横浜市2名、神奈川県鎌倉市、相模原市、埼玉県川越市1名)中部2名(岐阜市、名古屋市)、近畿5名(全て大阪市)、中国・四国2名(広島市、岡山市)、九州・沖縄4名(福岡市2名、北九州市1名、那覇市1名)

やはり大都市圏に集中しており過半数が東京都内である。

「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している大学病院、総合病院

次に大学病院や著名総合病院などで「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している主なものを下記に地域別に列挙する。全て網羅出来ていないかもしれないがその辺りはご容赦願いたい。

【北海道・東北】
・北海道大学病院 形成外科「整容・美容外科」(北海道札幌市)
・岩手医科大学病院 形成外科(岩手県盛岡市)

【関東】
・東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科(東京都文京区)
・東京女子医科大学 形成外科(東京都新宿区)
・東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック(東京都荒川区)
・東京医科歯科大学附属病院 形成・美容外科(東京都文京区)
・昭和大学病院 形成外科(東京都品川区)
・東邦大学医療センター大森病院 形成外科(東京都大田区)
・杏林大学医学部付属病院 形成外科・美容外科(東京都三鷹市)
・日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科(東京都文京区)
・国際医療福祉大学三田病院 形成外科(東京都港区)
・聖路加国際病院 形成外科(東京都中央区)
・東京警察病院 形成・美容外科(東京都中野区)
・北里大学北里研究所病院 形成・美容外科(美容医学)(東京都港区)
・医療法人財団健貢会 総合東京病院 形成外科・美容外科(東京都中野区)
・医療法人財団健貢会 東京クリニック 形成外科・美容外科・美容皮膚科(東京都千代田区)
・千葉大学医学部附属病院 形成・美容外科(千葉県千葉市)
・自治医科大学附属病院 美容外科(栃木県下野市)
・北里大学病院 形成外科・美容外科(神奈川県相模原市)
・東海大学医学部付属病院 形成外科(神奈川県伊勢原市)
・聖マリアンナ医科大学病院 形成外科(神奈川県川崎市宮前区)
・横浜市立大学附属病院 形成外科(横浜市金沢区)
・埼玉医科大学病院 形成外科・美容外科(埼玉県入間郡毛呂山町)

【東海・北陸】
・愛知医科大学病院 形成外科(愛知県長久手市)
・金沢医科大学病院 形成外科(石川県川北郡内灘町)

【関西】
・神戸大学医学部附属病院 美容外科(神戸市中央区)
・近畿大学医学部附属病院 形成外科(大阪狭山市)
・近畿大学医学部奈良病院 形成外科・美容外科(奈良県生駒市)

【中国・四国】
・川崎医科大学附属病院 形成外科・美容外科(岡山県倉敷市)
・社会医療法人全仁会 倉敷平成病院 総合美容センター(岡山県倉敷市)
・徳島大学病院 形成外科・美容外科(徳島市)

【九州】
・福岡大学病院 形成外科(福岡市城南区)
・久留米大学病院 形成外科・顎顔面外科(福岡県久留米市)

以上、本日のコラムでは形成外科を基盤とした美容医療を行っている主な大学病院などの施設を見てきましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、各科目の医師の方々から転職やアルバイト探しのご依頼をいただき、出来る限りのお手伝いをさせていただいております。
仕事を中心に医師の様々な悩みに寄り添い、時には仕事以外の話もしながら解決策を一緒に考えさせていただいております。

転職を検討中の医師の方やアルバイトを探している医師の方は医師転職コンシェルジュへどうぞお気軽にお問い合わせください。医師の求人登録はコチラ

前回の記事形成外科の医師と美容外科についての考察はコチラ

形成外科の医師と美容外科について考察

形成外科の医師と美容外科についての考察

最近の事だが親しい形成外科医からアルバイト探しの相談を受けた。彼は大学の形成外科医局に籍をおいて形成外科医としての修練を続けており、現在は関連病院の形成外科で勤務医として働いている。今いる一般病院の形成外科で勤務を続けながら、将来を見据え美容外科も勉強する為に外の世界(自由診療の美容外科)も見てみたいという。

そして、ほぼ時を同じくして美容外科クリニックの経営企画やマーケティングの担当者の方ともお話しをする機会があった。形成外科医のアルバイトや転職支援をスムーズにサポートできるように私自身が美容医療界について確り理解しておく必要があり、現状を把握してみようと思い立ったので、このコラムで何回かに分けて見て行きたいと思う。

美容医療分野の団体について

まず、美容医療分野の団体を確認しておこう。

◎内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)

この協会は、「形成外科医を中心とする開業医、大学、一般病院勤務の形成外科医で構成される日本美容外科学会(JSAPS⇒後述)が母体となり、厚生省の指導と日本医師会の支援により平成3年4月20日に厚生省より設立許可され、発足から20年以上にわたる活動の実績が認められ、平成23年3月29日には、美容分野で唯一、内閣府より公益社団法人の認定を受けています。」という公的色合いの濃い(公的なお墨付きのある?)団体のようである。

更に『日本美容外科学会』というものがあるのだが、これが何と同じ名称で2つの団体が存在するのである。

◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
昭和52年設立、会員数 約1,200名
◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS=Japan Society of Aesthetic Surgery)
昭和41年設立、会員数 約1,012名

うーん、これは一般人や患者が混乱しかねない非常にややこしい状況にある。
美容外科医療の分野に進もうと考える若手の形成外科医や転科して美容外科医になろうという医師、更にはこれから自分の専門科目を決めようとする研修医や医学部学生も混乱する同じネーミングの学会が並立(乱立?)しているのである。

JASPSのHPには、自分達の団体は「国際美容外科学会(ISAPS)から認められた、日本で唯一の美容外科学会である」という事を主張すると共に下記の記載がある。

2つの日本美容外科学会

ここでお話しておかなければならないことがあります。美容外科に関してはその歴史的成り立ちや物の考え方の違いなどから、「日本美容外科学会」という同名の団体が2つ存在しています。

英文名は、私共の学会はJapan Society of Aesthetic Plastic Surgery(JSAPS)であり、他方はJapan Society of Aesthetic Surgery(JSAS)と違うのですが大変似た名前です。このホームページはこのうち、日本美容外科学会(JSAPS)の公式サイトです。検索していただければ原則として日本形成外科学会の専門医認定証を持ち美容外科に精通している「日本美容外科学会(JSAPS)の正会員の名簿」が登載されています。当学会の美容外科医をお探しの場合には、この公式ホームページに加え、学会事務局には名簿がありますので、電話にてお問い合わせも可能です。
※各医院やクリニックでおこなっている治療内容やクリニックのご紹介はいたしかねます。

という内容である。

一方のJSASの方もHPで、

現在の日本美容外科学会の懸案事項は、二つの同名の学会をどうするか、さらに専門医制度、事故調査委員会問題などを中心に山積しています。

という記載をしており、同名の学会が併存している状況を問題視している。

同じ名前の学会組織が2つ存在する為、どちらも「日本医学会」にも「日本医師会」にも加盟する事が出来ないという困った現状にあるようだ。
どっちが本物かみたいな、どこかの帆布カバン屋さんの本家争いのような様相を呈しているのである。

どちらがどうというのはここでは差し控えるので、詳細を知りたい医師の方は、自分で各々のHPを確認するなどして判断して欲しい。

まだ他にもある美容外科の団体

この2つの「日本美容外科学会」の他にも下記の団体もあり、ややこしい(と言うと関係者の方からお叱りを受けそうだが・・・)。

◎特定非営利活動法人 日本美容外科医師会

この団体の所属会員(医師)を見てみると、TVコマーシャルなどで有名な全国チェーンのクリニックを展開している美容外科医が多いが、必ずしもそれらTVCMなどで著名な美容外科医が例外無く名を連ねている訳でも無いから、それぞれの主義主張があるのだろう。

やや乱暴な分類かもしれないが現在の日本の美容外科の世界は、
・「(主に大学の)形成外科を基盤に発展してきたグループ」
・「美容外科として独自に発展してきたグループ」
・「美容外科の新たなグループ」

が異なる立場や考え方で、互いに相容れず、別々の道を歩んでいるといった感じであろうか。

少し長くなってしまったので今日はこの辺りにして次回コラムで美容医療界についての話題を続けて見ていきたいと思う。

「医師転職コンシェルジュ」では、転職やアルバイトをお考えの医師の方々からの転職相談やアルバイト探しのお手伝いを親身になってお手伝いさせていただいております。
仕事を中心とした様々な医師の悩みに寄り添い、解決策を一緒に考えさせていただいております。
転職を検討中の美容外科・形成外科の医師の方やアルバイトを探している医師の方は医師転職コンシェルジュへどうぞお気軽にお問い合わせください。

医師転職ご希望の方で医師転職コンシェルジュへ医師登録をご希望の方はこちらから
形成外科・美容外科の医師転職市場についてはこちら