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医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる。

医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる(その2)

今回も医師が転職候補先病院を見る場合に着目すべき点のひとつとして、医療法人の売上高に注目してみたい。
昨今、病院の経営悪化による倒産やM&Aも珍しくなくなっており、転職候補先病院の経営母体(医療法人)がどのくらいの売上規模なのかを見ておく事は、その病院の地域における存在感・プレゼンスや理事長の経営方針のみならず、今後の方向性や特徴、ひいては医師の年俸水準や新規医療機器の設備投資余力などを把握する上でも有益であろう。
医師一人ひとりにとっても、どの診療科に力を入れている病院なのかを見る事は勿論であるが、病院全体、もっと言うと医療法人の全体像をぼんやりとでも掴んでおいて損は無いだろう。
転職を検討している医師の方で、病院の経営状況、売上高に関心のある方には是非参考にして頂きたい。

では、早速、売上高の大きい順番に並べていく。
下記データは東京商工リサーチの調査データに基づき金額は分かりやすいように億円単位に丸めた。
※ [  ]内は2012年の売上高、利益、利益率、主な病院。

1.日本赤十字社 [1兆1,191億円、34億円、0.3%]
2.(独法)国立病院機構 [9,085億円、419億円、4.61%]
3.(社福)恩賜財団済生会 [5,766億円、225億円、3.91%]
4.(医)徳洲会 [1,853億円、95億円、5.12%]
5.(医)沖縄徳洲会 [994億円、81億円、8.11%]
6.(社福)聖隷福祉事業団 [962億円、35億円、3.68%、聖隷浜松病院(静岡県浜松市)]
7.JA長野県厚生連 [884億円、12億円、1.31%]
8.(医)社団 のせ小児科クリニック [827億円、48億円、5.83%、のせ小児科クリニック(神戸市)]
9.JA新潟厚生連 [819億円、▲12億円、▲0.15%]
10.JA北海道厚生連 [817億円、17億円、2.08%]
11.(地独)大阪府立病院機構 [716億円、27億円、3.73%]
12.(医)財団 明理会 [673億円、17億円、2.55%、明理会中央総合病院(東京都北区)=IMSグループ]
13.(医)社団 明芳会 [632億円、27億円、4.35%、板橋中央総合病院(東京都板橋区)=IMSグループ]
14.JA秋田厚生連 [611億円、20億円、3.35%]
15.(財)厚生年金事業振興団 [568億円、30億円、5.27%]
16.(医)社団 愛友会 [470億円、12億円、2.56%、上尾中央総合病院(埼玉県上尾市)=AMGグループ]
17.(地独)神戸市民病院機構 [418億円、23億円、5.39%]
18.(医)鉄薫会 [412億円、1億円、0.26%、亀田総合病院(千葉県鴨川市)]
19.(医)社団 誠馨会 [391億円、▲2億円、▲0.46%、千葉メディカルセンター(千葉市)=セコムグループ]
20.(社)日本海員掖済会 [377億円、25億円、6.64%]
21.(医)社団 協友会 [376億円、3億円、0.91%、東川口病院(埼玉県川口市)=AMGグループ]
22.(地独)静岡県立病院機構 [374億円、19億円、5.12%]
23.JA岐阜厚生連 [350億円、N/A、N/A]
24.(社福)函館厚生院 [346億円、7億円、2.16%、函館中央病院(北海道函館市]
25.(社医)生長会 [338億円、14億円、4.24%、府中病院(大阪府和泉市)]
26.(株)麻生 [334億円、3億円、0.92%、飯塚病院(福岡県飯塚市)]
27.(医)渓仁会 [327億円、8億円、2.55%、手稲渓仁会病院(北海道札幌市)]
28.(公財)がん研究会 [323億円、32億円、9.87%、がん研有明病院(東京都江東区)]
29.(社医)社団 木下会 [323億円、32億円、9.87%、千葉西総合病院(千葉県松戸市)=徳洲会グループ]
30.(医)社団 東光会 [305億円、9億円、2.84%、戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)=TMGグループ]
31.(社医)財団 石心会 [301億円、0.1億円、0.04%、埼玉石心会病院(埼玉県狭山市)]
32.(医)錦秀会 [299億円、4億円、1.25%、阪和記念病院(大阪市住吉区)]
33.(公財)天理よろづ相談所 [297億円、N/A、N/A、天理よろづ相談所病院(奈良県天理市)]
34.(医)豊田会 [288億円、5億円、1.73%、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)]
35.(財)大阪府警察協会 [279億円、12億円、4.18%]
36.(医)社団 洛和会 [268億円、2億円、0.56%、洛和会音羽病院(京都市山科区)]
37.JA神奈川厚生連 [267億円、6億円、2.27%]
38.(社医)雪の聖母会 [264億円、11億円、4.12%、聖マリア病院(福岡県久留米市)]
39.(医)医誠会 [260億円、4億円、1.58%、医誠会病院(大阪市東淀川区)]
40.(医)社団 葵会 [252億円、6億円、2.57%、八本松病院(広島県東広島市)]
41.(財)平成柴川会 [250億円、0.5億円、0.18%、小倉記念病院(福岡県北九州市)]
42.(特医)北九州病院 [249億円、16億円、6.25%]
43.(財)船員保険会 [249億円、10億円、4.19%]
44.(社医)ジャパンメディカルアライアンス [246億円、4億円、1.73%、海老名総合病院(神奈川県海老名市)]
45.(社福)北海道社会事業協会 [244億円、▲9億円、▲3.83%、小樽協会病院(北海道小樽市)]
46.(公財)田附興風会 [242億円、2億円、0.79%、北野病院(大阪市北区)]
47.(社福)京都社会事業財団 [235億円、4億円、1.89%、京都桂病院(京都市西京区)]
48.(医)社団 高邦会 [233億円、10億円、4.21%、高木病院(福岡県大川市)]
49.(医)社団 康心会 [230億円、12億円、5.35%、湘南東部総合病院(神奈川県茅ヶ崎市)]
50.JA福島厚生連 [229億円、22億円、9.80%]

少し長くなったので今日は上位50位までにして、51位以下については次回にみていくことにしよう。

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医師転職を考えるにあたり日本医療機能評価機構の認定病院について見てみる。

医師転職を考えるにあたり日本医療機能評価機構の認定病院について見てみる。

今回は医師が転職候補先病院を見る場合に着目すべき点のひとつとして、「日本医療機能評価機構の認定病院」かどうかという事を見ていこう。 病院機能評価は、その病院が組織全体としての運営管理や提供する医療が適切かどうかを、公益財団法人日本医療機能評価機構が第三者的立場から病院を評価する仕組みである。 医師にとっては自分が働く職場としてその病院が魅力的かどうかという事と必ずしも一致するとは限らないが、この認定が客観的指標として、一定以上の医療水準を持った病院、或いはある程度はしっかりした病院であろうという事のひとつの目安にはなるのではないだろうか。 この認定を受けている病院はたいていホームページでその旨をPRしているので、自分が転職しようと考えている病院についてはこの認定の有無を確認してみると良いだろう。 この認定の有無は公益財団法人日本医療機能評価機構のホームページでも検索する事が可能である。 認定病院の評価結果も見る事ができるので参考にされたい(評価結果については非公開の病院もある)。

https://jcqhc.or.jp/

本日(2015年9月18日)現在、日本全国の全病院数8,485のうち、日本医療機能評価機構の認定病院は2,257施設となっている。全病院数の27%ほどの病院が認定を受けている事になる。 転職候補先の病院がこの認定を受けていない場合は、その理由を率直に質問してみるのも良いかもしれない。認定を受けない明確なポリシーがあるのか、それとも認定を受けられないレベルの病院なのかが分かれば、その病院に転職すべきか否かの判断基準のひとつになるかもしれない。 また、次回も医師が転職を検討する際にプラスになるようなトピックを続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。 医師の転職マーケットについてエリア別でお知りになりたい方は、当ホームページのエリア別医師転職マーケットのページをご覧ください。 医師転職コンシェルジュでは転職を検討する医師の方に対しては、このような様々な公開情報を提供する事は勿論の事、それ以外にも実地で病院のキーマンにヒアリングを行ったりして独自調査した弊社しか知り得ないような情報も提供している。 医師求人募集情報をお探しの医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。ご希望をお聞きした上で、希望が叶う医療機関への転職を全力で応援致します。

医師転職を考えるにあたり自治体病院の現状を見てみる。

医師転職を考えるにあたり自治体病院の現状を見てみる。

今回は医師の転職候補先のひとつ、自治体病院の現状を見ていこうと思う。
直近の公的データ(平成24年11月末)によると、いわゆる自治体病院の数は下記の通りとなっている。

都道府県216病院
市町村672病院
地方独立行政法人73病院
合計961病院となっている。※あくまで病院のみで「公立の診療所」は含んでいない。

全国47都道府県に961の自治体病院、結構な数の自治体病院が存在しているが、
近年は地方独立行政法人化や診療所化、民間移譲(公設民営)等により「純粋な」自治体病院の数は減少傾向にある。

自治体病院は、地域の基幹病院として、がん治療をはじめとした高度な医療、そして小児医療、救急医療等、いわゆる不採算部門と呼ばれている分野、更には山間僻地、離島などの地域医療など、民間病院では採算性の問題から手掛ける事が困難な医療までを担っている。

元々、自治体病院は大学医局との関係が深く、関連病院として医師派遣を大学医局に依存している病院が多い。従って、自治体病院での勤務経験がある医師は当然の事ながら多い。
それら医師のマインド的には医療設備や医療水準、スタッフの質と量、そして福利厚生や待遇、ネームバリューなど、「自治体病院」の環境が彼らにとっては、ひとつのスタンダードであり、民間病院やクリニック、その他の医療機関などと比較する際のひとつのベンチマーク(標準)となっているような印象を受ける。

そして、自治体病院に限らず病院経営の根幹をなすものは医師の確保であるが、近年の医師不足等により、都市部から離れた地方の自治体病院においては、

・大学の医局員減少→地方自治体病院へ派遣していた医局員の引き揚げ
・やむなく自前の医師採用(医師公募)を開始するも、公立病院規定による給与水準の制約などから思うように医師を採用する事ができない

といった状況に置かれている自治体病院は少なくない。
自治体病院の経営状況は、診療報酬のマイナス改定が続いた平成18年には78.9%の自治体病院が経常損失を計上、即ち赤字という状況であったが、現在(2015年)はその頃の最悪の状況からは一歩抜け出した感はあるものの、未だ4割程度の自治体病院が赤字と言われている。
近年の診療報酬改定(僅かながらプラス改定)が大病院に有利な制度となっている事から、特に中小規模の病院においては、医師・看護師をはじめ医療スタッフの人材確保が難しい環境下に置かれている事から引き続き厳しい経営を強いられていると言える。

さて、ここで医師の転職に目を向けると、
都市部の自治体病院(特に大病院)は依然として大学医局の重要な関連病院となっているところが多く、そういった病院では医局員以外の医師がポストを得る事は簡単ではない。

他方、少し都市部から離れた郊外に行くと大学からの医師派遣を期待できない中規模(200~300床規模)程度の自治体病院は全国に数多く存在している。
そういった自治体病院では医師の公募や人材紹介会社を活用した医師採用など前例に囚われない取り組みを積極的に行う施設も増えてきている。
こういった自治体病院では医師転職による入職で居場所(ポストと待遇)と仕事のやりがいを得るチャンスは大いにある。

医師の世界はとても狭く必ずしも希望通りの病院で希望するポストにつけるとは限らないので安易な医師転職はあまりお奨めしないが、一度は民間病院に転じてみたものの、やはり公立病院での勤務の方が良いと感じる医師もいる事と思う。
またその逆の医師もいるだろう。
それぞれの価値観や希望する働き方で自らの働く病院を選べばよいと思う。

以上、簡単に自治体病院の現状を見てきたが、
また、次回も関連する話題を続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。

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医師転職を考えるにあたり国内医療機関の全体像を今一度整理してみる

医師転職を考えるにあたり国内医療機関の全体像を今一度整理してみる

今回は医師が転職を考える際に、転職候補先となる医療機関が日本国内にどれくらい存在するのかについて医師転職マーケットの全体像を俯瞰してみようと思う。
クリニックを含めると膨大な数になるので、今回は病院のみに限定して見ていく事とする。

まずは厚生労働省に届け出されている開設者別にみた施設数から。※2013年データより

日本の病院総数は8,540施設(前年度から25施設減少)。
開設者別内訳は下記の通り。

◎医療法人 5,722施設(病院総数の67.0%)
◎公的医療機関 1,242施設(同14.5%)
◎個人 320施設(3.8%)
◎国 273施設(同3.2%)
◎社会保険関係団体 115施設(同1.3%)
◎その他 868施設(10.2%)

この分類は医師の皆さんはどこかで目にした事があるだろうし、感覚的にもまあそんなものだろうと、強いて挙げれば個人が開設者になっている病院がまだ意外と多い(とはいえ年々減少傾向)という感想くらいで、特に違和感も無く受け入れられる内容だと思うが、改めて医師の転職候補先という視点でこれら数字を眺めてみるとまた違った景色が見えてくるかもしれない。

というのも、この分類の中身である。
上記はあくまで施設の数なので、病床数やその病院のプレゼンスというか存在感、そして地域におけるパワー、症例数などはまた別の話しであり、先ずは大きなものから(国→公的医療機関→社保関係医療機関etc.)ひとつひとつ分解して確認してみよう。

(1)国
①厚生労働省: 国立ハンセン病療養所など
②独立行政法人国立病院機構: 国立病院機構◯◯医療センターなど
③国立大学法人: 国立大学付属病院
④独立行政法人労働者健康福祉機構: ◯◯労災病院など
⑤国立高度専門医療研究センター: 国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、国立循環器病研究センターなど
⑥独立行政法人地域医療機能推進機構: JCHO(ジェイコー)病院
⑦防衛省: 自衛隊病院、防衛医科大学校病院
⑧法務省: 医療刑務所
⑨宮内庁: 宮内庁病院
⑩国立印刷局: 国立印刷局東京病院など

(2)公的医療機関
①都道府県: 都道府県立病院
②市町村: 市区町村立病院
③地方独立行政法人: 公立大学付属病院など
④日赤: 赤十字病院
⑤済生会: 済生会病院
⑥厚生連: JA厚生連病院

(3)社会保険関係団体
①全国社会保険協会連合会: 社会保険病院
②厚生年金事業振興団: 厚生年金病院
③健康保険組合及びその連合会: 大阪中央病院、富士重工業健康保険組合太田記念病院、中日病院、東芝林間病院、ブラザー記念病院、松下記念病院、名鉄病院など
④船員保険会: 船員保険病院
⑤共済組合及びその連合会: 国家公務員共済組合連合会(KKR)病院など
⑦国民健康保険団体連合会: 厚生中央病院、国民健康保険◯◯病院など

(4)公益法人
公益法人:公益社団法人、公益財団法人立病院
具体的には、北野病院、倉敷中央病院、健和会大手町病院、榊原記念病院、天理よろづ相談所病院など

(5)医療法人
医療法人:いわゆる民間病院、最も病院数が多い。

(6)私立学校法人
学校法人:私立大学付属病院

(7)社会福祉法人
社会福祉法人:聖隷◯◯病院、江戸川病院、函館中央病院、三井記念病院など

(8)医療生協
医療生協: 医療生協病院

(9)企業
企業: 企業立病院
具体的には、飯塚病院、いすゞ病院、NTT◯◯病院、◯◯逓信病院、大阪鉄道病院、◯◯電力病院、キッコーマン総合病院、JR◯◯病院、東急病院、東芝病院、トヨタ記念病院、名古屋セントラル病院、日立総合病院、ひたちなか総合病院、不二越病院、マツダ病院、三菱◯◯病院など(※企業立病院が経営を企業・健康保険組合から他に移管したり医療法人化するケースもある。)

(10)その他の法人
その他の法人:一般社団法人、一般財団法人、宗教法人立病院など
具体的には、会津中央病院、◯◯医師会病院、◯◯掖済会病院、大阪警察病院、太田西ノ内病院、大原綜合病院、岡山旭東病院、倉敷成人病センター、けいゆう病院、甲南加古川病院、神戸アドベンチスト病院、東京衛生病院、アドベンチストメディカルセンター、神山復生病院、至誠会◯◯病院、十全美容整形、住友病院、製鉄記念◯◯病院、聖隷沼津病院、聖隷富士病院、総合南東北病院、竹田綜合病院、筑波学園病院、東京警察病院、東京武蔵野病院、日鋼記念病院、博慈会記念総合病院、淀川キリスト教病院、立正佼成会附属佼成病院など。
なお、2008年から認定が始まった「社会医療法人」は一般社団法人に分類される為、このカテゴリー(その他の法人)に含まれると思われる。
赤字体質が慢性化している自治体病院に代わって、基準を満たした(有力)民間医療法人に地域医療の主役を担ってもらうべく「公益性」を持たせ救急医療などで貢献してもらう分、税メリットを与えるというのが社会医療法人である。

(11)個人
個人:どこかの医療法人経営者が個人名義で開設しているケースなどがあるが、転職を考える医師の方にとっては、実質的には医療法人◯◯会のグループ病院という捉え方で良いと思う。

以上が開設者別にみた病院の分類である。

病院の持ち場で日々医療を行う医師の皆さんにとっては医療の中身や業務の内容、或いは給与や待遇、やりがい、人間関係が円滑である事などが重要なのであって、病院の開設者が誰であろうと別に関係ないよという声が聞こえてきそうだが、病院といえども経営が成り立たないと廃院になったり、病棟の老朽化が進んでも資金難で新築立替も出来ず、やむなくどこか別の病院と統合して新病院として集約化、効率化を図ったり、買収・営業譲渡などにより経営体制が一新されたりといった事例が最近では珍しくない事から、あながち他人事では無いという点はご理解いただけると思う。

また、医師の皆さんが働きたいと思うような著名な病院や症例が多く集まる病院は、日本全国どこへ行っても概ねどこかの大学の関連病院となっているのが実態である。
つまり、それら有力病院には大学から医局派遣で来ている若手、中堅、ベテランの医師が多数揃っており、外部からの入職はなかなかに難しいという訳である。
どんな仕事でもやりますという先生であれば、転職先の病院はいくらでも存在するだろうが、こだわるポイントが増えれば増える程、希望通りの転職候補先病院はかなり限られてくるという事は頭に置いておく必要があるだろう。

また、次回もこの話題を続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。
本サイトの地域別の医師転職市場もご参考にして頂き、転職先候補の医療機関を探す材料にして頂きたい。

転職をご検討中の医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。

女性医師に対する医療機関からの求人ニーズについて考察

女性医師に対する医療機関からの求人ニーズについて考察

今回のコラムでは女性医師を求める医療機関の求人ニーズについて少し見ていきたい。
医師求人募集の現場では「女性医師限定募集」や「女性医師歓迎」といった表現が使われる事が珍しくないが、男女雇用機会均等法等によりこれら表現を使う場合にはケースバイケースで法令に抵触しないように注意し検証する必要がある。

医療機関から女性医師に対する求人が寄せられる事は少なくない。診療の現場で患者(或いは受診者)が女性医師に診てもらう事を希望する場合が現に存在するからである。

例えば婦人科検診や乳がん検診の乳房視触診、健診センターや人間ドックなどで女性受診者が多数を占めるような施設、更には皮膚科の美容皮膚分野などなど・・・。
主に健康診断や検診といった「未病の段階」で施設を訪れる受診者の多くは患者ではなく、施設側から見ると「お客様」といった感覚であり、そのお客様は病気で来院している訳ではない場合が多い。
従って、そのお客様が口に出さずとも『できれば同姓の医師(女性医師)に診てもらいたい』と思っているならば、その顧客ニーズ(潜在ニーズ)に応えないと、受診者(お客様)は黙ってその医療機関から立ち去り、近くにある別の医療機関(健診センター)へと行ってしまう。そして二度と戻って来る事はないかもしれない。
お客様が減ってしまうと(売上が減少してしまうと)医療機関としては経営上の死活問題となり、そこから自然発生してくるのが女性医師限定といった医師求人ニーズなのである。
逆に泌尿器科の場合などでは、男性医師が強く求められる事がある。

一方、病気で来院している患者さんの場合は、診てもらう医師を性別で選ぶ事は少なく、寧ろその先生の「腕」や「専門医資格」、「評判」などを頼りに来院するのが一般的だろうから、上述したような診療科(婦人科、産科、乳腺外科、皮膚科、健診・人間ドック)でも勿論、多くの男性医師が臨床(外来、手術などの)現場で活躍しているのは言うまでも無い。

さて、この女性医師限定募集、女性医師歓迎といった医師求人募集案件であるが、
女性医師が年々増加傾向にあるとは言うものの、診療科によってはなかなか女性医師の採用が簡単ではないケースがある。

例えば首都圏のとある健診センターでの女性医師募集。
常勤医師(週4日、週32時間~OK)を求めているのであるが、この医師募集案件では内視鏡スキルが必須条件となっている。

日本医学会分科会によると女性医師会員の割合は年々増加しているとは云え、未だ16%程度 、外科系学会に至っては8%に満たない。少し古いデータになるが2010年入会の医師数の内訳は、全体で女性医師が25.9%に増加、外科系学会でも増加傾向にあり女性医師比率は16.1%となっているが、やはり全体で見るとまだまだ女性医師の絶対数は少なく、上記案件で言うと、内視鏡ができる医師となると主に消化器内科か消化器外科を専門とする医師が中心となる為、皮膚科や眼科といった比較的女性医師が多い科目の医師募集案件と比べると、医療機関が求める条件にマッチする(この場合は内視鏡スキルを持った女性医師で且つ通勤可能圏内に住んでいる)医師はかなり限定的となってしまう事が推測される。

しかし、女性医師は男性医師よりもライフステージによっては医師としての働き方を大きく変えざるを得ない局面を迎える事も多いと考えられる為、これまで大病院でキャリアを蓄積してきたけれども妊娠、出産を機に今の病院を休職、或いは退職して、さあ復職というケースや健診センターで少しペースを落として働こうかという事もあるかもしれない。

そんな女性医師の先生方には女性医師を求める健診センターなどでの勤務も一度選択肢のひとつとしてご検討いただければと思う。
上述したように、内視鏡検査のスキルに自信のある先生を求めている施設があり、こういった施設はいつでも常勤医を募集している訳ではなく、しかも週4日~で常勤OKという条件での募集は、ある種、希少とも言え、1名限定募集の為、充足次第、募集終了となってしまうので少しでも関心のある先生には是非ともこのタイミングを逸する事無く、お問い合わせをいただければ幸いです。更に詳しい情報をお知らせ致します。