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イギリスのEU離脱から思う事

イギリスのEU離脱

2016年6月24日、世界経済が大荒れの一日となった。震源地はイギリスである。国民投票によりイギリスがEUから離脱する事が決定した歴史的な一日となった。EUへの残留を予想する声が大勢だった事もあり、遠く10,000km近くも離れた日本にも瞬く間に激震が走り、驚きと共に今後の不透明感から株価は急落、為替も日本円が急騰、各通貨に対して急激な円高(対米ドルが一時99円台)となった。一日で7円を超える変動幅は過去最大との事。 私はこの医師転職コンシェルジュを運営する今の会社を起業するまで総合商社で貿易(輸出・輸入業務)に携わっていた。当時、オフィスの壁面には刻々と変動する為替ボードがあり、毎朝財務部から社内放送で流される「本日○時発表、○○銀行、対顧客米ドル為替レートTTSは・・・、TTBは・・・」といった社内アナウンスと共に一日がスタートする日々を送っていた為、今でも為替レートの変動や株式相場をwatchする習性が染みついており、この国民投票の結果にも注目していた。当時であれば為替予約のタイミングなどに神経を使いヒヤヒヤしていた事だろう。

今回のイギリスの国民投票結果から見えてくる事

さて、このイギリス、漢字では英国とも略称されるが、その正式名称は「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」。 クイズで出題される事などもあるが、医師の方は受験時に覚えた人も多いかもしれない。正式名称が示す通り4つの国(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)から構成される連合王国(United Kingdom)であり、現在の国家元首はエリザベス女王である。元々別々の国だったものがイングランド王国によるウェールズの併合(1543年)、イングランド王国とスコットランド王国の連合条約(1707年)によりグレートブリテン王国成立(グレートブリテン島が統一)、更に西隣のアイルランド島(アイルランド王国)を併合(1801年)するなど紆余曲折を経て連合王国となり、1922年にアイルランドの6分の5がイギリスから分離独立し、現在の形になってから約100年。 その間に第二次世界大戦などの反省から1973年にEC(欧州諸共同体European Community)、そして1993年に今回離脱を決めたEU(欧州連合European Union)が創設されイギリスも主要国のひとつとしてヨーロッパ大陸側の諸国との経済連携(関税撤廃や自由な往来など)を進めてきた。 経済格差や民族・文化・宗教などの違いを乗り越え、微妙なバランスの上にEUは成り立っている訳だが、アラブの春に端を発した中東・北アフリカ諸国の政情不安や内戦などの影響でシリアや地中海を隔てたアフリカ諸国などから多くの難民・移民が欧州各国に流入しており、イギリスにも職を求める移民が欧州各地から海を越えて渡ってきた結果、地元民との様々な摩擦が顕在化していたようである。EU加盟国間では労働者の移動の自由があるらしく、その流れを止める為にはEUから離脱する必要がある、或いは真の独立国家の姿を取り戻したいという国民が過半数を超えたというのが今回のイギリスの国民投票結果から見えてくる一面であろう。 元々イギリスは通貨統合(ユーロEURO)には参加せず、自国通貨のポンドを現在も使用し続けているが、そのポンドもドル、円など主要通貨に対して今回の動向を受け大暴落している。

一定の存在感を保ち続けているスイスの自国通貨スイスフラン

そして、今回改めて欧州の地図を眺めていて感じたのが、小国ながら燦然と存在感を放っているスイスという国である。EUにも参加せず通貨も自国通貨スイスフランが一定の存在感を保ち続けており、かといって孤立している訳でもなく、我が道をゆくという印象を受ける。 欧州のど真ん中に位置し常に他国からの侵略の脅威にさらされてきたこの永世中立国の外交姿勢には興味をそそられる。また機会があれば見てみたい。

繰り返される離合集散の歴史

イギリスに話を戻そう。2年前にはスコットランドでイギリスからの独立の是非を問う住民投票が行われた。その時は残留派が過半数を占めイギリスからの独立は一旦見送られたが、今回のEU離脱を受け、スコットランドではイギリスからの分離独立を求める声が再燃するとも言われており、また、北アイルランドもイギリスから独立してアイルランドへ合流する動きがでてくるかもしれないとの見方もある。元々北アイルランドは1920年にアイルランドがイギリスの支配から独立した際に結局、アイルランドではなくイギリスを選び連合王国(UK)の一部として留まった歴史があり、宗教(プロテスタントとカトリックの争い)や主義主張の違いから過激な武力闘争やテロも繰り広げられた地域であり世界地図で見ると小さな地域だが、そこにも180万人もの人々が暮らしている現実があり利害が交錯しているのだ。地名や国名だけ眺めていたのでは見えてこない人間模様がそこにはあるのだろう。 私の世代が地理で習った国名の幾つかは最早存在しない。例えば、ソ連やユーゴスラビア。社会主義政権の崩壊や武力衝突など大混乱を経て分離独立した国々(結果、様々な問題を今なお抱えている)。旧ユーゴスラビアは現在クロアチア、スロベニア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロの6つの国に分かれた他、今なおセルビア内部の自治州(コソボなど)では独立を求めての火種が燻っている。NATO軍も参加したコソボ紛争は記憶に新しいところ。旧ユーゴ時代の1983年にはサラエボ(現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都)で冬季オリンピックが開催されたのを記憶している医師の方も多いだろう。その僅か8年後にこのユーゴスラビアという国は悲惨な内戦に突入して国が6つに分裂してしまった訳である。 これとは対照的にチェコスロバキアは平和的に連邦制を解消し(ピロード離婚と呼ばれている)、現在はチェコ共和国とスロバキア共和国が以前よりも良好な関係で両国ともにEUメンバーに名を連ねている。 歴史を見ると離合集散の繰り返しだ。さて、イギリスはこれからどんな道を歩むのだろう。

イギリスのEU離脱による、医師への影響

医師の仕事や医師の転職とイギリスとは殆ど直接的には何の関係も無いが、留学や臨床で今まさにイギリスにいらっしゃる医師の方々や将来的にイギリスを候補先の一つとして検討していた医師の方もいらっしゃるだろう。 また、間接的には世界経済、そして日本経済に多大な影響を及ぼす出来事であり、今後の日本政府の経済政策や医療行政にも当然影響が及ぶのは避けられない。 ひいては医師の年収や給与(アップ?ダウン?)傾向、医師の資産形成(資産の一部を外貨で保有している医師も少なくないだろう)にも関わる問題なのである。

日本の政治経済の現状とこれからへの不安

日本は今のところ比較的平和で、民族、宗教、文化など多様な価値観を寛容に受け容れる土壌があると思うが、段々と日本も余裕が無くなり人に対する優しさを失いつつある。 財政再建待った無しの状態がかれこれもう20年以上も前から言われて続けているのに、この期に及んでも無責任で良心の呵責を感じない嘘つき権威者や既得権益者たちが私利私欲の為にやりたい放題やっている。胡散臭い輩は大衆を欺く事だけにかけては天下一品だ。もうすぐ参院選や都知事選で例によって(選挙の時だけ)一生懸命大衆にペコペコと頭を下げ、当選した途端、ふんぞり返って自分が偉くなったと大いなる勘違いをする人たちが駅前や街頭に大量出現する。そして、お祭りムードに水を差して申し訳ないが2020年に東京でオリンピックなんてやる余裕が本当にこの国にあるのだろうか。そして無理をしてオリンピックを開催したその後、その祭りのツケは一体誰がどう払うのだろうか。ちなみに日本が戦後初めて赤字国債を発行したのは前回の東京オリンピックの翌年1965年の事である。オリンピックの反動不況を乗り切るという目的で「臨時的・例外的に」発行されたものである。一旦タガが外れると(悪しき前例ができると)歯止めが利かない。財務省が公表している2015年末の日本国の借金は1,045兆円程(一千兆円超えですよ)で毎年どんどん膨れ上がっている。アテネ五輪の後のギリシャ、ロンドン五輪の後の今回のイギリス、そしてリオデジャネイロ五輪を控える問題山積のブラジル。日本も同じような道を歩むのだろうか。 今日は少し暗い話題と愚痴めいた内容のコラムとなったが、良識ある医師の方々にはそれぞれ考えるところがあれば幸いである。 海外勤務にご興味がある医師の方は(現在あまり海外の医師求人は多くありませんが・・・)、本サイトの医師登録からご登録下さい。 ご希望に合わせた海外転職先のご紹介をさせていただきます。

海外医師求人募集についてはコチラ

シンガポールから日本人医師急募案件【海外医師求人募集案件】

シンガポールから日本人医師急募案件

昨今、海外で医師として働きたい(報酬を得ながら)という人が増えており、それに合わせて医師転職コンシェルジュにも海外の医師求人募集情報の問い合わせが増えてきている。
そんな中、日本人医師に人気が高いシンガポール(Singapore)の日系クリニックから日本人医師が一名退職した為、後任の日本人医師を“大至急”募集したいというご相談が舞い込んできた。

今回のシンガポール(Singapore)での日本人医師求人・募集の概要について

[求人元] ニチイインターナショナルクリニック

シンガポールにあるニチイインターナショナルクリニックにて、
語学(英語力)を活かして就業されたい医師を募集しています。

ニチイインターナショナルクリニックでは、総合診療(General Practice)を提供しており、
幼児から高齢者、急性疾患から慢性疾患まで、精神的、身体的な問題など患者様のあらゆる問題に対応します。

また、患者様と継続的なパートナーシップを築き、家族および地域という枠組みの中で責任を持って継続的に診察し、専門的な診療が必要な場合には専門医を紹介・連携して診療を行っています。

■募集職種
医師(日本人医師)

■募集科目
総合診療科(内科、外科、小児科、婦人科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、精神科等)

■応募資格
・専門資格を有し、シンガポールメディカルカウンシルの承認する8大学医学部
(東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学、名古屋大学、九州大学、慶応義塾大学、東京女子医科大学)の卒業者(医師)
・日常レベル、ビジネスレベルでの英語力を有している医師、または英語での診療が可能な医師
・実務経験年数が、3年以上の医師

■就業内容
(1)勤務地 : シンガポール オーチャードロード (Singapore Orchard Road)
(2)勤務時間 : 月~金 8:30~18:00、土 8:30~12:30
(3)休日 : 土曜午後、日曜、祝日
(4)給与 : $15,000/月~(シンガポールドル) ※能力と経験により応相談
(5)福利厚生 :
・年次有給休暇は14日
・医療費:薬代も含め、自院にて1,000ドル/年まで会社負担
・歯科:180ドル/年まで会社負担
・医療保険(入院、外来※)※外来腎臓透析、外来がん治療、不慮の事故等のみ
(6)求めるドクター像
・国際コミュニケーションスキルを有する医師
・院内体制、臨床診療、医療保険、及び患者の文化理解等に積極的に取り組む医師

上記の応募資格に該当する医師の方でこのシンガポールの医師求人に興味がある方は医師転職コンシェルジュまでお問い合わせください。

海外で働きたい医師の方へ。海外医師求人募集のお知らせ(モンゴル)

海外で働きたい医師の方へ。海外医師求人募集のお知らせ(モンゴル)

今回は海外の医師求人募集情報についてご案内したい。
以前のコラムでドバイ(Dubai)の日本人医師求人募集情報をご案内したが、数日のうちに数人の医師からお問い合わせをいただいた。現在ドバイの医師求人募集案件については求人元と医師の間で来春からのドバイでの勤務開始に向け調整が進んでいる。

その際にその先生方からお聞きした声としては、「海外で働きたいと思っている医師は案外多い」という事である。
しかし、その一方で、「実際には海外の医師求人募集の情報も案件自体も少ない」、「ドバイで日本人医師が働けるとは思ってもみなかった」といったものである。

実際、日本人医師にも海外勤務先として人気が高いシンガポールなどは日本の医師免許が通用する数少ない国のひとつであるが、現在シンガポールは日本人医師の総数規制を行っており日本人医師数は30名までに制限されている。なかなかポストの空きが出ない為、海外勤務を希望しても数年待ちでチャンスを窺うより他無いというのがシンガポールの日本人医師に対する求人募集の実情である。

そして、今回入ってきた日本人医師に対する海外医師求人募集案件であるが、今回は珍しい国からのものである。
その珍しい国とはモンゴルである。正式名称はモンゴル国。
東と南を中国・内モンゴル自治区と、西を中国・新疆ウイグル自治区と、北をロシア連邦とそれぞれ接する内陸国である。
首都のウランバートル(人口約122万人)にモンゴル全体の半分くらいの人口が集中している遊牧民族の国というイメージが強い。
ここ最近では、モンゴルといえば大相撲をイメージする人が多いだろう。
朝青龍、白鳳、日馬富士、鶴竜など横綱を多く輩出し、現在の大相撲の番付上位は殆どがモンゴル出身力士といって差し支えない状況である。現にモンゴル出身の力士がここ数年の大相撲の優勝をほぼ独占する状態が続いており、モンゴル出身力士が大相撲界を席巻している。

モンゴルの言語はモンゴル語が公用語でモンゴル国民の95%程度がこの言語を話す。学校教育の場ではモンゴル語に加えカザフ語も使われているようである。

民族はモンゴル系が多数を占めており、大相撲の力士を見ても分かる通り日本人とも顔や体格がよく似ている。主な宗教はチベット仏教で歴史的にチベットとの関わりが深い。
モンゴル系以外ではモンゴルの西部へ行くとカザフ民族など少数のイスラム系民族が、北部にはロシア正教の影響を受ける少数民族が居住している。

モンゴルと日本との関係は大相撲による交流が盛んな事もあり、現在、非常に良好と言える状態にある。
友好関係のひとつの要因として、日本からモンゴルに対しては多額のODAが供与されている。
ある調査によると「日本に親しみを感じる」と回答したモンゴル国民の割合は7割を超えており、「最も親しくすべき国」では日本が堂々の第一位となっている。

今回のモンゴルでの日本人医師求人募集については、詳しい情報が入り次第、また次回以降のコラムでご紹介していきたい。
モンゴルでの医療活動、医師としてのモンゴルでの勤務に興味がある医師の方はまずは気軽にお問い合わせをいただきたい。

また、今回のモンゴルに限らず海外勤務にご興味がある医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。
海外からの医師求人募集案件が入った際にはご登録いただいている先生方には優先的にご案内させていただきます。

医師求人募集情報をお探しの医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。ご希望をお聞きした上で、希望が叶う医療機関への転職を全力で応援致します。

医師転職コンシェルジュを通じてご自身のご希望を叶えられた医師の方の事例も多数ご紹介しております。

直近で転職をご支援できました、転職成功事例も何個か追加しておりますので、医師の方が転職に至るまでの経緯や、転職理由などもご覧頂き、同じような悩みを抱えていらっしゃれば、お問合せだけでも良いので気軽にご連絡下さい。
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次はあなたの転職成功を支援させて頂ければ幸いです。

ドバイで働きたいという医師はいますか?(その4)

ドバイで働きたいという医師はいますか?

今回も引き続きドバイの話題である。 現地の方のお話しや弊社調べによるとドバイを含むUAE(アラブ首長国連邦)では日本の医師免許をベースに現地ライセンスを取得する事が可能なようである。 「日本の医師免許+種々の申請手続き」で現地ライセンスを取得できる(※日本の医師免許がそのまま通用する訳ではない)海外の国や地域はあまり多くはないが、UAEはその数少ない国のひとつのようである。 種々の申請手続きというのは、海外で医師として働くにあたっては、やはり現地の医師免許というか現地のライセンスが必要となる為、その申請に様々な書類提出を求められ、英語での口頭試問(job interview)や労働ビザの取得、そして健康診断(medical examination)など現地での様々な手続きが必要で相当の時間と労力が要求される。そこはやはり海外。日本を出て海外で医師としての職を得る、異国の地で働くという事はそんなに簡単な事では無い訳だが、これらをすごく大変と見るか、現地医学部に入りなおす必要が無い分、「大変だけれども海外で医師として働くチャンスがある」という事でチャレンジする価値ありと見るかは人それぞれだろう。いずれにしても現地の医師免許申請手続きからビザ取得までをしっかりサポートしてくれる求人元の確保が先決ではあるが。
ちなみにドバイには現在下記2種類の医師のライセンスがある由。

・DHA(Dubai Health Authority)が発行するライセンス=ドバイ首長国どこでも通用
https://www.dha.gov.ae

・DHCC(Dubai Healthcare City)が発行するライセンス=ドバイにある医療特区DHCCで通用 https://www.dhcc.ae/

日本の医師免許をベースに現地ライセンスの取得が可能な国、地域としては、UAEの他、中国(上海など)やシンガポール、タイ、ベトナムなどが該当すると認識しているが、制度が変更になっている可能性もあるので別の機会にそれら各国の情勢も調べてみたい。 そして、肝腎の在UAEの日本人医師についてであるが、2015年8月現在、ドバイには日本の医師免許を保有し、医師として働く日本人ドクターがいらっしゃるようである。 Dr.Junko Fukudaという先生でご専門は内科。 内科、総合診療、メタボリックシンドローム、旅行医学・渡航医学(Travel Medicine)、ワクチン接種(Vaccination)などをカバーしておられ、ドバイの日本人患者が日本語で安心して診察を受ける事ができる環境のようである。 福田先生は日本と英国で学んだ後、医師としては東京でのご勤務を経て、フランス(パリ)、中国(上海)などでもご勤務経験があり、日本語、英語、フランス語、中国語を駆使されるといった内容がホームページにお名前、写真などと共に詳しく掲載されている(URLは下記)。

https://www.brms.ae/doctors_list/dr-junko-fukuda/#bio

この先生がご活躍中のBR Medical Suitesというは、NMC HealthcareというUAEの大きな私立病院グループに属し、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、オーストリア、カナダ、スイス、ギリシャ、そして日本など世界各国、様々な国で医師免許を取得した専門分野も国籍も多岐にわたる医師たちが正に人種の坩堝のように集まっている施設で、総勢30名以上の医師(歯科医師も含む)が所属しているようである。 科目としては、内科、外科、耳鼻咽喉科、皮膚科、整形外科、産婦人科、内分泌科、精神科、形成外科、泌尿器科、血管外科、歯科などの診察や手術を行っている。 この施設は上述した医療特区のヘルスケアシティー(DHCC)内にあり、福田先生の他に受付にも日本人スタッフがいるそうで日本語OKの環境となっている。 なお、ドバイには住所という概念が無いらしい。「Healthcare City」という固有名詞で、ある程度エリアが絞られ、その中のBlock B(Bブロック)、そしてビル名でようやく場所が特定できるという具合。元々この辺りの人々は遊牧民だったからという事が理由(本当に?)らしいが、それで問題が無いというのも日本と違って面白い。 BR Medical Suitesへは、メトロのHealthcare駅から徒歩10分ほど、或いはタクシーで「to Healthcare City, Building 64」などと伝えてビルの前まで着けてもらうのが良いようだ。ドライバーが知っていればだが病院名を告げた方が早いかもしれない。 同院のHPには「Click here for driving directions」という箇所があり、ここをクリックするとGoogle Mapが場所を指し示してくれるのでそれをドライバーに見せれば安心だろう。 外務省のHPによると、ドバイでは他にも下記7つの医療機関が紹介されている。 ・American Hospital(アメリカン・ホスピタル) 日本人の利用頻度が多い私立病院。救急は24時間受付可。小児救急可。

https://www.ahdubai.com/main/index.aspx

・Sakura Medical and Dental Clinic(サクラ・メディカル・アンド・デンタル・クリニック) 日本の歯科医師免許を有する日本人歯科医が勤務しており日本語対応可。 日本語のFacebookページあり。 上述のBR Medical Suites(BRメディカルスイーツ)と同じビル内にある。 ・Fetal Medicine and Genetic Center(フィータル・メディスン・アンド・ジェネティック・センター) 産婦人科専門クリニック。EUの医師免許を有する日本人産婦人科医が勤務(と外務省HPには記載があるが本日現在同院のHPでその日本人産婦人科医は確認できなかった)。

https://www.fetalmedicine.ae/our-team/

・Rashid Hospital(ラシッド・ホスピタル) ドバイ首長国立総合病院。外傷センターがあり救急医療に注力、24時間診療可、小児の診療も可能。

https://www.dha.gov.ae/En/Pages/default.aspx

・Mediclinic City Hospital(メディクリニック・シティ・ホスピタル) 日本人も比較的よく利用する私立総合病院。24時間救急受付、小児救急可。

https://www.mediclinic.ae/CityHospital/PageContent.aspx?pageid=131&groupid=1

・Mediclinic Welcare Hospital(ウェルケア・ホスピタル) 比較的各診療科のバランスが取れた私立総合病院。24時間救急受付、小児の診療も可能。

https://www.mediclinic.ae/WelcareHospital/PageContent.aspx?pageid=447&groupid=1

・Versailles Dental Clinic(ヴェルサイユ・デンタル・クリニック) 受付に日本人がいる歯科。ある程度日本語対応可能。

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以上、外務省のHPから引用させていただいたが、日本の医師免許を持つ在ドバイの日本人医師は本日現在、BR Medical Suitesの福田先生ただ一人のようである。

ドバイの日本人医師(歯科は除く)は福田医師ただ一人と先に記載したが、実は形成外科の日本人医師がもう5年以上も前にDubai全域で通用する医師免許を取得され、出張ベースで定期的に(年に4回程)Dubaiへ赴き、形成外科手術を行っておられるという情報をこの先生ご自身からのご連絡で教えていただいたので、ここに訂正して追記させていただく。現地ライセンスの取得手続きは多くの書類提出と現地医師との英語での口頭試問など決して簡単な手続きでは無かったとのコメントもいただいたので合わせてここに記載させていただく。
※2016年8月16日追記

前回のコラムで紹介したがドバイには3,000人程の在留邦人がいる為、潜在的には日本人医師に対するニーズは強いと思われる。 日本の医師配置の数字と単純比較は出来ないが、日本の人口10万対医師数(2013年)は237.8人なので、医師一人あたりがカバーする人の数は420人程である。 少々乱暴な仮説ではあるが、在ドバイの日本人患者のみ(そして日本人患者全員)を診ると仮定すると、現在のドバイでは在留邦人3,000人に対して日本人医師は一人だけという状況のようで日本人医師に対するニーズ、或いは日本人医師がドバイにおいて活躍できるフィールドは存外広がっているのかもしれない。 上述の数字から考えると日本人医師は7名程いれば日本と同程度の水準となる為、あと数年もすればドバイで働く日本人医師も増え、その時には日本人医師に対するニーズは急速に萎んでいく事も考えられる。 なお、ドバイの休日は金曜、土曜(イスラム教国の多くは木曜、金曜が休日)で、日曜は平日なのでその辺りも日本とは違うという事を頭に入れておきたい。 いずれにしても百聞は一見に如かず。チャンスがあれば一度現地を見てみるのも悪くないかもしれない。私の出身会社である総合商社もドバイにオフィスを構えており、右も左も分からない異国の地で困った事があった際など、いざとなれば駆け込む先があるというのは心強い。 ドバイでの海外勤務にご興味がある医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。 海外医師求人募集についてはコチラ

ドバイで働きたいという医師はいますか?(その3)

ドバイで働きたいという医師はいますか?

前回前々回に続きドバイの話題を続けよう。ドバイで医師転職を考えていて医師求人募集情報を探そうと考えている医師の方はドバイの生活や文化について参考にして頂きたい。 ドバイの殆どの病院では英語での会話が可能との事でアラビア語は必ずしも必要な訳では無いようである。今回の日本人医師求人募集案件は恐らく日本人患者を主な対象としたクリニックなので英語を使う場面も殆ど無く、日本語で通常業務はこなせると思われる。 ドバイのクリニックに来る日本人患者というのは現地在住の日本人、日本人駐在員やその家族、出張や観光などでドバイに来ている日本人といった層である。 外務省のホームページに医療に関するアラビア語が少し紹介されているので、ここに再掲させていただく(無理やりカタカナ表記しているので発音はあくまで参考程度にとの事。) 現地語も少し知っているだけでいざという時に何かの役に立つかもしれない。 医師:タビーブ、薬:ドワ、注射:オブラ、下痢:イスハール、発熱:ハラーラ、嘔気:樽ジーア、嘔吐:ゾゥワ、傷:ジュルハン、頭が痛い:ラーシィ・ヤウールニ、腹が痛い: ボトニ・ヤウールニ、具合が悪い:アナ・ターバーン(男性の場合)アナ・ターバーナ(女性の場合)、病院へ連れて行ってほしい:ワッドニ・イラ・ムスタシュファ 在アラブ首長国連邦日本国大使館ホームページ

https://www.uae.emb-japan.go.jp/index_j.htm

なお、在アラブ首長国連邦(UAE)日本国大使館はドバイでは無くアブダビ(Abu Dhabi)にあり、ドバイには日本国総領事館が置かれている。 アブダビはドバイと同じようにUAEを構成する7首長国のひとつで連邦(アラブ首長国連邦)の首都でもある。大使館は通常、その国の首都に置かれ、領事館は首都以外の主要都市で在留邦人の保護や外交事務、情報収集、国際交流などを行っている。 連邦制は日本にいると少しイメージしにくいが、アメリカを例に考えると解りやすいかもしれない。アメリカ合衆国も連邦制の国で、それぞれの州が州独自の法律(州法)に基づきかなり強い独立性を持っており、日本の都道府県のような地方公共団体とはその成り立ちも趣も異なるものである。アメリカの南北戦争(1861年~1865年)は奴隷制を維持したい南部の11州がアメリカ合衆国という連邦政府からの独立を目指して(アメリカ連合国を名乗り)北部の23州と争った内戦(The Civil War)である。映画「風と共に去りぬ」でお馴染みだろう。 ちなみに南北戦争と同じ頃、日本は幕末の動乱期で長州や薩摩などの雄藩や坂本龍馬などの脱藩志士たちが倒幕に動いていた時期である。 少々話しが逸れたが、このようにアメリカもUAEも外交的には連邦国家として一つの国を形成しているのである。 まあ、一般的にはドバイはUAEを代表する国際都市であるが、UAEの首都はアブダビであり、日本国大使館はそこに置かれているというくらいの認識でいれば大きな間違いは無いと思う。 ドバイとアブダビの2都市はニューヨークとワシントンDC(アメリカ合衆国の首都)の関係にやや近いだろうか。 なお、UAEの医療を司る保健省(日本の厚生労働省のようなもの)の下には保健庁があり、これはアブダビとドバイの2箇所に設置されている。 ドバイの在留邦人(日本人)は3,000人程度、UAE全体では3,459人(2013年10月時点)の日本人が在留していると言われており、日本人の多くはドバイにおり、それ以外は殆どが首都アブダビにいるものと思われる。この数字からもドバイがUAEにおいては一般の日本人に最も馴染み深い街という事が言えよう。結構な数の日本人がドバイにいるのだなあと思うと共に、これだけの日本人がいれば当然日本人医師に対する需要、医師求人募集のニーズが出てくるのも納得である。 現地では日本の事は“ヤバーン”、日本人は”ヤバーニー”というらしい。ジャパーン、ジャパーニーズの現地訛りだろうか。一般的にはドバイの人々はとても親日的と言われている。 Japan QualityのMade in Japan製品(車や家電製品)、日本人の勤勉さ、礼儀正しさなどが高く評価されているのだろう。日本が戦後復興を経て先進国の仲間入りを果たし発展する過程で、他の欧米諸国とは一線を画した立ち位置から外交官やビジネスマンなど多くの先人達がこのUAEという国や現地の人々と誠実に付き合ってきたお蔭で今の日本に対する好意的なイメージが出来上がっているという事に我々は感謝しなければならないだろう。 ヤバーン、ヤバーニーの一言でこちらが日本人と分かれば、強面のドバイ人が一気に笑顔で迎えてくれるという事が本当にあるらしい。 さて、UAEの輸出相手国のトップは日本である。日本がUAEから輸入している主な品目は石油、液化天然ガス(LNG)、アルミニウムなどで、東日本大震災後の原発停止に伴い依存度が上がっている火力発電のエネルギー源はこのUAEからも輸入されているのである。 一方、輸入相手国を見てみると上位はインド、中国、米国、ドイツとなっており日本はこれらの国の後塵を拝している。 例えば車であれば、やはりドイツのプレミアムブランド(メルセデス、BMW、ポルシェ、アウディなど)が現地富裕層のシェアをがっちり握っており、それを日本のレクサスなどが後発ながら追いかけるといった感じであろうか。しかし、ドバイといっても金持ちばかりという訳ではなく前々回のコラムでも紹介したが、日本の中古バイクや中古ママチャリ(自転車)が庶民の足として大活躍しているという一面もあるというのが面白い。 長くなったので今日はこの辺りにして続きはまた次回以降にしたいと思う。 ドバイでの海外勤務にご興味がある医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。 海外医師求人募集についてはコチラ