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病院のM&A、売却について

病院のM&A、売却について

埼玉県にある下記2つの病院が経営不振により他の医療法人に売却される事になった。
・久喜総合病院
・熊谷総合病院
いずれもJA埼玉県厚生連(埼玉県厚生農業協同組合連合会)の病院であるが、この程、久喜総合病院は一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)に、そして熊谷総合病院は社会医療法人北斗(北海道帯広市)が経営を支援し埼玉県に新設する医療法人に、それぞれ譲渡する事で基本契約を締結したようだ。

病院売却の背景について

病院売却に至った背景は、「経営難」や「慢性的な医師不足」との事で、休業はせず病院機能もそのまま新法人へ引き継がれる模様。

特に久喜総合病院は今から僅か5年前の平成23年(2011年)春に新築移転して開院したばかりの病院である。元々は昭和9年に組合病院として設立された幸手総合病院が老朽化した為、同一医療圏内で移転を模索、増床(192床→300床)の上、現在地に新築移転し、病院名も久喜総合病院に一新したもので、その際に誘致元自治体である久喜市から35億8,000万円の補助金(施設整備費)を受けている。現在も1日あたり約500人の外来患者と約200人の入院患者受入、災害拠点病院認定など地域医療の中核を担っている。
(本日現在、JA埼玉県厚生連のHPには久喜総合病院の新築概要や工事開始を知らせるページがまだ残っていたのでご参考までキャプチャ画像をアップしておく。)
JA埼玉・久喜総合病院

5年前の新病院オープン前の事業計画と現在の業績の乖離があまりに大きく自主再建も困難と判断し、JA埼玉県厚生連としては病院事業を手放さざるを得なくなったのだろう。

今回の病院譲渡に際し、久喜市は3億7,000万円の和解金を受け取り、少なくとも向こう10年間は譲渡先が病院を継続する内容で合意したとの事。地域住民の皆さんや市の担当者は総合病院としての機能が維持される事でひとまずは安堵した事だろう。

M&Aによる病院売却に伴い、オーナーが変わる事で経営方針も変わるのか?

今回のM&Aでは病院機能はそのまま維持されるとの事だが、常勤医師をはじめスタッフの方々は不安であろう。病院オーナーが変わる訳であるから自分達の待遇や処遇はどうなるのか、経営方針も激変するかも?など・・・、未来の事は誰にも分からない。
雇用の維持を約束してはいても、これまでと同じ事をしていたのでは、業績向上は恐らく望めないだろうから事業の再構築=Restructuring(巷では“リストラ”と否定的な響きがあるが・・・)は必至であり、それが上手く進めば経営内容が盤石な病院として生まれ変わるかもしれない。

資金力があり経営手腕のある病院オーナーに変われば、財務面の不安は後退し、医師にとって魅力的な雇用条件と勤務環境を整備し、積極的な医師採用で常勤医師が増えれば好循環に入るかもしれない。逆に、病院M&Aの過程で優秀な医師や医療スタッフがひとりふたりと抜けていけば立派な箱(綺麗な病院病棟建物)だけが残る事になり病院の経営再建は容易ではなくなるだろう。この辺りが事業M&Aの難しいところである。
やはり事業は人なのである。

さて、今日は病院譲渡(売却、M&A)の話題をお届けしましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、医師の転職サポートや医師採用支援は勿論の事ですが、病院やクリニックの事業売却、事業買収、M&Aの支援も手掛けております。
転職やアルバイトをお考えの医師の方々や病院やクリニックを売りたい、或いは買いたいというお話しがあれば些細なお問い合わせやご相談も大歓迎です。
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医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる(その2)

医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる(その2)

今回も前回に引き続き医師が転職候補先病院を見る場合に着目すべき点のひとつとして、医療法人の売上高に注目してみたい。前回は売上高の大きい順に上位50グループの病院グループについて見てきたので、今回は51位以降の病院グループについて見ていきたい。

前回も書いたが、昨今、病院の倒産やM&Aも珍しくなく、転職候補先病院の経営母体(病院グループ)の売上高、利益率などから中身をよく探っていくと、その病院グループが目指している方向性や経営体力、経営安定度などが透けて見えてくる。

例えば利益率が抜きん出て高い場合は、それが前向きな経営努力によってもたらされているものなのか(際立った特長や収益性の高い診療領域や差別化ポイントがあるのか)、或いは職員給与を低く抑えるなどの人件費をはじめとしたコストカットを厳しく行っているという事も場合によっては考えられるし、必要な設備投資を渋っているという事もあるかもしれない。
経営安定度という面からは利益率が良い事は勿論大切な事だが、それが医師をはじめとした職員の幸せと必ずしもイコールになるとは限らない点にも注意が必要である。
また、有名病院を擁する病院グループが意外にも利益率が低かったり、場合によっては赤字のケースもあるという事に驚く人も多いかもしれない。
様々な観点から候補先病院を観察する事は医師の転職という局面でも有益であろう。
まあ、ともかく数字から見えてくる仮説をひとつひとつ検証していく事で病院グループや個々の病院の実際の姿が浮かび上がってくるかもしれない。

では、売上高51位から順番に並べていく。
下記データは東京商工リサーチの調査データに基づき金額は分かりやすいように億円単位に丸めた。
※ [  ]内は2012年の売上高、利益、利益率、主な病院。

51.(医)協和会 [226億円、1.3億円、0.6%、協和会病院(大阪府吹田市)]
52.(社)巨樹の会 [225億円、23億円、10.04%、下関リハビリテーション病院(山口県下関市)]
53.(医)和同会 [222億円、2.6億円、3.91%、片倉病院(山口県宇部市)]
54.(医)社団浅ノ川 [217億円、N/A、N/A、浅ノ川総合病院(石川県金沢市)]
55.(医)社団善仁会 [216億円、24億円、11.12%、横浜第一病院(神奈川県横浜市)]
56.(地独)長野県立病院機構 [214億円、0.7億円、0.32%]
57.公益(社)北海道勤労者医療協会 [201億円、▲1.5億円、▲0.76%、勤医協中央病院(札幌市)]
58.(財)竹田健康財団 [200億円、▲13億円、▲6.44%、竹田綜合病院(福島県会津若松市)]
59.公立陶生病院組合 [199億円、6億円、3.12%、公立陶生病院病院(愛知県瀬戸市)]
60.社会(医)財団 白十字会 [195億円、9億円、4.67%、佐世保中央病院(長崎県佐世保市)]
61.医療生協さいたま(生協) [191億円、▲0.5 億円、▲0.25%、埼玉協同病院(埼玉県川口市)]
62.(医)立川メディカルセンター [188億円、6億円、3.30%]
63.JA山口厚生連 [184億円、2億円、1.16%]
64.社会(医)友愛会 [182億円、2億円、1.26%、豊見城中央病院(沖縄県豊見城市)]
65.(財)厚生会 [182億円、30億円、16.54%、仙台厚生病院(宮城県仙台市)]
66.公益(財)慈愛会 [181億円、▲0.8億円、▲0.45%、今村病院(鹿児島市)]
67.(宗)在日本南プレスビテリアンミッション [179億円、▲17億円、▲9.58%、淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)]
68.社会(医)財団 慈泉会 [178億円、0.4億円、0.20%、相澤病院(長野県松本市)]
69.(医)あかね会 [175億円、14億円、7.71%、土谷総合病院(広島市)]
70.(医)藤井会 [175億円、0.9億円、0.49%、石切生喜病院(大阪府東大阪市)]
71.(社福)三井記念病院 [172億円、▲6億円、▲3.31%]
72.(医)相生会 [170億円、8億円、4.84%、宮田病院(福岡県宮若市)]
73.社会(医)杏嶺会 [170億円、11億円、6.24%、一宮西病院(愛知県一宮市)]
74.(地独)山形県・酒田市病院機構 [170億円、5億円、2.66%]
75.(医)社団苑田会 [167億円、N/A、N/A、苑田第一病院(東京都足立区)]
76.(財)甲南会 [164億円、4億円、2.23%、甲南病院(兵庫県神戸市)]
77.社会(医)母恋 [163億円、4億円、2.40%、日鋼記念病院(北海道室蘭市)]
78.社会(医)天神会 [162億円、16億円、9.78%、新古賀病院(福岡県久留米市)]
79.公益(財)浜松市医療公社 [162億円、0.6億円、0.35%]
80.公益(財)健和会 [160億円、0.4億円、0.28%、みさと健和病院(埼玉県三郷市)]
81.公益(社)京都保健会 [158億円、3億円、1.63%、京都民医連中央病院(京都市中京区)]
82.(地独)山口県立病院機構 [157億円、6億円、3.85%]
83.社会(医)近森会 [156億円、▲14億円、▲9.10%、近森病院(高知市)]
84.(社)藤元メディカルシステム [155億円、3億円、1.71%、藤元総合病院(宮崎県都城市)]
85.社会(医)河北医療財団 [155億円、1億円、0.76%、河北総合病院(東京都杉並区)]
86.(医)社団 松和会 [151億円、10億円、6.89%、池上総合病院(東京都大田区)]
87.公益(財)宮城厚生協会 [148億円、2億円、1.30%]
88.社会(医)大雄会 [148億円、0.6億円、0.37%、総合大雄会病院(愛知県一宮市)]
89.(財)神奈川県警友会 [148億円、2億円、1.35%]
90.社会(医)財団 大和会 [148億円、7億円、4.54%、東大和病院(東京都東大和市)]
91.(医)社団 三喜会 [146億円、3億円、2.02%、鶴巻温泉病院(神奈川県秦野市)]
92.(地独)宮城県立病院機構 [146億円、0.5億円、0.37%]
93.(医)恒昭会 [146億円、6億円、4.36%、藍野病院(大阪府茨木市)]
94.社会(医)敬愛会 [145億円、7億円、4.49%、中頭病院(沖縄県沖縄市)]
95.(医)財団 東京勤労者医療会 [144億円、2億円、1.45%、東葛病院(千葉県流山市)]
96.社会(医)明和会 [141億円、6億円、4.54%、中通総合病院(秋田市)]
97.(財)神戸市地域医療振興財団 [140億円、▲1億円、▲0.68%、西神戸医療センター(兵庫県神戸市)]
98.公益(財)結核予防会 [139億円、9億円、6.63%、複十字病院(東京都清瀬市)]
99.(医)社団 慈誠会 [138億円、6億円、4.40%、上板橋病院(東京都板橋区)]
100.(医)医仁会 [138億円、6億円、4.35%、武田総合病院(京都市伏見区)]

以上が売上順位上位100位までの病院グループである。

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医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる。

医師転職を考えるにあたり病院グループの売上順位からそのプレゼンスを見てみる(その2)

今回も医師が転職候補先病院を見る場合に着目すべき点のひとつとして、医療法人の売上高に注目してみたい。
昨今、病院の経営悪化による倒産やM&Aも珍しくなくなっており、転職候補先病院の経営母体(医療法人)がどのくらいの売上規模なのかを見ておく事は、その病院の地域における存在感・プレゼンスや理事長の経営方針のみならず、今後の方向性や特徴、ひいては医師の年俸水準や新規医療機器の設備投資余力などを把握する上でも有益であろう。
医師一人ひとりにとっても、どの診療科に力を入れている病院なのかを見る事は勿論であるが、病院全体、もっと言うと医療法人の全体像をぼんやりとでも掴んでおいて損は無いだろう。
転職を検討している医師の方で、病院の経営状況、売上高に関心のある方には是非参考にして頂きたい。

では、早速、売上高の大きい順番に並べていく。
下記データは東京商工リサーチの調査データに基づき金額は分かりやすいように億円単位に丸めた。
※ [  ]内は2012年の売上高、利益、利益率、主な病院。

1.日本赤十字社 [1兆1,191億円、34億円、0.3%]
2.(独法)国立病院機構 [9,085億円、419億円、4.61%]
3.(社福)恩賜財団済生会 [5,766億円、225億円、3.91%]
4.(医)徳洲会 [1,853億円、95億円、5.12%]
5.(医)沖縄徳洲会 [994億円、81億円、8.11%]
6.(社福)聖隷福祉事業団 [962億円、35億円、3.68%、聖隷浜松病院(静岡県浜松市)]
7.JA長野県厚生連 [884億円、12億円、1.31%]
8.(医)社団 のせ小児科クリニック [827億円、48億円、5.83%、のせ小児科クリニック(神戸市)]
9.JA新潟厚生連 [819億円、▲12億円、▲0.15%]
10.JA北海道厚生連 [817億円、17億円、2.08%]
11.(地独)大阪府立病院機構 [716億円、27億円、3.73%]
12.(医)財団 明理会 [673億円、17億円、2.55%、明理会中央総合病院(東京都北区)=IMSグループ]
13.(医)社団 明芳会 [632億円、27億円、4.35%、板橋中央総合病院(東京都板橋区)=IMSグループ]
14.JA秋田厚生連 [611億円、20億円、3.35%]
15.(財)厚生年金事業振興団 [568億円、30億円、5.27%]
16.(医)社団 愛友会 [470億円、12億円、2.56%、上尾中央総合病院(埼玉県上尾市)=AMGグループ]
17.(地独)神戸市民病院機構 [418億円、23億円、5.39%]
18.(医)鉄薫会 [412億円、1億円、0.26%、亀田総合病院(千葉県鴨川市)]
19.(医)社団 誠馨会 [391億円、▲2億円、▲0.46%、千葉メディカルセンター(千葉市)=セコムグループ]
20.(社)日本海員掖済会 [377億円、25億円、6.64%]
21.(医)社団 協友会 [376億円、3億円、0.91%、東川口病院(埼玉県川口市)=AMGグループ]
22.(地独)静岡県立病院機構 [374億円、19億円、5.12%]
23.JA岐阜厚生連 [350億円、N/A、N/A]
24.(社福)函館厚生院 [346億円、7億円、2.16%、函館中央病院(北海道函館市]
25.(社医)生長会 [338億円、14億円、4.24%、府中病院(大阪府和泉市)]
26.(株)麻生 [334億円、3億円、0.92%、飯塚病院(福岡県飯塚市)]
27.(医)渓仁会 [327億円、8億円、2.55%、手稲渓仁会病院(北海道札幌市)]
28.(公財)がん研究会 [323億円、32億円、9.87%、がん研有明病院(東京都江東区)]
29.(社医)社団 木下会 [323億円、32億円、9.87%、千葉西総合病院(千葉県松戸市)=徳洲会グループ]
30.(医)社団 東光会 [305億円、9億円、2.84%、戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)=TMGグループ]
31.(社医)財団 石心会 [301億円、0.1億円、0.04%、埼玉石心会病院(埼玉県狭山市)]
32.(医)錦秀会 [299億円、4億円、1.25%、阪和記念病院(大阪市住吉区)]
33.(公財)天理よろづ相談所 [297億円、N/A、N/A、天理よろづ相談所病院(奈良県天理市)]
34.(医)豊田会 [288億円、5億円、1.73%、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)]
35.(財)大阪府警察協会 [279億円、12億円、4.18%]
36.(医)社団 洛和会 [268億円、2億円、0.56%、洛和会音羽病院(京都市山科区)]
37.JA神奈川厚生連 [267億円、6億円、2.27%]
38.(社医)雪の聖母会 [264億円、11億円、4.12%、聖マリア病院(福岡県久留米市)]
39.(医)医誠会 [260億円、4億円、1.58%、医誠会病院(大阪市東淀川区)]
40.(医)社団 葵会 [252億円、6億円、2.57%、八本松病院(広島県東広島市)]
41.(財)平成柴川会 [250億円、0.5億円、0.18%、小倉記念病院(福岡県北九州市)]
42.(特医)北九州病院 [249億円、16億円、6.25%]
43.(財)船員保険会 [249億円、10億円、4.19%]
44.(社医)ジャパンメディカルアライアンス [246億円、4億円、1.73%、海老名総合病院(神奈川県海老名市)]
45.(社福)北海道社会事業協会 [244億円、▲9億円、▲3.83%、小樽協会病院(北海道小樽市)]
46.(公財)田附興風会 [242億円、2億円、0.79%、北野病院(大阪市北区)]
47.(社福)京都社会事業財団 [235億円、4億円、1.89%、京都桂病院(京都市西京区)]
48.(医)社団 高邦会 [233億円、10億円、4.21%、高木病院(福岡県大川市)]
49.(医)社団 康心会 [230億円、12億円、5.35%、湘南東部総合病院(神奈川県茅ヶ崎市)]
50.JA福島厚生連 [229億円、22億円、9.80%]

少し長くなったので今日は上位50位までにして、51位以下については次回にみていくことにしよう。

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医師転職を考えるにあたり日本医療機能評価機構の認定病院について見てみる。

医師転職を考えるにあたり日本医療機能評価機構の認定病院について見てみる。

今回は医師が転職候補先病院を見る場合に着目すべき点のひとつとして、「日本医療機能評価機構の認定病院」かどうかという事を見ていこう。 病院機能評価は、その病院が組織全体としての運営管理や提供する医療が適切かどうかを、公益財団法人日本医療機能評価機構が第三者的立場から病院を評価する仕組みである。 医師にとっては自分が働く職場としてその病院が魅力的かどうかという事と必ずしも一致するとは限らないが、この認定が客観的指標として、一定以上の医療水準を持った病院、或いはある程度はしっかりした病院であろうという事のひとつの目安にはなるのではないだろうか。 この認定を受けている病院はたいていホームページでその旨をPRしているので、自分が転職しようと考えている病院についてはこの認定の有無を確認してみると良いだろう。 この認定の有無は公益財団法人日本医療機能評価機構のホームページでも検索する事が可能である。 認定病院の評価結果も見る事ができるので参考にされたい(評価結果については非公開の病院もある)。

https://jcqhc.or.jp/

本日(2015年9月18日)現在、日本全国の全病院数8,485のうち、日本医療機能評価機構の認定病院は2,257施設となっている。全病院数の27%ほどの病院が認定を受けている事になる。 転職候補先の病院がこの認定を受けていない場合は、その理由を率直に質問してみるのも良いかもしれない。認定を受けない明確なポリシーがあるのか、それとも認定を受けられないレベルの病院なのかが分かれば、その病院に転職すべきか否かの判断基準のひとつになるかもしれない。 また、次回も医師が転職を検討する際にプラスになるようなトピックを続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。 医師の転職マーケットについてエリア別でお知りになりたい方は、当ホームページのエリア別医師転職マーケットのページをご覧ください。 医師転職コンシェルジュでは転職を検討する医師の方に対しては、このような様々な公開情報を提供する事は勿論の事、それ以外にも実地で病院のキーマンにヒアリングを行ったりして独自調査した弊社しか知り得ないような情報も提供している。 医師求人募集情報をお探しの医師の方は、本サイトの医師登録からご登録下さい。ご希望をお聞きした上で、希望が叶う医療機関への転職を全力で応援致します。

医師転職を考えるにあたり自治体病院の現状を見てみる。

医師転職を考えるにあたり自治体病院の現状を見てみる。

今回は医師の転職候補先のひとつ、自治体病院の現状を見ていこうと思う。
直近の公的データ(平成24年11月末)によると、いわゆる自治体病院の数は下記の通りとなっている。

都道府県216病院
市町村672病院
地方独立行政法人73病院
合計961病院となっている。※あくまで病院のみで「公立の診療所」は含んでいない。

全国47都道府県に961の自治体病院、結構な数の自治体病院が存在しているが、
近年は地方独立行政法人化や診療所化、民間移譲(公設民営)等により「純粋な」自治体病院の数は減少傾向にある。

自治体病院は、地域の基幹病院として、がん治療をはじめとした高度な医療、そして小児医療、救急医療等、いわゆる不採算部門と呼ばれている分野、更には山間僻地、離島などの地域医療など、民間病院では採算性の問題から手掛ける事が困難な医療までを担っている。

元々、自治体病院は大学医局との関係が深く、関連病院として医師派遣を大学医局に依存している病院が多い。従って、自治体病院での勤務経験がある医師は当然の事ながら多い。
それら医師のマインド的には医療設備や医療水準、スタッフの質と量、そして福利厚生や待遇、ネームバリューなど、「自治体病院」の環境が彼らにとっては、ひとつのスタンダードであり、民間病院やクリニック、その他の医療機関などと比較する際のひとつのベンチマーク(標準)となっているような印象を受ける。

そして、自治体病院に限らず病院経営の根幹をなすものは医師の確保であるが、近年の医師不足等により、都市部から離れた地方の自治体病院においては、

・大学の医局員減少→地方自治体病院へ派遣していた医局員の引き揚げ
・やむなく自前の医師採用(医師公募)を開始するも、公立病院規定による給与水準の制約などから思うように医師を採用する事ができない

といった状況に置かれている自治体病院は少なくない。
自治体病院の経営状況は、診療報酬のマイナス改定が続いた平成18年には78.9%の自治体病院が経常損失を計上、即ち赤字という状況であったが、現在(2015年)はその頃の最悪の状況からは一歩抜け出した感はあるものの、未だ4割程度の自治体病院が赤字と言われている。
近年の診療報酬改定(僅かながらプラス改定)が大病院に有利な制度となっている事から、特に中小規模の病院においては、医師・看護師をはじめ医療スタッフの人材確保が難しい環境下に置かれている事から引き続き厳しい経営を強いられていると言える。

さて、ここで医師の転職に目を向けると、
都市部の自治体病院(特に大病院)は依然として大学医局の重要な関連病院となっているところが多く、そういった病院では医局員以外の医師がポストを得る事は簡単ではない。

他方、少し都市部から離れた郊外に行くと大学からの医師派遣を期待できない中規模(200~300床規模)程度の自治体病院は全国に数多く存在している。
そういった自治体病院では医師の公募や人材紹介会社を活用した医師採用など前例に囚われない取り組みを積極的に行う施設も増えてきている。
こういった自治体病院では医師転職による入職で居場所(ポストと待遇)と仕事のやりがいを得るチャンスは大いにある。

医師の世界はとても狭く必ずしも希望通りの病院で希望するポストにつけるとは限らないので安易な医師転職はあまりお奨めしないが、一度は民間病院に転じてみたものの、やはり公立病院での勤務の方が良いと感じる医師もいる事と思う。
またその逆の医師もいるだろう。
それぞれの価値観や希望する働き方で自らの働く病院を選べばよいと思う。

以上、簡単に自治体病院の現状を見てきたが、
また、次回も関連する話題を続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。

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