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形成外科の医師と美容外科についての考察~その2

形成外科の医師と美容外科についての考察

さて、前回の形成外科の医師と美容外科についての考察に引き続いて美容医療の業界について見ていきたい。
前回は日本の美容医療業界には「一般社団法人 日本美容外科学会」という全く同名の団体が2つ存在するという事などを見てきたが、
そのうちのひとつ、略称JSAPS(=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)の方の日本美容外科学会が母体となって厚生省(当時)の指導や日本医師会の支援を受けて設立された「内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)」が通称「マル適」という認定医制度を設けている。

前回のおさらいになるが念の為、繰り返すと、JSAPSは『「形成外科医を中心とする開業医」、「大学、一般病院勤務の形成外科医」で構成される日本美容外科学会』の方である。

このJAAMが認定する「適正認定医(マル適)」は、日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師に、審査のうえ適正認定医(マル適)として認定証を交付する、というものである。

日本美容医療協会(JAAM)正会員の中から、協会の定める認定基準を満たしている医師の条件とは?

■認定の条件は下記の通り(JAAMのHPより内容を抜粋、転載)

○当協会の正会員として3年以上経過していること
※当協会の正会員資格には、日本医師会の会員で、美容医療に関する経験を6年以上有することが必要。
○日本美容外科学会(JSAPS)専門医であること、ないしはこれに準ずる資格(日本形成外科学会専門医等)を有していること
※日本美容外科学会専門医には、3年以上日本美容外科学会正会員(日本形成外科学会認定専門医)で、学会が定めた所定の点数を取得し、所定の経験症例を有することが必要。
○過去3年に医師法に違反していないこと
○過去において刑事罰を受けていないこと
○協会の講習会、学会に出席していること
○広告の規制を守っていること
○一定基準の設備を有した施設があること

この適性認定医(マル適)となっている医師はJAAMのHP情報によると日本全国で僅か39名しかいないようである。この人たちは形成外科医を中心とした美容医療界の重鎮という感じだろうか。
地域別に見ると下記の通りである。

北海道・東北2名(全て札幌市)、関東23名(東京都16名、茨城県牛久市1名、千葉市1名、横浜市2名、神奈川県鎌倉市、相模原市、埼玉県川越市1名)中部2名(岐阜市、名古屋市)、近畿5名(全て大阪市)、中国・四国2名(広島市、岡山市)、九州・沖縄4名(福岡市2名、北九州市1名、那覇市1名)

やはり大都市圏に集中しており過半数が東京都内である。

「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している大学病院、総合病院

次に大学病院や著名総合病院などで「整容・美容外科」などを標榜、或いは美容外科学講座を設置している主なものを下記に地域別に列挙する。全て網羅出来ていないかもしれないがその辺りはご容赦願いたい。

【北海道・東北】
・北海道大学病院 形成外科「整容・美容外科」(北海道札幌市)
・岩手医科大学病院 形成外科(岩手県盛岡市)

【関東】
・東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科(東京都文京区)
・東京女子医科大学 形成外科(東京都新宿区)
・東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック(東京都荒川区)
・東京医科歯科大学附属病院 形成・美容外科(東京都文京区)
・昭和大学病院 形成外科(東京都品川区)
・東邦大学医療センター大森病院 形成外科(東京都大田区)
・杏林大学医学部付属病院 形成外科・美容外科(東京都三鷹市)
・日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科(東京都文京区)
・国際医療福祉大学三田病院 形成外科(東京都港区)
・聖路加国際病院 形成外科(東京都中央区)
・東京警察病院 形成・美容外科(東京都中野区)
・北里大学北里研究所病院 形成・美容外科(美容医学)(東京都港区)
・医療法人財団健貢会 総合東京病院 形成外科・美容外科(東京都中野区)
・医療法人財団健貢会 東京クリニック 形成外科・美容外科・美容皮膚科(東京都千代田区)
・千葉大学医学部附属病院 形成・美容外科(千葉県千葉市)
・自治医科大学附属病院 美容外科(栃木県下野市)
・北里大学病院 形成外科・美容外科(神奈川県相模原市)
・東海大学医学部付属病院 形成外科(神奈川県伊勢原市)
・聖マリアンナ医科大学病院 形成外科(神奈川県川崎市宮前区)
・横浜市立大学附属病院 形成外科(横浜市金沢区)
・埼玉医科大学病院 形成外科・美容外科(埼玉県入間郡毛呂山町)

【東海・北陸】
・愛知医科大学病院 形成外科(愛知県長久手市)
・金沢医科大学病院 形成外科(石川県川北郡内灘町)

【関西】
・神戸大学医学部附属病院 美容外科(神戸市中央区)
・近畿大学医学部附属病院 形成外科(大阪狭山市)
・近畿大学医学部奈良病院 形成外科・美容外科(奈良県生駒市)

【中国・四国】
・川崎医科大学附属病院 形成外科・美容外科(岡山県倉敷市)
・社会医療法人全仁会 倉敷平成病院 総合美容センター(岡山県倉敷市)
・徳島大学病院 形成外科・美容外科(徳島市)

【九州】
・福岡大学病院 形成外科(福岡市城南区)
・久留米大学病院 形成外科・顎顔面外科(福岡県久留米市)

以上、本日のコラムでは形成外科を基盤とした美容医療を行っている主な大学病院などの施設を見てきましたが、「医師転職コンシェルジュ」では、各科目の医師の方々から転職やアルバイト探しのご依頼をいただき、出来る限りのお手伝いをさせていただいております。
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前回の記事形成外科の医師と美容外科についての考察はコチラ

形成外科の医師と美容外科について考察

形成外科の医師と美容外科についての考察

最近の事だが親しい形成外科医からアルバイト探しの相談を受けた。彼は大学の形成外科医局に籍をおいて形成外科医としての修練を続けており、現在は関連病院の形成外科で勤務医として働いている。今いる一般病院の形成外科で勤務を続けながら、将来を見据え美容外科も勉強する為に外の世界(自由診療の美容外科)も見てみたいという。

そして、ほぼ時を同じくして美容外科クリニックの経営企画やマーケティングの担当者の方ともお話しをする機会があった。形成外科医のアルバイトや転職支援をスムーズにサポートできるように私自身が美容医療界について確り理解しておく必要があり、現状を把握してみようと思い立ったので、このコラムで何回かに分けて見て行きたいと思う。

美容医療分野の団体について

まず、美容医療分野の団体を確認しておこう。

◎内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)

この協会は、「形成外科医を中心とする開業医、大学、一般病院勤務の形成外科医で構成される日本美容外科学会(JSAPS⇒後述)が母体となり、厚生省の指導と日本医師会の支援により平成3年4月20日に厚生省より設立許可され、発足から20年以上にわたる活動の実績が認められ、平成23年3月29日には、美容分野で唯一、内閣府より公益社団法人の認定を受けています。」という公的色合いの濃い(公的なお墨付きのある?)団体のようである。

更に『日本美容外科学会』というものがあるのだが、これが何と同じ名称で2つの団体が存在するのである。

◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
昭和52年設立、会員数 約1,200名
◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS=Japan Society of Aesthetic Surgery)
昭和41年設立、会員数 約1,012名

うーん、これは一般人や患者が混乱しかねない非常にややこしい状況にある。
美容外科医療の分野に進もうと考える若手の形成外科医や転科して美容外科医になろうという医師、更にはこれから自分の専門科目を決めようとする研修医や医学部学生も混乱する同じネーミングの学会が並立(乱立?)しているのである。

JASPSのHPには、自分達の団体は「国際美容外科学会(ISAPS)から認められた、日本で唯一の美容外科学会である」という事を主張すると共に下記の記載がある。

2つの日本美容外科学会

ここでお話しておかなければならないことがあります。美容外科に関してはその歴史的成り立ちや物の考え方の違いなどから、「日本美容外科学会」という同名の団体が2つ存在しています。

英文名は、私共の学会はJapan Society of Aesthetic Plastic Surgery(JSAPS)であり、他方はJapan Society of Aesthetic Surgery(JSAS)と違うのですが大変似た名前です。このホームページはこのうち、日本美容外科学会(JSAPS)の公式サイトです。検索していただければ原則として日本形成外科学会の専門医認定証を持ち美容外科に精通している「日本美容外科学会(JSAPS)の正会員の名簿」が登載されています。当学会の美容外科医をお探しの場合には、この公式ホームページに加え、学会事務局には名簿がありますので、電話にてお問い合わせも可能です。
※各医院やクリニックでおこなっている治療内容やクリニックのご紹介はいたしかねます。

という内容である。

一方のJSASの方もHPで、

現在の日本美容外科学会の懸案事項は、二つの同名の学会をどうするか、さらに専門医制度、事故調査委員会問題などを中心に山積しています。

という記載をしており、同名の学会が併存している状況を問題視している。

同じ名前の学会組織が2つ存在する為、どちらも「日本医学会」にも「日本医師会」にも加盟する事が出来ないという困った現状にあるようだ。
どっちが本物かみたいな、どこかの帆布カバン屋さんの本家争いのような様相を呈しているのである。

どちらがどうというのはここでは差し控えるので、詳細を知りたい医師の方は、自分で各々のHPを確認するなどして判断して欲しい。

まだ他にもある美容外科の団体

この2つの「日本美容外科学会」の他にも下記の団体もあり、ややこしい(と言うと関係者の方からお叱りを受けそうだが・・・)。

◎特定非営利活動法人 日本美容外科医師会

この団体の所属会員(医師)を見てみると、TVコマーシャルなどで有名な全国チェーンのクリニックを展開している美容外科医が多いが、必ずしもそれらTVCMなどで著名な美容外科医が例外無く名を連ねている訳でも無いから、それぞれの主義主張があるのだろう。

やや乱暴な分類かもしれないが現在の日本の美容外科の世界は、
・「(主に大学の)形成外科を基盤に発展してきたグループ」
・「美容外科として独自に発展してきたグループ」
・「美容外科の新たなグループ」

が異なる立場や考え方で、互いに相容れず、別々の道を歩んでいるといった感じであろうか。

少し長くなってしまったので今日はこの辺りにして次回コラムで美容医療界についての話題を続けて見ていきたいと思う。

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